遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

タダになった陶胎漆器

2021年09月08日 | 古陶磁ー全般

今回の品物は陶胎漆器、韓国現代作家の作品です。

先日のブログの最後の写真に写っていた品です。

時計回りに動かすと、

右横面:

 

背面:

内側に轆轤目がくっきりと見えます。

左横:

下部:

最大径 32.8㎝、底径 15.0㎝、高 40.7㎝、重 3.1㎏。現代。

これは、韓国現代作家の品です。陶器に漆を塗った、いわゆる陶胎漆器です。

実は、昔、この類の品に、名古屋のギャラリーで遭遇しました。一度見たら忘れないほど強烈な印象でした。うーん、欲しい(何でも欲しがる性分(^^;)。しかし、値札を見て諦めました(^.^)

それから何年か後、ネットオークションに同手の品が出ました。しかも、開始価格はギャラリーの十分の一以下。こういう品を写真だけで判断して買おうという人はいません。で、実物を知っている私だけが入札、落札。目出度く、品物をゲットできました。

ところが、送られてきた品をみてびっくり。パックリと二つに割れているのです。出品者が、品物を横向きに梱包したので、胴に力がかかったのですね。壷は胴方向の力に弱いのです。

この品は、元々、非常に大きな壺で、口元がギュッと締まった端正な形をしていました。しかし、上方三分の一ほどは割れてしまっています。白い素焼きの内側がむき出しの無惨な姿です。

出品者に連絡したところ、返品する、品物は適当に処分してほしい、とのことでした。ネットオークションも、昔はおおらかだったのですね。現在は、破損物を返送せねばなりません。

さて、この割れた品物をどうしたものか?

おおそうだ、内側を黒く塗ったらどうだろう。白いから、だらしなく見える。黒っぽい色に変えてしまえば締まるはず。

そこで、手元にあった濃茶塗料を塗ったところ、見事に、現代アートとしてよみがえりました(^.^)

 

割れ目が痛々しい、ヒビも残っていますが、全体としてみればGOOD(^.^)

内側には、轆轤目がくっきりと残っています。厚さは5㎜ほどしかありません。器の大きさからすると、非常に薄いです。この薄さで一気に轆轤を引き、口作りまでしてしまう。かなりの技です。

底に、作者の銘らしきものがあります。

漆表面は、非常に滑らかです。

 

この品のウリは、何といっても色使いと描かれた模様。 

劇画の主人公が描かれているようにも見えます。

「オンドリャー、クタバレー」

獣の足?

主人公の絵は、ずーっと他の面まで続いています。これは、主人公の尾?

 


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 黒高麗扁壷(小山富士夫旧蔵?) | トップ | 日本人が使っていた李朝箪笥 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tkgmzt2902)
2021-09-08 18:01:25
初めて見ました。
あまりにも美しい色合いと模様に釘付けです。
割れたものに手を入れる・・・、これで遅生さんも創作に
関わったということですね。
もっと小さく割れたらアクセサリーにもなりそうですね。
返信する
遅生さんへ (Dr.K)
2021-09-08 19:01:34
理屈抜きに綺麗ですね(^-^*)
オブジェかなと思いましたが、壺ですか!
破片は残っているのでしょうから、壺に復元も出来るのでしょうね。
壺に復元したところも見てみたいものですね。
返信する
tkgmzt2902さんへ (遅生)
2021-09-08 19:15:19
ひょうたんから駒です。
当初は、処分するつもりでした。
内側の白い素地が、いかにもみすぼらしかったからです。黒の威力ですね。
表の模様も、黒地だからこそです。
でも、どうやって、この模様を描いたのかわかりません。
アクセサリーならたくさんできますね(^.^)
返信する
Dr.kさんへ (遅生)
2021-09-08 19:19:16
口が本当に小さいですから、特別な形ですね。よく轆轤で作るもんだと思います。
でも、かなり細かく割れていたんです。とても私の技術では修復できないだろうと諦めました。
とにかく、タダですからこれで十分満足です。
タダより安いものはない(^.^)
返信する
遅生さんへ (酒田の人)
2021-09-08 21:14:30
このような品があるんですね、確かに一度見たら忘れない魅力があります
それにしても運送途中でブチ割れとは・・・
ネットオークションはいろいろありますからね~
とは言え、それをモダンアートにしてしまう遅生さんには脱帽です
昔の数寄者が完品の古信楽の壺の口をわざと割って
「どうだいい景色になっただろう!」と自慢したエピソードを思い出しました。
返信する
酒田の人さんへ (遅生)
2021-09-14 21:37:37
信楽ならずとも、私には、口を割る勇気はありません。偶然の結果です(^.^)

私のネットオークションの取引は数千回にもなります(^^;
全部の品が割れ物というわけではありませんが、これまでの破損は4回。いずれも胴や平らな面を上向きに梱包された品でした。
その後のやり取りは気が重いです。

けれど、この品の場合には、思わず、「マジっすか?」とメールを返しそうになりました(^.^)
返信する

コメントを投稿