今回は、アンティークの氷カップです。
径 13.6㎝、高 5.3㎝。 昭和初期。
ガラスの氷カップ(コップ)は、大正ー昭和にかけて流行したガラス器です。色々な技法を活かして、多くの氷カップが作られました。金赤縁取り、ウランガラス、乳白暈しなどは、今でもコレクターに人気があります。
今回の青色乳白暈しのカップ、裏をみると歴然ですね。割れ、欠け、ヒビ有りの大疵物、というより、壊れたガラスです。
じろじろ眺めていたら、「それ、もういらないから」と骨董屋の親爺の一言。売り物にならない品でも、こちらにとっては勉強にうってつけの物。ありがたくいただいて帰りました。完品なら、伊万里皿くらいを払わねばなりませんから。
これまで、骨董屋から来た多くの品の中で、いただき物は、これとOccupied Japanの印判皿のみです。おまけにもらった品は多くありますが、それはもともと本来の品の代金の一部に組みこまれていた訳ですから(^^;
今にもバラバラになりそうなガラスをどうするか。ここは一つ、金継ぎで・・・・ところが、ガラスの金継ぎは至難の業なのです。素人にはほぼ無理。
さて、どうしたものか・・・・そうだ、継ぎ目を装飾してしまえばゴマカシがきく!
で、漆継ぎの跡を、大きく金箔で覆うことにしました。それだけではミエミエなので、継いでない所へも装飾の金箔を貼りました。大げさに言えば、デザイン化したわけです(^^;
高台の大きな欠けは、パテで補修。
こんな補修品でも、ほのかな光のもとでは、結構な雰囲気が。
地球外のどこかを眺めているような。
せっかく修理した氷カップです。
使ってやるのが孝行。
これで、今日もなんとか一息つけそうです(^.^)
いいなあ~金継ぎも模様となって映えていますし、なんと言っても氷が美味しそう~(^_-)-☆
工芸品から芸術品に変身ですね!
しかも実用にもなっていますね!
これは、一石三鳥ですね!
氷カップは人気があるので、今出来のコピー品(いわゆる偽物)が結構あります。全体に良くできているのですが、青も赤も、色調が違います。きれいすぎる、どぎつい・・・百年も経っていないのに、不思議です。
苦肉の策。
これはもう、ビンボー人の知恵ですね(^^;
素人が継いだガラスは、本当にみすぼらしいですよ。しない方がマシ。
そこをいかにカモフラージュするかが、ビンボー人の技です(^^;
特にマーブル模様の品などは信じられない値段で売られておりました(結構前ですが)
ガラスの器の金継ぎ風、さすがですね!
これぞ不完全なものを愛でる日本人の感性のなせる業ではないでしょうか。
とにかく、割れたガラス器ほど惨めな物はありません(^^;
金継ぎが上手く模様になっていますね。
テレビで、イタリア人が金継ぎを学びに来ていましたが、その技術を見られて感動しました。
覆水は、付加価値を付けてそれ以上に盆に帰っていました。
茶入れ「九十九茄子」も、修復の技術で甦ったと聞きました。一度見たけど壊れたものだったとはとても思えませんでした。
自分では、もうちょっと洗練されたデザインだったらなぁ、と思います。まあ、野暮ったさも味の内としておきます(^^;
金継ぎ、誰が考え付いたのでしょうね。いかにも日本的な発想ですね。外国なら、オリジナルにできる限り近づけるのが修復ですから。
私も見込みに金の一文字の模様を入れた皿を、安物ですが、日常の器に密かに楽しんでいます。金継ぎみたいです(*^^*)
私も一個、トライしましたが、恥ずかしいのでお蔵入り(^^;