先回のブログで、インドネシアの仮面劇、ワヤン・トペンで使われる仮面を紹介しました(この仮面のことも、ワヤン・トペンと呼ぶ)。
インドネシアでは、人形劇も非常に盛んです。扁平な人形を使った影絵芝居(ワヤン・クリ)と通常の人形劇(ワヤン・ゴレ)とに大別されます。
今回紹介する品は、ワヤン・ゴレで使用された人形です。
なお、ワヤンは元々、「影」の意味でしたが、「劇、芝居」を表すようになりました。したがって、ワヤン・トペンは、トペン(仮面)を用いた芝居となります。
ワヤン・ゴレは人形劇、さらには人形劇で使われる人形を表します。
故玩館には、5体のワヤン・ゴレがあります。
大きさ(長さ):53㎝、55㎝、68㎝、71㎝、74㎝。
いずれの人形も、かなり長い間使われてきた物です。
極彩色に塗られていたはずですが、長年の間に、ギラギラが薄れ、我々にもあまり違和感がありません。
どぎつい人形というより、喜怒哀楽を秘めた人間に近いものになっている感じがします。
衣裳はいろいろですが、この人形はジャワ更紗をまとっています。あちこちに穴があき、ほころびが目立ちます。
人形の動きを生み出すのは、肩と肘の関節。
掌に付けた細長い竹棒(40㎝ほど)で動かします。
首はスポンと抜けます(人形殺人事件ではありません(^^;)
胴の中は刳り貫いてあって、そこへ太い棒が通り、首を挿す様になっています。
棒の下部を回せば、顔が動きます。
人形遣いの手は二本しかないのに、どうやって3つを動かすのでしょうか。人形使いは、人形の首下につけた主軸棒を左手でもち,右手で人形の両手につけた棒を自在に操るのです。すごい技ですね。
また、心棒の先は尖っています。これを、舞台下の台座に挿して固定することもできます。
ワヤン・ゴレは、人気の高い伝統演劇ですから、上演頻度も高く、かなり洗練されたものでしょう。一度、現地で見たいですね。
骨董の世界では、土俗的な物はずっと素通りしてきました。しかし、戦前、世界を股にかけて活躍した大骨董商、山中商会の目録に、インドネシア人形劇の人形が載っていました。今回の品によく似ていたと思うのですが、例によって、行方が知れません(^^; 探し出せたらまた、報告します。
そうですか。「山中商会の目録に、インドネシア人形劇の人形が載っていました」か。
さすが、世界を股にかけて活躍した大骨董商ですね。
時代に魁けていましたね。
当時、すでに、土俗的、民族的な物にも網を張っていたのですね。
いまさら後追いもなんだし・・・ということで、だんだん低俗な滑稽ものへとシフトしてきました(^^;
またまた面白いものが(^^)
故玩館には収蔵品は底がないですね!
結構古そうに見えます。
細工も細かくよく腕とか折れないで残っててくれたなあと思いました。
やはりどんな感じ動くのか見てみたいですね。
この人形の写真を見て、もう30年くらい前のアニメーション映画 「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の人形たちを連想しました。
怖いような可愛いような・・・
夢で追いかけられそうだけど立ち止まってつい振り返ってしまいそうな人形たちですね。
手に取ってみたいです。
腕は細いですが、木で出来ていますから比較的丈夫です。ただ、関節部は細紐で繋いであるので、よく切れないものだと思います。
人形や面は、おどろおどろしいものであっても、じっと眺めてみると、案外愛嬌があって、親しみがわいてきます(^.^)