今回の品は、不思議な古伊万里の皿です。
径 19.0㎝、底径 12.3㎝、高 2.7㎝。江戸時代後期。
わずかに輪花になった古伊万里の染付中皿です。底に目跡が1つ。
染付の描き方、裏の唐草模様など、典型的な江戸後期の伊万里焼です。
この皿の見どころはただ一つ、奇妙な図柄です。
右に大きな芭蕉のような植物。
中央に三星(北極星)、左にあずま屋。
そして中央に・・・
ヒョロヒョロの人物が二人。
唐人でしょうか。一人はこちらを向き、もう一人は空を見上げています。
何とも奇妙な皿です。
柳腰の唐人が二人描かれた古伊万里皿は時々見かけます。それらと何か関係があるのでしょうか。
もう一つの謎は三星です。
これまで、三星(北極星)が描かれた陶磁器を2種、紹介しました。
そして、今回の品。
『古伊万里染付ヒョロヒョロ人物中皿』
三星と奇妙奇天烈な図は、どんな関係にあるのでしょうか(『古染付魁星点斗図煎茶碗』の場合は、極星が傑出した人物、魁星を象徴しています)。
とすれば細身の唐人は頭に飾りをつけているお姫様ですかね??芭蕉と女性の模様はなんかで見たことあるような気がします。
絵付け一つとってもテーマがあるんですよね。おもしろいです。
また形も輪花になっているのがいいですよね。
こうなると、もう、どのような意味があるのかを考えないで、各皿のそれぞれの図柄から、適当に、文様をピックアップしてきて組み合わせたと考えた方がよさそうですね(笑)。
以前、「古染付魁星点斗図煎茶碗」のところで教えていただいたような意味は感じられませんものね。
伊万里の場合は、特に江戸も後期になりますと、各文様に関連性が無さそうですものね。
「伊万里面白文様シリーズ」として、「古伊万里ニョロ虫中皿」を含めて、このようなものを纏めてコレクションするのも面白いかもしれませんね(^_^)
実際の所、いまさら正統派の陶磁器を追いかけても先が知れてますし、財布も寒い、なによりも相応しくない(^^;
三星は、おそらく、中国の故事や逸話、習わしなどと関係があるのでしょう。伊万里は極初期は朝鮮の影響を受けましたが、その後は、中国を手本にしましたから。
Drのように、伊万里を極めるためには、中国陶磁器を避けては通れませんね。
どうして、こういう訳の分からない物を作ったのか、当時の人に聞いてみたいです(^.^)
面白古文書についていえば、江戸後期に急激に増えて来ます。世の中が平和になって、遊び心をもつ余裕が人々に生まれてきたからでしょう。
同じような事情を、陶磁器にも考えることができるのではないでしょうか。皆でわいわい謎解きをする判じ絵や一人くすっと笑えるものがあっても不思議ではないと思います(^.^)
江戸後期の伊万里は未だに研究の対象になっていない(志田焼はともかく)関係もあって
文様の意味や多様さはこれから研究されていく(研究する人がいれば)分野なんでしょうか。
幕末の雑器も故玩舘の所蔵品から魅力が広まって行くかも知れませんね!。
こういう品は多くはないと思います。
誰が、何のために作ったのか、が興味ある所です。
陶工が考えつくはずはないし、親方が気まぐれ遊びで作らせたのでしょうか。
それとも、数寄者が人を驚かそうとして注文した?