遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

巣籠りの効用1:長崎螺鈿の共箱発見

2020年11月19日 | コロナに負けるな

以前のブログで、大きな長崎螺鈿広蓋を紹介しました。

 

幅 41.7㎝ x 長 60.1㎝ x 高 13.2㎝

 

漆黒の中に、花鳥が浮かんでいます。

 

大きな物が、畳の上にデンと居座ったままなので、早く何とかとの御催促。

ところが、この品が入っていた箱が見あたりません。

ひょっとして粗大ごみに出されたか?と疑ってみたのですが、こんな大きな物なら目につくはず。

悶々としながら、半年が過ぎてしまいました。

どーせコロナで出かけることもないし・・・・ガラクタの整理をしていると、片隅に古びた箱があるではありませんか。

自分で置いておいて、忘れていました。完全に記憶がとんでいます(^^;

 

      45x64x15㎝

巨大な文字で、

「大硯蓋

   七代目 文右衛門調之」
と書かれています。
 
硯蓋は、広蓋とほぼ同じで、祝物などを載せる台です。
 

蓋の裏には

 

「 慶應弐寅年
  五月上旬英勝
  普請奉行役中
  調之候事 」
 
慶応二年五月、七代目 文右衛門英勝という人が、普請奉行の仕事をしていた時に、この品を調達したことがわかります。
 
慶応二年と言えば、風雲急を告げる幕末。そのさなかに、英勝さんは、長崎で何かの工事の責任者を務め、記念に螺鈿細工の大盆を買って帰ったのでしょう。
 
どんな人物であったのか、想像をめぐらすのも楽しいですね。
 
コロナ禍で家の中をウロウロすることがなかったなら、この箱は行方不明のままだったでしょう。
巣籠りの思わぬ効用でした(^.^)

 

 

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ゆりさんへ (遅生)
2020-11-19 17:52:35
元々は、硯箱の蓋を利用して物の贈答を行っていたのでしょうが、だんだん大きく豪華な漆器になっていったようです。

今は婚礼そのものが風前の灯ですから、広蓋も無用の長物に近いです。
こういう礼法が消えていくのは淋しいですね。
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覚えてます! (ゆり)
2020-11-19 15:52:23
こんにちは。

螺鈿の大硯蓋のこと覚えてます。

ひろぶた(広蓋)という言い方がなつかしくて覚えてたのです。

こういういいモノは、確かに慶事に使いましたよね。
お祝いの品を載せて、上に袱紗をかけて持参したことがあります。
もう40年も前・・・今はそんなことしませんね。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2020-11-19 10:02:21
夢はきままですから、どこへ行きつくかは、まだ定かではありません(^^;
ただ、毎晩見る夢は、相変わらず迷い子になる夢。早く、別の夢に変わってほしいです(^.^)

年月表記など時代がわかる物だけを集めている人がいます。それも一理あるかなと。でも、彼は、年代を彫り込んだ備前や古瀬戸の壷(贋物)によくひっかかります(^.^)
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遅生さんへ (Dr.K)
2020-11-19 09:37:47
夢占いの結果、ブログの行き先は長崎螺鈿となりましたか(笑)。

七代目 文右衛門英勝さんは、仕事で長崎に出張した折りに、記念にこれを買って帰ったんですね。
外国人だけでなく、日本人でも、この長崎螺鈿を見たら、夢心地になりますよね(^_^)
箱書きには、そんな夢のある話が詰まっていますね。
この箱がみつかってよかったですね\(^O^)/
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