堆錦(ついきん)で菊花が装飾された、琉球漆器の手堤重箱です。
幅 17.5㎝、奥行 15.6㎝、高 23.7㎝。幕末ー明治。
本体部:幅 15.3㎝、奥行 14.2㎝、高 15.3㎝。
三段重箱の四面と蓋には、菊花紋が堆錦で表されています。
蓋の菊紋を拡大して見ます。
堆錦は、琉球漆器の主要な技法の一つです。
漆と顔料をよく練って板状にした色漆を、それぞれの形に切り抜き、漆で貼り付けていき、立体的な模様を出します。
模様のパーツを一つずつ貼り付けていくので、手間がかかりますが、独特の質感が出ます。
台の手持の部分にも、同じく堆錦で草花が装飾されています。
琉球漆器特有の朱漆が全面に塗られていますが、台の裏底だけは黒色。
底の一角に、生産者の印のようなものがあります。
「琉球國 米次製」とあります。
沖縄が日本に組み込まれたのが明治12年(1879)ですから、それより少し前の品ということになります。
実は、この品も、故玩館改修時に片隅から出てきた物です。私は全く存在を知りませんでした。御年90になる長姉に聞いても、「知らない」 とのこと。
古箱には、「台付三ツ組重箱 赤塗」とあります。ご先祖様が書いたのでしょうが、当たり前すぎて有難みがありません(^^; 何処の漆器かはっきりしなかった(唐物と思っていた?)ので、無難なネーミングにしたのでしょうか。
ならば私が、「琉球漆器堆錦菊花紋手堤重」と黒々と墨書きしましょうか・・・・・字が下手すぎるのでこのままにしておきます(^^;