先回のブログで香蘭社の茶器をのせていた地味な盆が今回の主役です。
この盆の存在をすっかり忘れていました。あまりにありふれた普段使いの品で、いつもその辺にころがっていたからです(^^;
径 27.1㎝、高 3.4㎝。明治―戦前。
縁が高い繰り抜きの肥松盆です。よく使いこまれて良い味になっています。
これまで、肥松煎茶盆、肥松香盆(節有り)、肥松香盆(年輪)を紹介してきました。これら3枚の盆を使って、肥松盆は光を通すことを確かめました。
今回の盆は、番茶盆とでもいうべき普段使いの品ですが、この機会に見直してみました。
使い勝手が良いのは、腰が高いからです。大きな番茶茶碗をのせて運んでも、安定感があります。いきおい、この盆を使うことが多くなります。
で、駄品かというと、決してそうではなく、裏表とも、柾目がきれいに通っています。
濃い色の部分と色が薄い部分が交互に繰り返しています。濃い部分は寒い季節に成長したところ、薄い部分は、暖かい季節に育ったところ、これが年周期で繰り返される・・・学校で習いました(^.^)
黒い部分は緻密で硬いのに対して、色が薄いとことは柔らかい。単純に考えれば、薄い部分が光を通しやすいと思えます。
でも、以前試した結果は、その逆でした。
そこで、木目のはっきりとした今回の品で、確証を得ることにしました。
暗い所でも写真に写る夜光塗料テープをマーカーにして・・・
光を当てた結果は・・・・
見事、濃い色の部分が透けました。寒い季節に育った所には脂分が多く含まれていて、それが樹脂化し、透明度が高くなるのですね。
そうこうしているうちに、もう一枚、肥松盆が出てきました。なんと、5枚目です。これでは、まるで肥松オタク😅
39.8cmx20.1㎝、高 3.2㎝。現代。
柾目のように見えますが、木目はあまり揃ってはいません。
何よりも問題なのは、表側が裏面よりも色が濃いことです。片側だけ脂分が多いとは考えられません。どうやらオイル処理がなされているようです。
裏には、東山の刻印有り。現代の工芸品ですね。表面のオイル処理は、時代づけのため?
光をあててやると・・・・
真黒です。光は全く通りません。
肥松でない松材を用いたのでしょうか。
それとも、松の脂分が樹脂化するには、長い年月を必要とするのでしょうか。
江戸時代から、故玩館の仏壇脇で・・・
浮世の芥をじーっと眺めてきた・・
松脂だらけのこの人なら
答えを出してくれるかもしれません😤