遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

秀衡塗茶托にオールドノリタケ・朱菊湯飲

2021年11月17日 | 漆器・木製品

秀衡塗りの茶托、5枚です。

 

径 12.0㎝、底径 5.1㎝、高 2.1㎝。現代。

底厚は2mm強、縁は少し薄くなっています。

小型の品で、茶托ということもあり、見込みに絵は描かれていません。

先に紹介した秀衡塗りよりも、少し上手の造りです。塗りにもスキがありません。

当然のことながら木製です(^.^)

布着せを施した本堅地の秀衡塗りは少ないですね(もっと高級品を求めればいいのですが(^^;)

さて、いよいよ使う算段です。こういう煌びやかな茶托は、茶碗をえらびます。

うーん、どうしたものか?

そういえば、この茶托には、雲と金の菱形は描かれていますが、草花の絵がありません。

ならば、チョッと色目の濃いこの湯飲みではどうか。

径(蓋) 7.9㎝、径(胴) 7.4㎝、高台径 3.4㎝、高 6.9㎝。戦前。

後期のオールドノリタケを代表する朱菊の食器の一つです。底印からすると、1938年-1943年頃の国内向けの品です。

秀衡塗りの茶托に、菊花模様の湯飲み、なかなか様になります。

幸い、湯飲みも5客ありました。

これなら、故玩館に御婦人方が来訪されても大丈夫ですね。

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秀衡塗秋草紋盆

2021年11月16日 | 漆器・木製品

先回に引き続き、秀衡塗りです。

今回は、秋草が描かれた盆です。

径 30.8㎝、底径 19.3㎝、高 3.9㎝。現代。

底は2cmほどの厚み、縁でも1cmの厚さがある皿で、かなりがっしりとしています。

定番の金箔菱形と雲にくわえて、これまた定番の秋草が描かれています。葉の先にあるのは、露でしょうか。

光の加減を調節してやると、木目が浮かんできます(皿の右半分、縦の縞)。

先回のブログで、秀衡塗りは布着せ処理がなされているので、表面に木目は浮かばないと書きました。しかし、布着せは一級品に施されます。今回の品は普及品で、木地に直接漆が塗られています。実は、先回の品も同じように木目が見られました(写真では写らない程かすか)。

秀衡塗りに限らず、江戸時代の盆は、このように、木地に漆を塗り、さらに簡単に色漆で絵を描いた丸い尺物が多かったと思われます。作るのにそれほど手間がかからず、実用に向いていたと考えられるからです。

このように、本来は実用品の秀衡塗りですが・・・

今は、どうしても、こうなってしまいますね(^.^)

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秀衡塗小皿(5枚)

2021年11月15日 | 漆器・木製品

先回のちゃつによく似た大きさと絵付けの木皿がありました。

秀衡塗りの小皿、5枚です。

 

径 16.7㎝、底径 10.0㎝、高 2.3㎝。現代。

秀衡塗りは、奥州平泉で栄えた藤原氏が京文化を導入して始めたと言われる塗物です。漆と金をふんだんに用いた豪華な装飾、独特の雲(源氏雲)と金の菱紋が特徴です。

先回のちゃつと同じように、中央に草花が描かれていますが、花の種類はわかりません。

強度を増すため、輪島塗と同様、木地表面に布を巻き付けて(布着せ)から漆を塗るので、表面に木目は表れません。

 

全面、手描きの皿です。違い探しが楽しみです(^.^)

1枚目:

2枚目:

 

3枚目:

4枚目:

5枚目:

これは、超難問でした(^^;

 

1枚目ー4枚目。

 

5枚目。

それほど複雑な塗りではないとはいえ、これだけの手仕事をきっちりとこなす現代の職人さんに拍手です👏

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漆絵牡丹図ちゃつ(6枚)

2021年11月14日 | 漆器・木製品

今回は、「ちゃつ」とよばれる漆塗りの木皿、6枚です。

 

径 17.4㎝、高 1.6㎝。明治。

この皿も轆轤引きで、底が少し厚く(3㎜)、縁は1㎜ほどと薄くなっています。

古い木箱(明治○○年の箱書き)に入っていました。箱はどこかへ紛れ込んで見あたりません(^^;  箱の大きさからしても、本来は10枚揃いだったのでしょうが、入手時には6枚でした。

それほど上手の品ではありませんが、黒漆の上に牡丹紋が上品に描かれています。花びらの銀が印象的です。

箱には、「ちゃ津 10枚」と書かれていました。

『ちゃつ』とは、大きさが6寸の丸木皿で、「楪子」「茶津」とも書かれます。高台がついている物もあります。懐石料理に用いられ、菓子や菜を盛るのに使われます。仏事に用いられることもあるようです。

私の所では、正月のおせちのとり皿に重宝しています。

 

もう、手ぐすねをひいている人もいらっしゃるかもしれません。恒例の違い探しです(^.^)

今回は非常に難問です。

1枚目:

2枚目:

3枚目:

4枚目:

5枚目:

6枚目:

6枚間の相違は、非常に小さいです。

牡丹の葉や花びら配置は、6枚とも全く同じです。でも、プリントではありません。細線には筆の起点があるし、描かれた葉脈の長さやカーブは微妙に異なります。

牡丹の絵は、すべてをフリーハンドで描くのではなく、黒漆の上に、まず、輪郭となる下絵を版でおしてから、色漆で葉を塗り、花びらには銀を撒き、最後に、葉の輪郭線を金で、葉脈と花びらの輪郭を黒で引いたと考えられます。ですから、違いが出る可能性は小さいのです。

ウーンと腕組をして、考えあぐねすちゃんになること小一時間(^^;

人間はロボットにあらず、との信念のもと、ついに見つけました(^.^)

1枚目:(2,3,4,6枚目)

5枚目:

 

 

 

 

 

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漆絵くす玉紋中皿(5枚)

2021年11月12日 | 漆器・木製品

今回も、漆絵の木皿、5枚です。

 

径 16.5㎝、底 径10.1㎝、高 1.8㎝。重 55g。明治。

縁が1㎜、底が少しぶ厚い(2㎜)皿です。菓子皿でしょうか、軽いです。

作られたのは明治だと思います。ざっと削った木地に、さっと絵を描いています。こういった類の皿は、当時、非常に多く作られました。漆器や金工の技術は、明治時代にピークを迎えました。それからすると、今回の品はBC級品です。しかし、漆器全体のレベルが高いので、普及品でも、今となってみればそこそこの物になります。骨董市で気に入った物をさがすと良いです。非常に安価なので、鼻歌まじりで使えます(^.^)

今回の品ですが、上下をどちらにすべきか、迷いました。

この向きでも、けっこう様になります。

しかし、絵はやっぱりくす玉でしょう。上に、吊りの部分が描かれていますから。

くす玉から四方八方に広がる細糸の描写が見所ですね。

よく見ると、細線は、縁から内側へ向かって引かれていることがわかります。人間の目線とは逆です。陶磁器の絵付けも、このような筆運びが多く見られます。たくさんの線をすばやく引くには、この方法が良いのでしょう。

繊細な線が縦横に引かれていますが、よく見ると、全部の皿に、細い金線を横切る、黒く丸い部分があります。円のようです。これは何?

この5枚の皿を重ねてみると、低い高台が、この黒部とぴたりと一致します。使用、保管を繰り返すうちに、上の皿の底が表面の細線を擦りとったのだと思われます。わずか50gほどの軽い木皿なのですが、やはり、上絵は消えやすいのですね(^^;

最後に、恒例の違い探しです。

違いはいっぱいあるので、難易度は低。

多く見つけた人が勝ち。但し、頭がぐらぐらします(^.^)

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