胎の中で
不思議に胎児が変容していく
あるいは
蝶の蛹の中で
蝉が育ち始める
そのように
自分の中で
本当の自分ができてくる
ビヨウヤナギの
金の毛羽立ちにいらだつのは
黄金色の真実の襞に
常に皮膚を刺激されているからだ
ゆえに
自分のものではない腕が
だんだんと死んでいく
幽霊が運んでくる水で
常に洗っていない限り
おまえは生きたまま
腐り続けていくのだ
なぜか
何も自分を生きてはいないからだ
空蝉のような
形だけの人生に安住し
馬鹿なことばかりやる自分の
暗闇を許してきた
どんなことをしても
嘘ばかりの世間に住んでいるのだから
かまわないと
あらゆる暴虐をなしてきた
愚か者め
ビヨウヤナギの花粉が
おまえの真実の背骨に受粉する
二度と戻れまい
元の自分には
どんなことをしても取り戻せない
愚か者の荒野に落ちるまで
何もしなかったのか
できないと言い募って
すべてから逃げてきたのか
大きすぎる代償の真の姿が見えるまで
嘘ばかりでなにもかもをやったのか
いい加減にやめろと言われてきた
数億の言葉を
どこに置いているのだ
行く末を頼む神も
もういない
永遠の親の胸の中で
ガラスのように割れた自分を抱きながら
模索するがよい
新たな未来を
どこまで行っても
馬鹿の闇に美しい未来はない
それを認めることができるまで
まだいくらかかかるというか
飽きれてものもいえぬ
ともだちはだれもいない
おまえとおなじものはどこにもいない
阿呆をやりすぎたおまえの
新たな正体がどのようなものであるのか
神でさえ
途方にくれるほど
おまえは迷いはてたのだ