世界各国で混乱が起きている北京五輪聖火リレー。26日は長野市内で聖火リレーが行われました。今回は全長18.7kmのコースを野球日本代表・星野仙一監督、卓球の福原愛選手、マラソンの野口みずき選手など80人がリレーしました。3000人の警察官も動員する厳戒態勢の中で行われた聖火リレーは、様々なトラブルが起こりました。
本来のスタート地だった善光寺は、チベット問題などの事情により辞退。リレー開催当日の朝、暴動で犠牲になったチベット人の追悼法要が行われました。
午前8時30分に長野県勤労者福祉センター跡地を第1走者の星野監督がスタート。星野さんは観客の声援に応えるかのように手を振りながら走り続け、第2走者の末続慎吾選手にバトンタッチしました。この後も混乱無く順調にリレーが進んでいきましたが、第10走者の萩本欽一さんが走っているときにトラブルが発生。長野駅前を走行中に発炎筒やビラが投げ込まれて来ました。幸いにも萩本さんに被害はありませんでした。
午前9時過ぎにまたもトラブルが起こります。第19走者・福原愛さんが走行している際、チベットの旗を持った台湾人の男性が福原さんの前に飛び出しましたが、警察官に取り押さえられて現行犯逮捕されました。聖火リレーは「エムウェーブ」で休憩した後に再開しましたが、トラブルは相次ぎました。長野市南長池付近ではランナーに卵を投げつけた男が逮捕されると、若里では63歳の男性が投げつけたトマトが警官に直撃しました。様々な混乱が起きた聖火リレーは、アンカーの野口選手が若里公園に到着、聖火台に点火して終了しました。
何より無事に終わった聖火リレーでしたが、トラブルはやはり起きました。今回妨害行為で逮捕されたのは6人。ビラが投げ込まれたのと同時期にプラカードを掲げて車道に出てきた人もいたそうです。また、長野駅前ではスタート前に中国人グループとチベット支援団体&日本の右翼団体による小競り合いが発生し、4人の中国人が負傷しました。終了後には善光寺周辺の花壇が踏み荒らされたあったとのこと。長野県警によると、沿道には8万5000人以上の観客が詰めかけました。また意見の電話とメールが殺到し、「現場の警察官はよくやった」というのがありましたが、殆どが中国人の歓声の喧しさと国旗が邪魔で聖火が見られなかったという苦情の意見でした。
リレーを終えた走者のコメントには様々な思いを述べていました。星野監督は「すんなり走れて次のランナーに渡せた。何もないだろうと予測して、そんな心配はしていなかった」と安堵の様子、野口選手は「皆さんが運んできてくれた聖火を無事に点火できてうれしい」と自らの役目を務めたことにホッとしておりました。福原選手は乱入騒ぎに関して「ちょっと驚いた。何が起きたのか分からなかった」と驚きを隠せない感じでした。萩本さんは「笑顔で走りたかったのに、笑顔がだんだんなくなっていってどうしたんだと思っているうちに終わった」、「ハッピーで終わりたかったのに…」と悔しさを滲ませていました。最後には「警察の方が『位置に付け』といったら、全員が欽ちゃん走りになった」と冗談を言っていましたが、個人的にはあまり笑えません。
聖火はこのあと東京の中国大使館に移動、夜には羽田空港を出発し次のリレー開催地の韓国ソウルに向かいました。現地の報道によると、仁川国際空港に到着したとき、約700人の警官を配置。ソウルへの移動にも約180人の警官と車両15台を投入したと言われています。ソウルでの聖火リレーではどんな混乱が待ち受けているのか…。