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バンクーバー五輪は大会4日目に入り、16日はスピードスケートの男子500mが行われました。過去には長野五輪で清水宏保さんが金メダルを獲得した事もある「日本のお家芸」なんですが、前回のトリノではメダル無しに終わりました。長島圭一郎、加藤条治、及川佑、太田明生の4選手が出場。お家芸復活を目指すこの大会で、日本人2選手がやってくれました!
500mは2本滑走し、2本の合計タイムで争います。この日のスケート会場の「五輪オーバル」は、思わぬトラブルが発生。1本目の10組目が終了し、氷の表面を整備する場面で整氷車が故障。このアクシデントにより競技が1時間以上も中断してしまいました。
15組目、太田選手が日本の先陣を切って登場。相手は于鳳桐(中国)。スタート~最初の100mを9秒65で通過するが、1,2コーナーからバックストレートに入ったところで于鳳桐がリード。太田は懸命に于鳳桐を追いかけるも届かず、35秒31でゴール。
17組目の加藤選手の相手は、世界ランク1位で金メダルの本命である韓国のイ・カンソク。スタートに不安のある加藤は、体が僅かに動いたためフライングを取られる。仕切り直しの2回目のスタートは、揃って綺麗にスタートし、最初の100mはカンソクが9秒54、加藤9秒55で通過。バックストレートで加藤がカンソクを追いかけ、3コーナーでバランスを崩すも立て直し、最終コーナーで加藤が逆転して先着。加藤34秒93、カンソクは35秒10でゴール。
18組目に登場した及川選手は、最初の100mで9秒47と加藤より速いタイムを出すが、後半失速して35秒17、1回目終了時点で13位に終わりました。そして1本目最終組に長島選手が登場。その相手はW杯総合2位のイ・ギュヒョク(韓国)。100mはギュヒョクが9秒63、長島9秒67でギュヒョクがリード。2人は最後の直線まで接戦を演じ、ゴール手前で長島が足を出して先着。長島は35秒12で6位、ギュヒョクは35秒15で10位で1回目を終えた。
1回目を終えて、ミカ・ポウトラ(フィンランド)が34秒86で1位、2位には韓国の伏兵モ・テボンで34秒92、加藤は34秒93で3位とメダル圏内。カンソク4位、カナダのエース・ウォザースプーンが5位につけ、長島は6位。以下及川13位、太田は16位と出遅れました。
2回目、12組目に登場した太田は、100mを9秒72と1本目よりやや遅いタイムで通過。道中相手のムン・ジュン(韓国)との差を拡げ、35秒34でゴール。14組目の及川は、最初の100m9秒55と同走の張忠奇をリードするが、最後の直線で伸びを欠いて35秒28に終わりました。
残り5組となり、16組目に巻き返しを狙うイ・ギュヒョクが登場。しかし、思ったほどタイムが伸びず35秒34の平凡なタイム。17組目に1本目6位の長島が登場。アウトスタートの長島は、スタートから飛び出して最初の100mを9秒64で入る。バックストレートでカナダのグレッグを追走し、インに入って前に出て、最終コーナーで膨れ上がるも突き放して先着!34秒87のタイムを叩き出し、合計タイムも69秒98で17組終了時点でトップに躍り出た!コーチとハイタッチする際転倒するも、倒れながらガッツポーズ。
18組目のイ・カンソクは34秒98と1回目を上回るタイムを出すも、長島には及ばず。この時点でカンソクの金メダルは無くなった。19組目、2位のモ・テボンと世界記録保持者のウォザースプーンが対戦。地元の大声援を受けるウォザースプーンは、何としても相手より先にゴールして表彰台圏内に入りたいところ。スタートではテボンが好スタートを切り、9秒61と長島より速いタイムで通過。ウォザースプーンもいい滑りを見せるが、テボンが3コーナーで再び前に出て、最後の直線でウォザースプーンを引き離してゴール。34秒94と長島のタイムを下回ったが、合計タイムでは69秒82でトップに立ってメダル確定。
いよいよ最終組。1回目トップのポウトラVS3位の加藤が激突。加藤はポウトラより先にゴールすればメダルの可能性あり。メダルを懸けた直接対決は、100m通過時点で加藤9秒56、ポウトラは9秒63。0.07秒差でリードする加藤は、バックストレートでその差をぐんぐん拡げ、後半も踏ん張って35秒07でゴール!合計タイム70秒00で3位確定!この結果、モ・テボンが金メダル、長島の銀メダル、加藤の銅メダルが決まり、表彰台はアジア勢が独占しました。
最終成績
金メダル:モ・テボン(韓国) 1回目・34秒923、2回目・34秒906、合計1分09秒82
銀メダル:長島圭一郎(日本) 1回目・35秒108、2回目・34秒876、合計1分09秒98
銅メダル:加藤条治(日本) 1回目・34秒937、2回目・35秒076、合計1分10秒01
大会4日目にして日本人のメダル獲得者が誕生しました!長島選手が銀メダル、加藤選手が銅メダルと日本勢2つのメダルを獲得!モーグルの上村選手が獲れず、500mもダメだったら今後の日本人選手に影響するんじゃないかと思ったけど、2個も獲得できてホッとしましたよ~。その他の選手ですが、前回4位だった及川選手は13位、太田選手は17位。金メダル候補の韓国人2選手は揃って表彰台を逃し、イ・カンソク4位、イ・ギュヒョクは15位。1回目トップのポウトラは5位、ウォザースプーンは9位で入賞を逃しました。
長島選手は1回目6位とやや出遅れたけど、2回目のタイムは全体のトップで2位に躍進。加藤選手は直前までスタートが上手くいかなかったけど、この日は2本とも良かったです。1回目の34秒台の好タイムが功を奏しましたね。この2人は「日本電産サンキョー」のスピードスケート部に所属し、25歳の加藤選手が先輩で、27歳の長島選手が後輩です。メダリスト2選手が誕生した日本電産サンキョーは、長島選手に1000万円、加藤選手に600万円の報奨金を用意する予定です。
レース後のインタビューでは、2人の表情は好対照でした。長島選手は「メダルが獲れてよかった」と喜んでいたのに対し、加藤選手は「てっぺん狙いに行ったので悔しい」と銅メダルという結果に満足していませんでした。それでも2度目の五輪挑戦で獲得したのだから素晴らしい事だと思います。
17日はメダル候補の選手たちが続々登場。スノーボード男子ハーフパイプでは、世界選手権王者・青野令選手と腰パン&会見での態度が波紋を呼んでいる国母和宏選手が出場します。スピードスケート女子500mでは、5度目の五輪出場となる岡崎朋美選手、小平奈緒選手、吉井小百合選手が出場。吉井選手は前哨戦の世界スプリントで総合2位、しかも長島・加藤選手と同じく日本電産サンキョーのスピードスケート部に所属しています。男子の勢いそのままに女子もメダル獲得なるか?そしてフィギュアスケートの男子ショートプログラムがあります!高橋大輔、織田信成、小塚崇彦が世界の強豪に挑戦。SPの結果次第では日本人のメダリストが出てくるかもしれません。
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