ダート競馬の祭典「JBC(ジャパンブリーディングファームカップ)2015」が3日、東京・大井競馬場で行われました。1日に3つのGⅠ競走が開催されるこのイベント、PART1は「JBCレディスクラシック」と「JBCスプリント」を振り返ります。
大井8レース・第5回JBCレディスクラシック(牝馬限定・1800m)は、16頭が出走しましたが、⑭サイモンガーランド(大井)が競走除外になったため、15頭立てで争われることになりました。JRA勢からは、昨年に続いての連覇を狙う⑥サンビスタ、昨年2着⑯トロワボヌール、重賞2勝⑦アムールブリエ、関東オークス覇者③ホワイトフーガ、②カチューシャ、⑬キャニオンバレーの6頭が参戦。地方勢は④ノットオーソリティ(船橋)、昨年5着⑩ブルーチッパー(大井)、⑤リュウグウノツカイ(川崎)、⑧アクティフ(大井)、⑮ブラックバカラ(高知)などが出走しました。
スタートは15頭綺麗に飛び出し、スタンド前での先行争いで、ブルーチッパーが先手を取り、カチューシャ・アクティフ・⑫ボーラトウショウ(高知)・キャニオンバレーが2番手集団を形成。サンビスタ・ホワイトフーガ・アムールブリエ・トロワボヌールは中団の位置でスタンド前を通過した。
1・2コーナーを回り、向正面に出るところで、ブルーチッパーが先頭、2番手にカチューシャ、3番手にキャニオンバレー。4,5番手のところにアムールブリエとサンビスタが並走状態。その後ろの6番手にホワイトフーガ、外側の7番手からトロワボヌールが並びかける。中団には8番手アクティフ、9番手ノットオーソリティ。中団より後ろのグループは少し離れ、10番手リュウグウノツカイ、11番手ボーラトウショウ、12番手ブラックバカラ、13番手①ユーセイクインサー(笠松)、14番手⑨タッチデュール(笠松)、最後方に⑪アスカリーブル(川崎)。
外回り3コーナーを通過し、チッパーが快調に飛ばして後続に差を広げる。チッパーが2番手に浮上し、サンビスタは内側の4番手、トロワボヌールが外に出し、フーガはまだ6番手。直線コースに入り、サンビスタとアムールブリエが逃げるブルーチッパーに並びかける。しかし、ゴールまで残り200mのところで、ホワイトフーガがインを突いて先頭に立つ。そしてそのまま後続にリードを拡げてゴールイン!3歳馬・ホワイトフーガ、世代交代を実現させました!
砂の女王を決める戦いは、単勝4番人気だったホワイトフーガが優勝。道中は中団より前の位置に控え、直線ではブルーチッパーとサンビスタの間を割って抜け出し、最後は2着に5馬身差をつけての圧勝でした。2着には1番人気のサンビスタ、3着には3番人気・トロワボヌールが入り、2番人気のアムールブリエは4着。そしてリュウグウノツカイが地方勢で最高の5着と健闘しました。その他の中央勢は、カチューシャ11着、キャニオンバレーは13着という結果でした。(全着順と配当はこちら)
ホワイトフーガは父・クロフネ、母・マリーンウィナー、母の父・フジキセキという血統。関東オークスで重賞初Vの後、ブリーダーズゴールドカップで3着、レディスプレリュードでも3着でしたが、今回2度目の重賞勝ち&GⅠ初勝利を手にしました。鞍上の大野拓弥騎手と管理する高木登調教師は、ダート交流GⅠは初勝利。馬も強かったけど、大野騎手の巧さが光りました。年齢もまだ3歳だから、今後も重賞勝ちを量産しそうですね。それに、今回の勝ちっぷりを見ると、牡馬と互角に渡り合えそうな気がします。
大井9R・第15回JBCスプリント(1200m・16頭立て)は、東京盃など今年重賞4勝の⑥ダノンレジェンド、マイルチャンピオンシップ南部杯で連覇を果たした⑩ベストウォーリア、昨年の優勝馬⑭ドリームバレンチノ、オーバルスプリントを勝った③レーザーバレット、プロキオンステークス2着②コーリンベリー、⑦ノーザンリバーのJRA勢6頭に加え、昨年のこのレースで惜しくも2着だった⑧サトノタイガー(浦和)、⑮ポアゾンブラック(北海道)、⑤ジョーメテオ(浦和)、⑪セイントメモリー(大井)、①タガノジンガロ(兵庫)などが参戦しました。
スタートでセイントメモリーとコーリンベリーが好ダッシュを見せ、④コスモフィナンシェ(岩手)がやや遅れる。好スタートを切ったコーリンベリーが先手を奪い、ポワゾンブラックがが2番手追走。タガノジンガロが3番手、4番手にダノンレジェンド、5番手集団にはベストウォーリア・サトノタイガー・ノーザンリバーが固まり、8番手から⑬ゴーディーが追う。9番手グループにはドリームバレンチノ、⑫アルゴリズム(大井)、セイントメモリーの3頭。レーザーバレットは内側の12番手に控えている。後方はジョーメテオ、⑯マルカバッケン(大井)、コスモフィナンシェ、⑨バーチャルトラック(高知)と続く。
3,4コーナー中間点を過ぎ、コーリンが先頭、ポワゾン2番手、ダノレジェが3番手。ウォーリアは4番手集団の中。バレンチノは外に回り、バレットは中団馬群。最後の直線に差し掛かり、コーリンベリーが後続に差を拡げにかかり、ダノンレジェンドが2番手から追い込む。3番手争いでは内からポワゾンブラック、外からベストウォーリアとドリームバレンチノ、レーザーバレットも来ている。ラスト100mでダノレジェがコーリンに差を詰めるが、コーリンベリーがそのまま押し切ってゴールイン!メンバー紅一点・コーリンベリー、逃げ切ってGⅠ初制覇!
ダートスプリント王決定戦・JBCスプリントは、単勝3番人気のコーリンベリーが鮮やかに逃げ切り勝ち。単勝1.6倍の圧倒的1番人気の支持を集めたダノンレジェンドは3/4馬身差の2着に敗れ、マイルとの「2階級制覇」を目指したベストウォーリアが3着。ウォーリアは距離が短かったかな。4着にレーザーバレット、5着にドリームバレンチノが入り、上位5頭をJRA勢が独占しました。地方勢はジョーメテオの6着が最高で、ポワゾンブラックが7着。ノーザンリバーは中央勢ワーストの7着。なお、14着だったタガノジンガロは、ゴール後に急性心不全を起こして死亡しました…。
勝ったコーリンベリーは、かきつばた記念に次いでの重賞2勝目で、GⅠ初勝利。JBCスプリントで牝馬が制したのは史上初の快挙。さらに父・サウスヴィグラス(2003年優勝)との親子制覇も成し遂げました。かつてはホクトベガやファストフレンドといった「砂の名牝」が混合GⅠで活躍したけど、久しぶりに牡馬を一蹴する馬が現れましたね。
コーリンベリーの手綱を取った松山弘平騎手は、デビュー7年目で初のGⅠ制覇。小野次郎調教師は開業5年目で初GⅠ初勝利です。騎手時代を含めると初めてのビッグタイトル獲得です。
PART2では、ホッコータルマエとコパノリッキー、ハッピースプリントなどが出走した「JBCクラシック」を振り返ります。