今月13日は阪神競馬場で2歳牝馬によるGⅠ競走「阪神ジュベナイルフィリーズ」がありましたが、その同じ日に香港・シャティン競馬場で「ロンジン香港国際競走」が行われました。日本からは3レース合計で10頭が出走し、「香港マイル」でモーリスが優勝すれば、「香港カップ」ではエイシンヒカリが逃げ切り勝ちを収めました!
「香港マイル」(芝1600m・14頭立て)には、⑪モーリス、⑥フィエロ、⑬ダノンプラチナの日本勢3頭のほかに、香港最強マイラー①エイブルフレンド、沙田トロフィー覇者⑦コンテントメント、ジョッキークラブマイルを勝った③ビューティーフレーム、⑩ジャイアントトレジャーの香港勢、ジャックルマロワ賞などGⅠ3勝の⑭エゾテリック(フランス)、BCマイル2着④モンディアリスト(英国)などが参戦しました。
スタートで⑨レッドドバウィ(ドイツ)が出遅れ、フィエロとダノンプラチナも後方からのスタート。モーリスは中団の位置につけた。好スタートを切ったビューティーフレームとコンテントメントの2頭が競り合うが、⑫シークレットシャムが間を割って先頭に躍り出る。ビューティーフレームとコンテントメントが2,3番手で並び、その後ろの4番手集団は、ジャイアントトレジャー・⑪ロマンチックタッチ・⑤トゥールモア(英国)の3頭が固まっている。モーリスは7番手に控え、エゾテリック8番手、その後ろの9番手にエイブルフレンドが追走する。フィエロは10番手、11番手⑧リワーディングヒーロー、ダノンプラチナは12番手。後方2番手にレッドドバウィ、モンディアリストが最後方を進んだ。
3コーナーを回り、シャムが先頭でレースを引っ張り、トゥールモアが3番手まで浮上。モーリスは依然として中団7番手をキープ。エイブルはモーリスの背後にぴったりついている。フィエロとダノプラはまだ後方待機。どこまで順位を押し上げられるか?
4コーナーから最後の直線に入ったところで、フレームが内側を突いて先頭に並びかける。フィエロは4番手争いの中だが、抜け出すのに苦しんでいる。モーリスとエイブルフレンドは外から追い上げる。ゴール残り200mを切り、ジャイアントトレジャーがビューティーフレームを抜いて先頭に立つが、大外からモーリスとエイブルフレンドが襲い掛かり、ラスト50mでモーリスがジャイアントトレジャーをかわして先頭ゴールイン!日本最強マイラー・モーリスが、香港も制圧しました!
エイブルフレンドVSモーリスの「マイル頂上対決」は、モーリスに軍配が上がりました!エイブルフレンドより前の位置につけ、直線で力強く脚を伸ばし、前を行く馬たちをごぼう抜き、ゴール前で抜け出しました。2着にはジャイアントトレジャーが入り、エイブルフレンドは3着まででした。他の日本勢は、ダノンプラチナは7着、フィエロは9着に終わりました。フィエロも良い位置にいたんだけど、ラスト150mあたりで前が詰まってしまいました。
海外GⅠ初勝利のモーリスは、今年6戦6勝。日本馬が香港マイルを勝利したのは、2005年のハットトリック以来10年ぶりの快挙です。年明け時は1000万下の条件馬でしたが、オープン昇級初戦のダービー卿チャレンジトロフィーで重賞初制覇を果たすと、さらに安田記念&マイルCSの「マイルGⅠ春秋連覇」を達成。そして破竹の6連勝で「アジア№Ⅰマイラー」まで伸し上がりました。堀宣行厩舎に転厩して良かったなあ。
今年6戦負けなし、しかもGⅠも3勝しているから、「最優秀短距離馬」はほぼ確実。年度代表馬に最も近いであろうラブリーデイの有馬記念の結果次第では、「年度代表馬」&「最優秀短距離馬」に加え、「最優秀4歳以上牡馬」の3冠もあるかもしれない。来年は「ドバイターフ」か「香港チャンピオンズマイル」、夏か秋には「ジャックルマロワ賞」か「サセックスステークス、」「ムーラン・ド・ロンシャン賞」あたりに挑戦してほしいですね。
「香港カップ」(芝2000m)は、⑧ゲリオショップ(フランス)が出走取消のため、13頭立てで争われました。日本からは2014年オークス馬⑭ヌーヴォレコルト、クイーンエリザベス2世カップ2着⑦ステファノス、⑪エイシンヒカリ、⑨サトノアラジンの4頭が参戦。地元・香港勢は③ブレイジングスピード、①デザインズオンローム、⑤ミリタリーアタック、⑩ビューティーオンリーらが出走。他にも豪州GⅠ2勝の④クライテリオン(豪州)、プリンスオブウェールズステークスを勝った②フリーイーグルも参戦しました。
スタートでブレイジングザスピードとサトノアラジン、ダンエクセルが好スタートを切ったが、1コーナーのところでエイシンヒカリが先手を奪ってみせた。ここは意地でも譲らない。ステファノスとヌーヴォレコルトは中団、サトノアラジンは後方に控える形となった。
1,2コーナーを過ぎて向正面に出たところで縦長の展開となり、エイシンヒカリがレースを引っ張り、ダンエクセル2番手、3番手にフリーイーグル、ブレイジングザスピード4番手。5番手にビューティーオンリー、ミリタリーアタックが6番手追走。7番手⑫フリーポートラックス、8,9番手あたりにヌーヴォレコルトとステファノスがいる。デザインズオンローム、サトノアラジン、クライテリオン、⑬ルーシャヴァレンティーナ(豪州)は後方。
3コーナーを回り、ヒカリが快調に飛ばし、2番手エクセルと3番手フリーイーグルは変わらず。デザイン、ミリタリー、ブレイジングの香港3強は追いつけるか?3,4コーナー中間点で、アラジンが外から押し上げ、ステファノスは中団馬群、ヌーヴォは中団のインコース。
最後の直線、エイシンヒカリがまだ逃げる。3番手からブレイジングスピード、内ラチ沿いからヌーヴォレコルトが追い上げる。しかし、その間にヒカリが後続を引き離す。後ろからは何も来ないのか?ラスト100mでヌーヴォとブレイジングが差を詰め、ヌーヴォが2番手に浮上したが、エイシンヒカリがそのまま逃げ切ってゴール。そしてヌーヴォレコルトが2着に入り、日本馬がワンツー独占です!
香港カップは、スタートから先頭でレースを進めたエイシンヒカリが、最後まで脚色が落ちることなく悠々と逃げ切って優勝。香港の地で初めてのGⅠ制覇を成し遂げました。直線で突き放すと、ゴール手前で流す余裕の走り。武豊騎手も勝利を確信してのガッツポーズを見せておりました。優勝タイム2分0秒60は、香港カップのレースレコードだそうです。
2着のヌーヴォレコルトは、オールカマー、エリザベス女王杯に続き、3戦連続での2着。GⅠ競走での2着は今回で4回目。一応はオークス馬なんですが、「シルバーコレクター」と言わざるを得ないですねえ。ヌーヴォも強豪の香港馬を相手に先着しているから、内容からして価値ある2着だけど…。
他の日本馬は、ステファノス10着、サトノアラジンは11着。香港勢は、ブレイジングザスピードが3着、1番人気だったデザインズオンロームは4着、ミリタリーアタックは6着でした。2番人気のフリーイーグルは最下位の13着に終わっております。
日本馬が香港カップを制したのは、2001年のアグネスデジタル以来14年ぶり。鞍上の武豊騎手は同レース初勝利で、2007年のドバイデューティーフリー以来約8年ぶりとなる海外GⅠ勝利となりました。エイシンヒカリはレース当日、単勝オッズで38.7倍で9番人気。前走の秋の天皇賞で9着、GⅠ未勝利、それに海外初挑戦ということであまり人気無かったけど、己の実力で低評価を覆してみせました。香港のファンもエイシンヒカリの真の実力にビックリしたんじゃないでしょうか。
さて、阪神JFと同時刻に行われた「香港スプリント」ですが、地元・香港のペニアフォビアが優勝。日本勢はミッキーアイルの7着が最高で、現役ラストランのストレイトガールが9着、サクラゴスペルは12着に終わりました。さすがにスプリント戦だと香港には敵わないですね~。香港で連覇したロードカナロアが如何に凄かったことか…。