たまたま、Yahoo! ニュースで毎日放送のニュースを見ました。「阪急が『伊丹空港線』検討 電車で梅田から直結に」というもので、今日の午後に報じられたようです。
阪急宝塚線の曽根駅から大阪国際空港まで、およそ3.5キロメートルで、地下路線ということのようです。
ただ、実現性がどの程度なのかはわかりません。曽根駅は高架駅ですが、この駅の周辺を除けば地下路線であるということになれば「事業費は数千億円規模になるとみられ」るそうですから、それだけの負担を将来の長きにわたって背負うだけの体力があるかどうかが問われるでしょう。
勿論、実現すれば大阪国際空港から梅田駅までの直通運転が行われるでしょうから、非常に利便性は高くなります。現在は、大阪モノレールに乗って蛍池駅で宝塚線に乗り換える、または千里中央駅で北大阪急行線・御堂筋線に乗り換えるという方法で梅田に行けますが、どちらにしても乗り換えは必要です。前者のほうが運賃は安くなるはずですが、宝塚線の特急「日生エクスプレス」および通勤特急は蛍池に停まりません(もっとも、特急・通勤特急が運行される時間帯は、基本的に平日の朝夕ラッシュに限られます)。後者のほうは、御堂筋線を利用するために新大阪、淀屋橋、難波、天王寺にも行けますが、大阪モノレール、北大阪急行、大阪市営地下鉄と3社(?)にまたがるため、運賃は高くなります(北大阪急行の運賃が安いのは救いですが)。
しかし、実際のところ、阪急にそれだけの体力があるのかどうかがわかりません。新大阪連絡線の二の舞にならないかと懸念される向きもあるかもしれません。1960年代に淡路〜新大阪〜十三(「じゅうそう」と読みます)、および新大阪〜神崎川の新路線が計画され、建設の準備も進められましたが、結局、淡路〜新大阪、および新大阪〜神崎川については廃止ということになりました。ちなみに、淡路〜新大阪はJR西日本のおおさか東線の一部として、近い将来に開業することとなっています。
他方、新大阪〜十三については、阪急電鉄が路線免許を維持してきました。最近になってなにわ筋線の方針がかなり固められたこともあり、十三から新大阪までは開通の可能性もありますが、関東地方から見ている者としては、新大阪連絡線となにわ筋線との関係が今ひとつ明らかでないのです。
もう一つ、阪急の体力ということで気になるのは、北神急行電鉄の債務です。建設費が高かったこと、その後の金利負担が重かったこと、運賃が高かったこと、輸送量が伸び悩んだことから、2002年、北神急行電鉄は北神線を神戸高速鉄道に譲渡しました。その結果、北神急行電鉄が第二種鉄道事業者、神戸高速鉄道が第三種鉄道事業者になっています。この時に神戸高速鉄道は兵庫県、神戸市および阪急から融資を受けています。また、神戸高速鉄道は、譲受時から20年間、北神線の鉄道施設を保有しますが、その後は阪急が残資産および残債務は全て引き継ぐこととなっています〔以上については、2006(平成18)年3月17日付の神戸市監査委員「財政援助団体等監査結果報告〔神戸高速鉄道株式会社〕」(http://www.city.kobe.lg.jp/information/inspection/office/kekka/img/18-1-2.pdf)を参照しました〕。
2002年の北神線譲渡から15年が経過します。残るはあと5年ですが、債務はどの程度まで減っているのでしょうか。当然、企業としてはそれなりの成算があるからこそ、伊丹空港線の計画も立てることができるのでしょう。