このところ、行政法学者の端くれとして、地方創生に取り組まざるを得ない状況にあります。
正直なところ、地方創生は中央集権的であって地方分権的でないという印象を強く持っており、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万国博覧会と並べると、まるで地方創生と似つかわしくなく、むしろ矛盾するという率直な感想を抱かざるをえません。地方創生というのであれば、オリンピックも万国博覧会も、東京以外、大阪以外の都市で行うようにすればよかったのです。
人の流れは、政府の思うようにはいきません。また、「地方生活」云々という書籍を、時折見かけますが、実際には短期的な効果しかないとも言われています。それはそうでしょう。地域の因習だのしがらみだの何だのに縛られるようでは、UターンだのIターンだのをやる意味がありません。また、東京圏および京阪神では公共交通機関が発達していますが、それ以外では政令指定都市でも不便であったりします。車社会ですから、自分が病気になっても自分で車を運転して病院へ行かなければならないというようなことも生じてきます。私自身が、7年間、車社会で生活しましたし、怪我をして病院へ行くと言っても救急車を呼ぶほどではなかったので、出血の状況を見ながら当時の自宅の近くにあった救急病院まで車を運転しました。
こんなことを思いながら共同通信社のサイトを見たら、昨日(2019年1月31日)の19時1分付で「東京圏に転入超過、一極集中拡大 市町村の7割、人口流出」(https://this.kiji.is/463590480486368353)という記事を見つけました。
昨日、総務省が2018年の人口移動報告を公表しました。東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。つまり南関東です)では、転入者が転出者を139,868人上回りました。これは2017年より14,338人多いということであり、23年連続の転入超過を記録することになります。この人数は日本人、外国人を問わないものですから、日本人に限定すると「東京圏の転入超過は15~29歳が12万7393人に上り、進学や就職を機に地方から流入する実態をうかがわせた。日本人の超過数は全年齢層で計13万5600人だった」とのことです。
また、日本の全市町村(1700を超えます)の72.1%が転出超過となっています。地方創生は「効果が見えない」どころか、最初から上手くいっていない訳です。厳しく言えば、やるだけ無駄が重なる政策であると評価しうるでしょう。
ここは発想を転換して、転入超過状態になっている東京圏にもっと金などをかけ、待機児童の減少などを実現していくのが先でしょう。東京圏で育ち、就職は他の地方で、というほうが現実的であるかもしれません。
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なお、上記の内容は、朝日新聞2019年2月1日付朝刊5面14版にも「東京圏転入超過14万人」という小さな記事で書かれています。139,868人ですから14万人と言ってもよい訳です。
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