ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

阪神武庫川線

2016年05月04日 09時11分34秒 | 写真

 相模鉄道が大手私鉄の仲間入りを果たすまで、大手私鉄で最も営業キロが短かったのが阪神電気鉄道です。この会社は阪神タイガースの親会社などとして有名ですが、関東地方の人間にとって、阪急や近鉄よりは縁が薄いということも否定できないでしょう。このように記す私も、学部生時代に一度、阪神本線および神戸高速線(神戸高速鉄道東西線)を利用したことがあるだけで、なんば線(かつての西大阪線)と武庫川線を利用したことは一度もなかったのでした。大学の教員になってから、学会などで京阪神地区の大学に行くことがありますが、その際には阪急電鉄や大阪市営地下鉄を利用することが多かったのでした。

 たまたま、阪神なんば線および武庫川線を利用する機会に恵まれたので、大阪難波駅から尼崎行きに乗り、尼崎駅で本線の各駅停車に乗り換え、武庫川駅に着きました。ここが、阪神で唯一の単線路線にしてワンマン運転を行う路線である武庫川線の起点です。

 武庫川駅の本線のホームは、武庫川を渡る橋に設置されています。つまり、川の上にホームがあり、電車が停まるのです。これは日本でもあまり例を見ないもので、私がすぐに思いついたのは都営新宿線の東大島駅です。武庫川駅と東大島駅の共通点は、川の上にホームがあることのみならず、その川が市区町村の境界をなしていることです。武庫川駅の場合は尼崎市(東側)と西宮市(西側)に跨がっており、東大島駅の場合は江東区(西側)と江戸川区(東側)に跨がっています。さらに、通過列車があることも両駅の共通点です。

 武庫川駅の駅舎は尼崎市、西宮市の双方にありますが、武庫川線に乗り換えるためには西宮市の側に向かいます。武庫川を渡り終え、階段を下ると駅舎があり、正面と右側に自動改札機が置かれています。右側を通れば駅の外へ出るのですが、正面は武庫川線のホームにつながっています。同じ会社の路線なのに改札を抜けなければならないので、違和感が残りますが、武庫川線の東鳴尾駅と洲先駅には(ICカード用を除いて)自動券売機も設置されていないので、中間改札の必要があるのです。この点は東武大師線の起点駅である西新井に似ています。

 ホームには2両編成の7890+7990が停まっていました。武庫川線専用で、3801形と3901形を改造して7890形と7990形にしたものです。また、7861形+7961形も運行されています。いずれも、本線の特急や急行としておなじみであった赤胴車ですが、普通列車として運行されています。そもそも、本線では(回送を除いて)もうこの塗装を見ることはできません。

 武庫川駅を発車すると、武庫川に沿ってゆっくり走ります。本線とのギャップが大きすぎるくらいの速度です。朝であったためか、東鳴尾駅で列車交換をして、かつての終点であった洲先駅を出て少し走れば、終点の武庫川団地駅です。起終点を合わせて4駅もありながら、わずか1.7キロメートルという短い路線です。武庫川団地駅には比較的大きな駅舎もあり、自動改札機も自動券売機もありますが、無人駅であるとのことです。横にスーパーマーケットがあり、南側には団地が広がっています。なお、初代の洲先駅が現在の武庫川団地駅の場所にあったらしいのですが、武庫川団地駅としての開業は1984年です。

 武庫川線は、元々軍需路線として建設されました。沿線に軍需工場が多かったためで、国鉄東海道本線とも接続していました。阪神と国鉄とでは軌間が異なるため(阪神が1435mm、国鉄が1067mm)、三線軌条の区間も存在したそうです。

 

 


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