ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

いつまで走るか 東急9000系9008F

2024年01月21日 19時59分45秒 | 写真

大井町線G各停大井町行きとして運行されている東急9000系9008Fを撮影しました。

 この編成も、かつて東横線で8両編成として特急、通勤特急、急行および各駅停車として活躍していました。現在は5両編成で大井町線各駅停車用として運用されています。果たして、西武鉄道に譲渡されるのでしょうか。

  このところ、写真撮影には専らiPhone15 Proを使用しています。iPhone12を使い始めるまではソニーのサイバーショットを何台か購入し、使用していましたが、最近はほとんど使用していません。そればかりか、10年程持っていたキヤノンのEOS Kiss X5も手放しました。

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副首都機能の整備の推進に関する法律案

2024年01月20日 22時00分00秒 | 国際・政治

 第211回国会(2023年通常国会)の際に衆議院議員提出法律案第4号として「副首都機能の整備の推進に関する法律案」が出されました。第212回国会においても議案として扱われましたが、閉会中審査の扱いとされています。気になったので、ここで紹介しておきます。

 これまで、首都機能移転などという議論が行われてきていますが、実は日本の法令で首都を明確に定めた規定は存在しません。ただ、裁判所法第6条が最高裁判所の所在地を東京都と定めており、国土形成計画法第9条が「首都圏」を「埼玉県、東京都、神奈川県その他政令で定める県の区域を一体とした区域をいう」と定義していること、首都圏整備法第2条第1項が「この法律で『首都圏』とは、東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域をいう」と定義していることからすれば、東京都が日本の首都であることは明白です。そもそも、日本は立憲君主国であり(憲法学者の多くはこの事実を直視しないのですが、国際的観点からして当然の事実です)、皇居が東京都千代田区に所在することからして、日本の首都が東京都であることは明らかです。

 こうした観点を踏まえて私は首都のことを考えているので、首都機能移転とは随分とおかしな議論であると考えていました。首都機能の意味が明白でない上に、機能の全部を移転するのか一部を移転するのか、そして何よりも皇居や東宮御所は移転するのか移転しないのかという最大の問題が扱われていないのでした。皇居が東京都千代田区にある以上、国会を大阪府に移転したからといって大阪府が首都になるはずがないのです。

 (但し、オランダやボリビアと同じように憲法において首都を明確に定めておけば、憲法上の首都と事実上の首都が異なることもありえます。オランダの場合、王宮がハーグにあるので事実上の首都はハーグということになりますが、憲法第32条においてアムステルダムが首都であると明記されています。また、ボリビアの場合、憲法上の首都はスクレであり、そこに最高裁判所があるのですが、議会や行政機関はラパスにあるので、ラパスが事実上の首都です。このような国家は他にもあるはずです。)

 いずれにしても、首都機能移転というのは現実的ではありません。せいぜい、南アフリカ共和国のように立法権、行政権、司法権を異なる都市に置くか、行政機関の一部を東京都以外のどこかに移転するのが関の山というところでしょうか。

 2023年の通常国会において「副首都機能」に関する法律案が提出されたということは、少なくとも国会において(ということは少なからぬ国会議員の間において)首都機能移転が非現実的であり、方針として放棄されたことを意味します。そこで、東京都を首都とした上で、首都を補う、または首都に集中する機能の一部を分散させるための措置を採ろうということでしょう。或る意味では現実的な観点に立っていると考えられます。このことは、次のように書かれている、法律案に付された提出理由からもうかがえます。

 「東京圏への政治、行政、経済等の中枢機能及び人口の一極集中により、東京圏とその他の地域との間における経済的格差が生じていること、災害等の発生により首都中枢機能を維持することが困難となるおそれがあること及び我が国における少子化が進展し、人口の減少が継続するおそれがあることに鑑み、副首都機能の整備を推進するため、その基本理念を定め、国及び関係地方公共団体の責務を明らかにし、並びに副首都地域の指定及び副首都地域における副首都機能の整備の推進に関する基本方針について定めるとともに、副首都機能整備推進本部を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」

 それでは、「副首都機能の整備の推進に関する法律案」とはいかなるものでしょうか。

 「目次」を見ると、次のような構成になっています。

 

 第一章 総則(第一条-第六条)

 第二章 副首都地域における副首都機能の整備の推進

  第一節 副首都地域の指定等(第七条・第八条)

  第二節 基本方針(第九条-第十六条)

 第三章 副首都機能整備推進本部(第十七条-第二十七条)

 附則

 

 続いて、法律案の内容です。全部を紹介する訳にもまいりませんので、一部のみをとりあげます。

 第1条は、「目的」として「この法律は、東京圏への政治、行政、経済等の中枢機能及び人口の一極集中により、東京圏とその他の地域との間における経済的格差が生じていること、災害その他非常の事態(以下「災害等」という。)の発生により首都中枢機能(東京圏における政治、行政、経済等の中枢機能をいう。以下同じ。)を維持することが困難となるおそれがあること及び我が国における少子化が進展し、人口の減少が継続するおそれがあることに鑑み、副首都機能の整備を推進するため、その基本理念を定め、国及び関係地方公共団体の責務を明らかにし、並びに副首都地域の指定及び副首都地域における副首都機能の整備の推進に関する基本方針について定めるとともに、副首都機能整備推進本部を設置することにより、政治、行政、経済等の中枢機能及び人口の一極集中を是正し、もって国民経済の発展及び国民生活の安定向上に資することを目的とする。」と定めています。

 第2条は、多くの法律と同様に定義規定です。第1項は「この法律において『副首都機能』とは、東京圏と並ぶ我が国の経済の中心として我が国の経済の成長を牽(けん)引するとともに、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合に当該機能を代替する機能をいう。」と定めています。また、第2項は「この法律において『副首都地域』とは、副首都機能を整備すべき地域として内閣総理大臣が指定する地域をいう。」と定めています。

 第3条は「基本理念」に関する定めです。何故、何のために「副首都機能」を必要とするのかを示すものと言えます。

 同第1項:「副首都機能の整備の推進は、経済基盤の強化、事業の高度化及び生産性の向上並びに新たな事業の創出の促進等により、副首都地域における産業競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成を図ることを旨として行われなければならない。」

 同第2項:「副首都機能の整備の推進は、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合において、国民生活及び経済活動に及ぼす影響が最小となるようにするため、副首都地域において迅速かつ確実に当該機能を代替することができるようにすることを旨として行われなければならない。」

 同第3項:「副首都機能の整備の推進は、東京圏をはじめとする産業及び人口が集積している地域における少子化の進展の状況に鑑み、副首都地域における少子化に的確に対処するため、良好な子育て環境を整備することを旨として行われなければならない。」

 同第4項:「副首都機能の整備の推進に当たっては、地域の創意工夫及び民間の活力を生かして、効果的かつ効率的に行われるようにしなければならない。」

 少し飛ばして第7条です。「副首都機能」を何処に置くかという問題に関する規定であり、第1項は次のように定めています。

 「第二条第二項の規定による副首都地域の指定(以下単に「副首都地域の指定」という。)は、この法律の施行後一年以内を目途として、次に掲げる要件のいずれにも該当する地域のうちから、行うものとする。

 一 人口及び都市機能の集積の程度が高く、経済活動が活発に行われている地域であること。

 二 東京圏が災害により著しい被害を受ける場合に同一の災害により著しい被害を受けるおそれが少ないと見込まれる地域であること。」

 具体的に何処が想定されているのかはわかりませんが、読んですぐ思い浮かぶのは大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市というところでしょうか。「副首都機能」を担う都市が一つでなければならないということは法律案に示されていませんし、複数存在してはいけないという訳でもないでしょう。都市圏の大きさからすれば大阪市が筆頭に置かれることは容易に想像ができます。公共交通網の発達の度合いからしても大阪市を中心とする京阪神地区が想定されるのは当然でしょう。但し、以上は私の勝手な推測です。

 また少し飛ばして第10条です。「経済基盤の強化」という見出しの下に「副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、経済基盤の強化を図るため、副首都地域内及び国内外の他の地域との間の交流及び物資の流通を促進するための交通施設の整備並びに交通の利便性の向上及び円滑化の促進、国際会議場施設の整備その他の都市機能の増進に寄与するまちづくりの推進、安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築の促進その他の必要な措置が講ぜられなければならない。」と定められています。

 続いて第11条です。「事業の高度化及び生産性の向上並びに新たな事業の創出の促進」という見出しの下に「副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、事業の高度化及び生産性の向上並びに新たな事業の創出の促進を図るため、必要な規制緩和の推進、国及び関係地方公共団体が保有するデータの事業者による活用の促進、起業を志望する者及び新たに事業を開始した者に対する助言、情報の提供その他の支援を行う事業者に対する援助、外国法人又は外国人若しくは外国法人が経営を支配する法人によるその事業の用に供する施設の新増設の促進その他の必要な措置が講ぜられなければならない。」と定められています。

 第12条は「人材の育成及び確保」という見出しの下に「副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、副首都地域における産業競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材の育成及び確保を図るため、教育の充実並びに職業能力の開発及び向上の促進、高度の専門的な能力を有する外国人の受入れの促進その他の必要な措置が講ぜられなければならない。」となっています。

 「副首都機能」という点では、首都機能の代替が十分に行われうる程度のものが必要となります。その点が意識されているのが、「首都中枢機能の代替」という見出しが付された第13条であり、「副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合に副首都地域において迅速かつ確実に当該機能を代替することができるよう、必要な施設の確保及び体制の整備、首都中枢機能の代替のための拠点の形成に資する副首都地域への国の行政機関の官署及び独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第二十三条第一項において同じ。)の事務所の移転、副首都地域における災害等による被害の発生を防止し、又は軽減するために必要な公共施設等の整備その他の必要な措置が講ぜられなければならない。」となっています。

 第14条以下については、この記事において触れません。ただ、各条文を読むと、この「副首都機能の整備の推進に関する法律案」の各条の文言は、本当に衆議院議員提出法律案なのかと疑いたくなるものでした(ちなみに、提出会派は日本維新の会です)。衆議院議員提出法律案および参議院議員提出法律案に目を通してみると、政府に一定の役割を担わせ、狭くない裁量を与えるような規定が多く、内閣提出法律案と比較して規律の密度が薄いという傾向があります。しかし、「副首都機能の整備の推進に関する法律案」は規律の密度が比較的濃いのです。部分的であるとしても政府または与党の意向などが反映されているのではないでしょうか。ただ、そうであるとするならば第211回国会、第212回国会のいずれにおいても閉会中審査の扱いとされたことを上手く説明できません。勿論、衆議院法制局の方々の御尽力があることを忘れてはなりませんが、それなりに中身が詰まった法律案であると評価することも許されるでしょう。

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Shibuya Sakura Stageにて

2024年01月19日 22時47分05秒 | まち歩き

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京王9000系9737F

2024年01月18日 00時00分00秒 | 写真

京王稲田堤駅で、区間急行橋本行きの京王9000系9737Fを撮影しました。

 区間急行という種別で運行されていますが、京王相模原線内では各駅停車と変わりません。ちなみに、京王線内での停車駅は、新宿、初台、幡ヶ谷、明大前、桜上水、千歳烏山、仙川、つつじヶ丘、調布です。

 それにしても、京王の9000系までの車両に備え付けられている行先表示の小ささを見る度に「何を考えているのだろう?」と思わざるをえません。

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東京都交通局10−300形10-710F

2024年01月17日 00時00分00秒 | 写真

京王稲田堤駅で、快速本八幡行きの東京都交通局10-300形10-710Fを撮影しました。

 快速は、京王相模原線内の各駅に停車した後、調布駅を出ると、つつじヶ丘駅、仙川駅、千歳烏山駅、八幡山駅、桜上水駅、下高井戸駅、明大前駅、笹塚駅、幡ヶ谷駅、初台駅、新宿駅に停車し、新宿駅から本八幡駅まで都営新宿線の各駅に停車します。

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再び、京王5000系5737F

2024年01月16日 20時45分00秒 | 写真

朝、京王稲田堤駅で回送の京王5000系5737Fを撮影しました。おそらく、京王ライナーとして朝のラッシュ時に運転され、運用を終えて若葉台検車区に戻るのでしょう。

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新二子橋から(5)

2024年01月15日 00時00分00秒 | まち歩き

新二子橋からです。左側に見えるのが二子玉川ライズ、右側の奥に見えるのが武蔵小杉駅周辺の高層建築物です。

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新二子橋から(4)

2024年01月14日 00時00分00秒 | まち歩き

新二子橋から撮影したものです。用賀駅の真上にある世田谷ビジネススクエアのビルが見えます。

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芸備線について再構築協議会の設置が決定された

2024年01月13日 00時00分00秒 | 社会・経済

 JR西日本が芸備線について再構築協議会の設置を要請したのは、2023年10月3日のことでした。それから3か月ほど経過して、一昨日(2024年1月12日)、国土交通省中国運輸局が再構築協議会の設置を正式に決定しました。時事通信社が、昨日(2024年1月13日)の15時39分付で「芸備線存廃で協議会設置決定 今年度中に初会合―国交省」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024011200887&g=eco)として報じています。

 2023年に地域公共交通活性化再生法が改正され、再構築協議会についての規定が追加されました。今回の芸備線についての設置が最初の例となります。

 再構築協議会が設定されるならば、3月末までに初会合が開かれるとのことです。

 既に、2023年11月に岡山県、広島県、新見市、庄原市が参加の意向を示しています。また、広島市および三次市も参加するようです。これに対し、安芸高田市は参加の意向を示していません。

 記事は短く、あまり詳しく書かれていないのですが、芸備線全体について再構築協議会を設置するということのようです。そうでないと、広島市の参加の意味がわかりません。

 同線の下深川駅から広島駅までの区間は広島市内にあり、2022年度における平均通過人員は、「データで見るJR西日本2022」によれば8529ですので、再構築協議会の設置の必要がない数字となっています。しかし、三次駅から下深川駅までの区間にも広島市内の部分があるものの、2022年度における平均通過人員は988しかありません(この区間に、安芸高田市に所在する駅が3つあります)。その他の区間を見ても1000未満ばかりですし、備中神代駅から広島駅までの全区間でも1170しかありません。備中神代駅から東城駅までの区間(89)、東城駅から備後落合駅までの区間(20)、備後落合駅から備後庄原駅までの区間(75)に目がいきがちなのですが、これらの区間の平均通過人員が2桁と低すぎるからであって、他の区間を見ても存廃協議レベルであることは明らかです。また、下深川駅から広島駅までの区間のみが存続するとしても、それでは芸備線が盲腸線になってしまい、平均通過人員が低下する可能性もあるでしょう(同様の例が名鉄にあります)。活性化や再編は、やはり全線について考えるべきである、という結論に達したのでしょう。

 こうしてみると、芸備線の沿線にある地方公共団体のうち、安芸高田市のみが再構築協議会に参加しない可能性もあるということになります。あるいは今後何らかの意思表示がなされるかもしれません。

 いずれにせよ、再構築協議会の動向に目を向け続けていかなければなりません。

 〈追記〉

 朝日新聞社のサイトに、2024年1月13日10時15分付で「JR芸備線の再構築協、設置決定に地元は 広島・岡山」(https://digital.asahi.com/articles/ASS1D7606S1DPITB00B.html)という記事が掲載されています。これによると、「協議の対象区間は備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間の68.5キロだが、地元の意向を踏まえて、区間外を含めた全線について広域的な見地から議論する」とのことです。

 また、同記事には、次のように書かれています。

 「広島県と庄原市は昨年11月、国に協議会参加の意向を示した際に広域的な議論を要請。国が沿線にある広島市、三次市、同県安芸高田市の3市に意向を尋ねたところ、安芸高田市だけが『結末がバラ色になると思っている人は一人もいないはずだ』(石丸伸二市長)などとして、不参加意向を伝えていた。」

 やはり、安芸高田市は当初から再構築協議会に参加しない意向であったようです。ただ、その姿勢が、今後の再構築協議会にどのような影響を及ぼすことになるか、少々の懸念もあります。

 なお、上記朝日新聞社記事には「国土交通省の資料から」として「芸備線再構築協議会の構成員」が示されています。次の通りです。

 ①国

 国土交通省中国陸運局(議長)、中国地方整備局

 ②地方公共団体

 岡山県、広島県、新見市(岡山県)、庄原市(広島県)、三次市(広島県)、広島市

 ③鉄道事業者

 JR西日本岡山支社、同広島支社

 ④公共交通事業者

 岡山県バス協会、広島県バス協会

 ⑤公安委員会

 岡山県警察本部、広島県警察本部

 ⑥学識経験者

 神田佑亮教授(呉工業高等専門学校環境都市工学分野)

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令和6年度予算編成大綱における地域公共交通の扱い

2024年01月12日 00時15分00秒 | 国際・政治

 2023年12月14日、自由民主党および公明党が令和6年度予算編成大綱をまとめ、公表しました。令和6年度税制改正大綱と同日ですので、ほぼ同時に公表したと考えてよいでしょう。

 昨年は、このブログで何度も取り上げたように、「2024年問題」を前に路線バスや鉄道の減便が相次いで発表され、実施されていきました。地域公共交通活性化再生法の改正法が公布・施行された年でもありましたが、活性化・再生どころか衰退、消滅の危機が深まった訳です。大阪府の金剛バスの全廃は象徴的な事件でしたが、それに続く事例がないとは思えません。

 そのような中で、令和6年度予算編成大綱は地域公共交通にどれだけ目を向けているかが気になります。元々、予算編成大綱は税制改正大綱ほど頁数も多くなく、内容もそれほど詳細ではありません。従って、地域公共交通に関する記述についてもあまり期待はできませんが、とりあえず引用の上で紹介しておきましょう。なお、PDFファイルを参照した上でAcrobat Proの簡易検索機能を利用したことを記しておきます。

 「インバウンドを含む地方への人の流れの強化、地方活性化に向けた基盤づくり、地域公共交通の維持・確保などによって地方創生を推進するとともに、『デジタル田園都市国家構想総合戦略』に基づき、デジタル技術の活用によって、『全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会』の実現を目指す。

 更に、人口減少の下でも、従来以上に質の高い公共サービスを効率的に提供するため、アナログを前提とした行財政の仕組みを全面的に改革する『デジタル行財政改革』を起動・推進し、利用者の視点はもちろん、サービス提供者側の視点も織り込みながら、教育、交通、介護、子育て・児童福祉等の分野において、デジタル技術の社会実装や制度・規制改革を進める。」(2頁)

 総論あるいは導入部の記述であるため、総花的で具体像は全く見えてきませんが、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を参照し、さらに地方創生の政策内容を見よ、ということなのでしょう。地方創生が一体何であるのかという問題がありますし、上手く進んでいたのであれば地域公共交通の衰退は食い止められた可能性が高いのですが、地方創生の看板を外すことはないということになります。

 地域公共交通については、次の箇所においても述べられています。16頁から17頁にかけての部分です。

 「〈個性をいかした地方活性化と分散型国づくり〉

 デジタル技術の活用等によって、地域の個性をいかした地方活性化と、東京一極集中型から脱した分散型国づくりを推進する。

 具体的には、バリアフリー化の推進、多様な暮らし方に資する二地域居住等の促進、空き家・所有者不明土地等の活用、奄美・小笠原・離島・半島・豪雪地帯等条件降り地域の振興、スマートシティの社会実装、コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくり、多様な関係者との共創による地域公共交通ネットワークの再構築等の交通のリ・デザイン、都市再生等に取り組む。加えて子育てにやさしい住まい環境整備など『こどもまんなかまちづくり』を推進する。」

 令和6年度予算に盛り込むべき内容の基本を示すに過ぎないという性格の文書であるため、やはり具体性に乏しい内容ではありますが、「分散型国づくり」の一環とされていることはわかります。ただ、スマートシティと地域公共交通ネットワークとの関係など、並立する様々な事項をどのようにまとめていくのかが問われるところでしょう。

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