私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

新作でも油断禁物、逃した燕絵の茶碗

2015年04月21日 | 茶の湯便り

今盛んに燕が飛び交っている。
ちゅちゅくちゅるるーと賑やかだ。

昔、師匠のお稽古場で出会った燕の絵柄のお茶碗が気に入って
それからは、どこに行っても似たようなお茶碗がないか探していた。

それが、5、6年前に宮崎のデパートでずいぶん似た感じのものに出会った。
一瞬「これだ!」と思ったけれど、こんなにすぐに巡り合うなら、
わざわざここで荷物になるものを買わなくても、またその内に
出会うだろう、、そう考えて買わずに宮崎を離れた。

* * *

ところがその後、何年経っても同じようなお茶碗には出会わず、
同じようなものどころか、燕の絵柄さえお目にかかれなかった。

骨董では「一期一会」、その時々「真剣勝負」と思い定めているのに、
その時は、新作だからいつでも同じようなものが手に入ると油断したのである。
いつまで経っても宮崎で見たお茶碗が頭から離れず、未練たらたらだった。

* * *

最近、お茶屋さんから茶道具のカタログが送られてきた。
すると「あった!あった!燕のお茶碗だ!」
気になっていたお茶碗とはずいぶん違うが、この際それは無視して
取りあえず二度目の後悔をせぬように、直ぐに電話で注文して、手に入れた。

それにしても、やはり物との出会いは一期一会である。
そんな当たり前のことを、これだけ悔しい思いをして、心から知った次第。
新作でも油断は禁物なのである。
コメント (4)
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