「何があったか知らないけれど、きみの力になれると思う」
(詩の深刻なフレーズを視て、彼女が自殺を考えていると勘違いしての冠城の言葉)
「キミのその強い正義感と根拠のない自信が、ふたりの距離を近づけたわけですね」
“根拠のない自信”って(笑)
……冠城とユキの馴れ初めを聞いた右京の痛烈な皮肉だが、おそらく右京は冠城を評価しており、自信を持つだけの根拠(中身)がないとは思っていない。
なので、このフレーズは、冠城が女性にアプローチする際の躊躇のなさをやっかんでの言葉であろう。
(そう言えば、人の気持ちよりも真相の追究を優先するのは右京の常だが、冠城をつけてコーヒー店に入り、躊躇いもなく彼女に電話を掛けさせるなど、冠城の気持ちに遠慮なく踏み込む様は、いつもより若干、厳しいように感じた)
……今話で最も面白かったシーンであった。
今回のヒロインは、冠城の元恋人……竹田ユキ[本名:南 侑希](佐藤江梨子)
DVから逃れるため実の父を毒殺したという過去(父親を毒殺。母が裏切ってDVはなかったと証言。彼女自身は母が愛したひとの命を奪ってしまった…と後悔)。
その辛くて悲しい過去が彼女の心に陰りを生じさせ、その苦しみから逃れる術は詩を書くことしかなかった。
「あたしには必要だったんです。
…気づいたら、言葉を吐き出すようになっていて、それがあたしを支えて…だからまた書いて。
…今はそれがあたしの生きる力になっている。……詩を書くことで、あたしは生きていられる」
そんな彼女に魅かれていったという冠城
「多分、彼女は過去に自殺を考えたことがあるんじゃないかと。
どこかもろくて、儚げな感じがするのに…強さと言うか、芯があってまっすぐで、そんな彼女に魅かれていったのは認めます」
冠城とユキの交際について右京の考察
「振った相手の写真を、その2年後に発売された詩集に挿んでいた……その理由」
「幸せは、時に感性を鈍らせます。彼女にもそういう時期があったのではないかと。……それで、キミは自ら身を引いた。
現に、キミと交際していた時期にスノウの詩集は発売されていませんでした」
……ふたりの恋愛ストーリーや右京の推察などは面白かったが、いろいろ疑問に感じるところが多かった。
ユキが詩のフレーズを絞り出すが、納得いかずそのフレーズに打ち消し線を入れたり、ノートを破るシーンなど、2度の詩の創作に苦しむシーン
一つは冠城の回想で、これは右京の推察に合致する。
もう一つはドラマ冒頭。これは最近のモノなのか、冠城とつき合っていた頃のモノなのだろうか?
前者だと、「気づいたら、言葉を吐き出すようになっていて、それがわたしを支えて」という言葉とは一致しない。
遺体発見の構図
≪埋められたスーツケースが発見され、それが開けられユキの遺体が現れたシーン。その遺体を中心に放射状にいた捜査員が合唱するシーン≫
≪スーツケースが閉じられ、ユキの遺体が見えなくなる≫
抒情的なストーリーに呼応した情景を意識したと思われるが、やりすぎのような気がした。
出版社の社長はその道のプロとしてはどうなのか?
「とにかく、スノウは石川真悠子さんで、間違いありませんから」と言い切っていたが、入稿や原稿料や印税の振込みなどが根拠だが、それこそ“根拠のない自信”である。
校正などの打ち合わせの際、詩を紡いだ本人かそうでないかは分かりそうなもの。
コーヒー店主・金子(水橋研二)が真悠子を殺害した理由
真悠子が殺される理由が≪ユキの殺害を隠す為に「ユキが真悠子と揉めて殺害し逃亡」と見せかけようとした≫ぐらいしか思い浮かばない。(殺害理由についてドラマでは何も語られなかった)
だとしたら、真悠子はいいトバッチリだ。
真悠子の殺害についての罪については何も糾弾しなかった右京、現場写真に写っていたシルバースキン(コーヒー豆を挽いた時に出るカス)を見つけて悦に入っている場合じゃないだろう
金子がユキを殺害した理由
覆面詩人・スノウの正体がばれるという恐れからユキを解放するというのが理由らしい。
「詩なんて」と言ってしまう金子……詩を書くことがユキの生きる術だということを全く理解していなかった。
ユキにとっての自分の存在を否定され、逆上し殺害。
右京も「“すべて、彼女のためを思ってやったこと”だと言いましたよね。では、その南侑希さんを殺したのは誰の為にやったんですか?答えてごらんなさい!」と激高。(できれば、逆上して殺してしまっただけ”ということを指摘してほしかった)
右京の激昂に対し、答えに詰まった金子だったが…
遺体発見時、笑みを浮かべていた。おそらく、≪ユキを苦しみから解放してやった≫とか≪ユキの命を奪うことで、ユキを自分のモノにした≫という勘違い・思い込みからなのだろう。
だとしたら、右京の激昂に対して動揺し、言葉に詰まったのはおかしい
ユキが金子を問い詰める根拠も疑問
ネットでスノウの情報をばらしていた犯人について、
「あたしの過去を知っていて、スノウがあたしであることを知っているのは、金子さん、あなた一人しかいないんです」
石川真悠子もスノウの正体を知っていて、疑いを持ってもいいはず。真悠子を信頼していたのだろうが、“スノウがあたしであることを知っているのは、金子さん、あなた一人しかいないんです”という台詞は事実に反している。
スノウの正体を隠す理由
≪皆(身内)に迷惑が掛かる≫というが、母はすでに他界しており、身内は伯母ぐらい。父方の親戚は非道な奴らなので気に掛ける必要はない。
スノウの正体がばれると、父を毒殺した過去をほじくり返されるから、という方が真実味がある。
青酸カリが容易に手に入る『相棒』の世界
コーヒー店主はともかく、女子中学生が青酸カリを入手できるものだろうか?
というわけで、疑問点がありすぎて、児玉頼子氏の脚本は評価できない。
第4話と合わせて考慮すると、『要注意脚本家』“候補”に入れるべきか…
(上から目線はご容赦ください)
第1話、第2話、第3話、第4話
【ストーリー】番組サイトより
亘の“元カノ”は覆面詩人の殺人犯!?
コーヒーの香りが危険な秘密へと誘う!
青酸カリの中毒死で『スノウ』というペンネームを持つ人気覆面詩人の女性が殺害された。
現場から亘(反町隆史)の写真が発見されたため、伊丹(川原和久)たち捜査一課が事情を聞くと、スノウの正体は、遺体で発見された女性ではなく、竹田ユキ(佐藤江梨子)という名の別人で、数年前に別れた元恋人だという。被害者と同居していたユキが姿を消していることから、捜査一課は容疑者として行方を追うことに。
いっぽう、亘はユキと出会い、逢瀬を重ねたコーヒー店を数年ぶりに訪れる。顔馴染みの店主・金子(水橋研二)から、ユキの連絡先を教えてもらうためだった。事件に興味を持った右京(水谷豊)も、そこに合流。2人は、被害者がスノウを名乗っていた理由を探るため、詩集の発行元を訪れる。すると、出版の契約をめぐってトラブルが起きていたことが判明し!?
元恋人はなぜ亘の写真を大事に持っていたのか?
覆面作家であることをひた隠しにしていた理由とは!?
亘が、事件と繋がるほろ苦い恋の名残を追う!
ゲスト:佐藤江梨子 水橋研二
脚本:児玉頼子
監督:橋本一
(詩の深刻なフレーズを視て、彼女が自殺を考えていると勘違いしての冠城の言葉)
「キミのその強い正義感と根拠のない自信が、ふたりの距離を近づけたわけですね」
“根拠のない自信”って(笑)
……冠城とユキの馴れ初めを聞いた右京の痛烈な皮肉だが、おそらく右京は冠城を評価しており、自信を持つだけの根拠(中身)がないとは思っていない。
なので、このフレーズは、冠城が女性にアプローチする際の躊躇のなさをやっかんでの言葉であろう。
(そう言えば、人の気持ちよりも真相の追究を優先するのは右京の常だが、冠城をつけてコーヒー店に入り、躊躇いもなく彼女に電話を掛けさせるなど、冠城の気持ちに遠慮なく踏み込む様は、いつもより若干、厳しいように感じた)
……今話で最も面白かったシーンであった。
今回のヒロインは、冠城の元恋人……竹田ユキ[本名:南 侑希](佐藤江梨子)
DVから逃れるため実の父を毒殺したという過去(父親を毒殺。母が裏切ってDVはなかったと証言。彼女自身は母が愛したひとの命を奪ってしまった…と後悔)。
その辛くて悲しい過去が彼女の心に陰りを生じさせ、その苦しみから逃れる術は詩を書くことしかなかった。
「あたしには必要だったんです。
…気づいたら、言葉を吐き出すようになっていて、それがあたしを支えて…だからまた書いて。
…今はそれがあたしの生きる力になっている。……詩を書くことで、あたしは生きていられる」
そんな彼女に魅かれていったという冠城
「多分、彼女は過去に自殺を考えたことがあるんじゃないかと。
どこかもろくて、儚げな感じがするのに…強さと言うか、芯があってまっすぐで、そんな彼女に魅かれていったのは認めます」
冠城とユキの交際について右京の考察
「振った相手の写真を、その2年後に発売された詩集に挿んでいた……その理由」
「幸せは、時に感性を鈍らせます。彼女にもそういう時期があったのではないかと。……それで、キミは自ら身を引いた。
現に、キミと交際していた時期にスノウの詩集は発売されていませんでした」
……ふたりの恋愛ストーリーや右京の推察などは面白かったが、いろいろ疑問に感じるところが多かった。
ユキが詩のフレーズを絞り出すが、納得いかずそのフレーズに打ち消し線を入れたり、ノートを破るシーンなど、2度の詩の創作に苦しむシーン
一つは冠城の回想で、これは右京の推察に合致する。
もう一つはドラマ冒頭。これは最近のモノなのか、冠城とつき合っていた頃のモノなのだろうか?
前者だと、「気づいたら、言葉を吐き出すようになっていて、それがわたしを支えて」という言葉とは一致しない。
遺体発見の構図
≪埋められたスーツケースが発見され、それが開けられユキの遺体が現れたシーン。その遺体を中心に放射状にいた捜査員が合唱するシーン≫
≪スーツケースが閉じられ、ユキの遺体が見えなくなる≫
抒情的なストーリーに呼応した情景を意識したと思われるが、やりすぎのような気がした。
出版社の社長はその道のプロとしてはどうなのか?
「とにかく、スノウは石川真悠子さんで、間違いありませんから」と言い切っていたが、入稿や原稿料や印税の振込みなどが根拠だが、それこそ“根拠のない自信”である。
校正などの打ち合わせの際、詩を紡いだ本人かそうでないかは分かりそうなもの。
コーヒー店主・金子(水橋研二)が真悠子を殺害した理由
真悠子が殺される理由が≪ユキの殺害を隠す為に「ユキが真悠子と揉めて殺害し逃亡」と見せかけようとした≫ぐらいしか思い浮かばない。(殺害理由についてドラマでは何も語られなかった)
だとしたら、真悠子はいいトバッチリだ。
真悠子の殺害についての罪については何も糾弾しなかった右京、現場写真に写っていたシルバースキン(コーヒー豆を挽いた時に出るカス)を見つけて悦に入っている場合じゃないだろう
金子がユキを殺害した理由
覆面詩人・スノウの正体がばれるという恐れからユキを解放するというのが理由らしい。
「詩なんて」と言ってしまう金子……詩を書くことがユキの生きる術だということを全く理解していなかった。
ユキにとっての自分の存在を否定され、逆上し殺害。
右京も「“すべて、彼女のためを思ってやったこと”だと言いましたよね。では、その南侑希さんを殺したのは誰の為にやったんですか?答えてごらんなさい!」と激高。(できれば、逆上して殺してしまっただけ”ということを指摘してほしかった)
右京の激昂に対し、答えに詰まった金子だったが…
遺体発見時、笑みを浮かべていた。おそらく、≪ユキを苦しみから解放してやった≫とか≪ユキの命を奪うことで、ユキを自分のモノにした≫という勘違い・思い込みからなのだろう。
だとしたら、右京の激昂に対して動揺し、言葉に詰まったのはおかしい
ユキが金子を問い詰める根拠も疑問
ネットでスノウの情報をばらしていた犯人について、
「あたしの過去を知っていて、スノウがあたしであることを知っているのは、金子さん、あなた一人しかいないんです」
石川真悠子もスノウの正体を知っていて、疑いを持ってもいいはず。真悠子を信頼していたのだろうが、“スノウがあたしであることを知っているのは、金子さん、あなた一人しかいないんです”という台詞は事実に反している。
スノウの正体を隠す理由
≪皆(身内)に迷惑が掛かる≫というが、母はすでに他界しており、身内は伯母ぐらい。父方の親戚は非道な奴らなので気に掛ける必要はない。
スノウの正体がばれると、父を毒殺した過去をほじくり返されるから、という方が真実味がある。
青酸カリが容易に手に入る『相棒』の世界
コーヒー店主はともかく、女子中学生が青酸カリを入手できるものだろうか?
というわけで、疑問点がありすぎて、児玉頼子氏の脚本は評価できない。
第4話と合わせて考慮すると、『要注意脚本家』“候補”に入れるべきか…
(上から目線はご容赦ください)
第1話、第2話、第3話、第4話
【ストーリー】番組サイトより
亘の“元カノ”は覆面詩人の殺人犯!?
コーヒーの香りが危険な秘密へと誘う!
青酸カリの中毒死で『スノウ』というペンネームを持つ人気覆面詩人の女性が殺害された。
現場から亘(反町隆史)の写真が発見されたため、伊丹(川原和久)たち捜査一課が事情を聞くと、スノウの正体は、遺体で発見された女性ではなく、竹田ユキ(佐藤江梨子)という名の別人で、数年前に別れた元恋人だという。被害者と同居していたユキが姿を消していることから、捜査一課は容疑者として行方を追うことに。
いっぽう、亘はユキと出会い、逢瀬を重ねたコーヒー店を数年ぶりに訪れる。顔馴染みの店主・金子(水橋研二)から、ユキの連絡先を教えてもらうためだった。事件に興味を持った右京(水谷豊)も、そこに合流。2人は、被害者がスノウを名乗っていた理由を探るため、詩集の発行元を訪れる。すると、出版の契約をめぐってトラブルが起きていたことが判明し!?
元恋人はなぜ亘の写真を大事に持っていたのか?
覆面作家であることをひた隠しにしていた理由とは!?
亘が、事件と繋がるほろ苦い恋の名残を追う!
ゲスト:佐藤江梨子 水橋研二
脚本:児玉頼子
監督:橋本一