英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

織田信成氏のモラハラ騒動

2019-11-23 17:50:02 | 時事
プロスケーターの織田信成氏が2019年11月18日、関西大学アイススケート部の監督だった2017年2月~2019年9月に同部の浜田美恵コーチからモラルハラスメントを受けたとして1100万円の損害賠償を求めて提訴した。

 これより少し前、織田氏が関西大学の監督を辞任し、その理由が「多忙によるもの」ではなく、「濱田美恵コーチのモラルハラスメントによるもの」と訂正、告知していた。
 で、この報道を聞いた時、《ふ~ん、そんなひどいモラハラだったんだ》と思い、しばらく、会見を観ていたが……

 織田氏が質問を受ける場になり、その中である記者が
「資料などを拝見していると、ハラスメントの内容が無視しただとか、陰口をいわれただとかいうのがあるんですけれど、我々普通の感覚でその資料を読むと“それだけのこと?”っていうように感じてしまう人もいると思うんですけど。
 具体的に例えば人格を否定されるようなことをいわれたとか、決定的な何かがあったんでしょうか?」


という質問があった。

 これに対し、
・ハラスメントを受けた側の苦痛を「その程度」というのは酷い
・無視や悪口もハラスメントである。その発言がまさにモラハラ

 というような被害者の気持ちを思いやらない言葉だと、その記者へのバッシングが飛び交ったようだ。
 確かに、ハラスメント被害者の心情を考えることは大切なことではあるが、この記者の質問は「“それだけのこと?”っていうように感じてしまう人もいる」と言っており、その点では客観的な質問である(記者自身も“その程度で”という気持ちはあったのかもしれない)。

 まあ、それはともかく、実は私も“その程度で”と思ってしまった。(理由(弁明)は後述するので、石を投げないでください)


 まず、織田氏と濱田コーチの対立(行き違い)の原因となった織田氏の指導方針であるが
①部員に学業不振のものが多いので、学業を優先(具体的には、練習時間を講義のある昼間ではなく夜間に行う)
②“スピードを伴う本格的な練習は、“リンク内に3人以内”を遵守(衝突の危険を回避)。浜田コーチは同時に5人リンクに入れるので、止めるように要望

 織田氏の方針は正しいように思う
 ①については織田氏が監督就任直後に大学側から部員の学業不振の注意を受けたらしい。
 2007年の大学設置基準の改正により、昔のように“スポーツの成績さえ上げていればよい”というご時世ではなくなってきているようだ。濱田コーチはこういう事情をよく把握していないと思われ(大学側に学業不振の注意を受けた時は濱田コーチも同行していたはずだが)、あくまで大会実績優先と考え、織田氏の提言を聞き入れなかったようだ(②についても)


 この件について、織田信也オフィシャルブログ『氷上のお殿様』において
「今年の1月末、昨今の大学スポーツにおける学業重視の流れのもと、副顧問、本田コーチ、そして濱田コーチ同席のもと、私と顧問から私が作成した資料を配布し、文武両道を目指す練習時間と部則の変更についてご説明させて頂きました。その際、その場にいた全ての方からこの方針についてご了承頂きました。内容は話し合いで変更が加えられ、有意義なものになったと感じております。
お考えを聞く話し合いでしたが、問題視されている様子はなく、ご質問や後日相談して頂くような事もございませんでした」

(詳細は10月4日記事「嫌がらせ・モラハラ行為について」

 邪推ではあるが、織田氏の大学時代も移行期ではあったが、どちらかと言うと“スポーツさえ”という時代だったようで、濱田コーチにすれば「あなたがそれを言う?」と思ったのかもしれない。(あくまで、私の邪推です)

 私が織田氏のアイススケート部の監督就任について気になったことは、織田氏の監督業務の履行状況である。
 クイズ番組などテレビのバラエティ番組でよく顔を見るような気がするし、フィギュアスケートの大会の解説もよくしている。アイススケートショーの出演もしているようだ。
 本人も「シーズン中は(監督業務)は難しいが、オフになれば指導できる」という主旨の言葉を発している。
 シーズン中なら余計指導しないと駄目なのでは?とても、監督としての役目を果たしていたとは思えないのだが。

 それに関連して、「部に指導に行く頻度は、多い時でどのくらいか?」という質問に「……多い時は、週に6度」と遠慮気に応えていた。自信無げだったので、《本当かなあ?》と思ってしまった。

 この件に関しては織田信也オフィシャルブログ『氷上のお殿様』の記事「嫌がらせ・モラハラ行為について」
「引き受けた限りは多忙を理由にしてはいけないと心に決め、芸能活動を調整し、指導にあてられる時間を増やす努力をして参りました」
と記してある。


 それはともかく、織田氏に対する濱田コーチのモラルハラスメントはどうだったのか?
織田氏の会見では要約すると
・挨拶を無視されたり、意見に相違があると激高された
・部活スケジュールの変更を濱田コーチが決め、そのことの連絡がなかった。(その件を問いただしても、謝罪はなかった)


織田氏のブログの「嫌がらせ・モラハラ行為について」では次のように記してある。
 全く目線を合わせず挨拶を無視され、私の見える場所から陰口を叩かれ、私が近くを通ると話すのをやめるような行動が続きました。時々濱田コーチから挨拶されたりなど、理解できない行動もありました。
 「私が好き勝手やっているような嘘の事実が噂となり、私の耳にも入るようになり、ショックを受けました。
 その後もリンク上で突然怒鳴られたり、また違う話し合いの場では意見を否定され続け、私を傷つける言葉も言われました。その場には関西大学関係者の方々が複数人いらっしゃり、ある方は心配して顧問に連絡を下さり、私に報告がありました。この時なぜこのような事をされるのか分からなくて、ただ涙が止まらなくなりました」


 その結果、織田氏は体調を崩してしまったと述べている。(会見では原因不明の発熱が続いたと説明。原因は不明(肉体的・病理的に原因不明))

織田氏ブログの「関西大学アイススケート部監督辞任について」(9月29日記事)で監督を辞任した理由を述べる中で
「辞めた本当の理由は、リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになり、辞任するまでの3ヶ月間リンクに行く事が出来なくなった事とそれに対する関西大学の対応が誠意あるものに思えなかったからです」
 と記している。

 会見では、大学側の対応についても不満を述べていた
(詳細は織田氏ブログの「関西大学アイススケート部監督辞任について」(9月29日記事)



 長い割には、分かりにくい説明になってしまった(長いから分かりにくいのかも?)
 私自身、織田氏の状況を十分に把握できていないのかもしれない。

 私の状況把握不足なのか、私の人格に問題があるのかもしれないが、やはり、《“そんなこと”で、モラルハラスメントで1100万円の損害賠償を求めて提訴するの?》と思ってしまう。
 指導者としての経験や技量で引け目を感じるのかもしれないが、織田氏はアイススケート部の監督なのだから、濱田コーチとは対等以上である。いい大人なんだから、対等に渡り合えないのなら監督など引き受けてはいけない。
 激高されたり、無視されたり、勝手にスケジュール変更されて、発熱って、子どもじゃないんだから。
 そもそも、高熱の原因は不明ということで、高熱の原因を濱田コーチの嫌がらせと断定するのは強引さがある。
 スケジュール変更については、部長(学生のキャプテン)やマネージャーを掌握しておけば対応できるはずだ。

 (もちろん、私が知らない深刻な状況があるのかもしれませんが)

 それと、この時期に濱田コーチを提訴することは、フィギュアスケートのイメージダウン、さらに、濱田コーチの指導を受けている現役スケーターの紀平選手、宮原選手、白岩選手にとってもマイナスである。
 今回の織田氏の行動には賛同できない。
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詭弁を通り越して暴論 ~英語の民間試験導入問題~

2019-11-23 12:14:27 | 時事

「やらないですよ、東大はそもそも。これはやはり問題だと思いますよ。
つまりね、これは文部科学省は東大に指導していただきたい。
やるということを前提にして、是非、指導していただきたい」


これは、文部科学省の幹部出席の会合での下村元文部科学相の発言である
【上記の発言、下記の解説はNHK『ニュース7』(11月19日)放送のもの】

英語の民間試験の導入を決めたのは一昨年。
しかし、各大学は民間試験への不安などを理由に、活用方針を明らかにせず、東京大学の判断に注目が集まった。

東大の動き
2018年3月、記者会見で「現時点で入試に用いるのは拙速だ」として活用に消極的な考えを示す
2018年4月27日、「民間試験を入試に活用することを検討する」という声明を出す
2018年9月、「出願資格として活用する」ことを表明

会合は自民党の教育再生実行本部で東大の方針転換の直前の4月13日に行われた。
 党の国会議員、文部科学省の幹部、大学関係者なども出席
 東大 五神学長らは「現時点で入試に用いるのは拙速だ」とした会見の真意を説明に訪れた


発言に関する下村元文部科学相の説明
「国立大学の多くが“導入する”と言っている中で、“導入してもらえるよう働きかけたらいいのではないか”というのは、当たり前の話ではないか。
 文部科学省に任せて一切何も言ってはいけないという指摘があるとすれば、逆に政治的な恣意を感じる。
 すべて役人に任せて役人の言うとおりやればいいというのであれば、与党の意味はなく、そもそも議院内閣制の意味はなくなる」

【以上、19日NHK『ニュース7』】

【以下は、20日NHK『ニュース7』での下村元文部科学相の反論
「東京大学に直接要求したとかいうことではなくて、それを受けて文科省が特に動いたということでもない。
 議員の立場で意見を言うということさえ、学問の自由あるいは大学の自治に抵触する云々ということを言われたら、議論もできなくなるのではないか」




この下村元文部科学相は、問題発言が多く、発言についての説明は詭弁が多い。
今回は、詭弁を通り越してもはや暴論である


まず、19日の下村元文部科学相の説明について
「国立大学の多くが“導入する”と言っている中で」
 会合の段階では、各大学は民間試験への不安などを理由に、活用方針を明らかにしておらず、説明時点で下村氏が事実を誤認している。あるいは事実を歪曲した可能性もある。
「“導入してもらえるよう働きかけたらいいのではないか”というのは、当たり前の話ではないか」
 確かに、《民間試験導入》が政府(自民党)や文科省の方針で、そのように進めようという動きは批判されるべきではない。しかし、会合は大学関係者、それも、東大学長などの当事者の東大関係者がいる前での発言なので、これはもはや意見ではなく、指示や圧力である。

「文部科学省に任せて一切何も言ってはいけないという指摘があるとすれば、逆に政治的な恣意を感じる」
「すべて役人に任せて役人の言うとおりやればいいというのであれば、与党の意味はなく、そもそも議院内閣制の意味はなくなる」

 話を極端にして、正当性を主張している。
 “文部科学省に任せて一切何も言ってはいけないという指摘”とか“すべて役人に任せて役人の言うとおりやればいい”というような、共感を得られそうな表現を用いて、批判の論点を逸らそうとしている。

「与党の意味はなく、そもそも議院内閣制の意味はなくなる」
 話を大きく難しくして論点をずらそうとしている。そもそも、この部分の論理はもはや意味不明(それは狙いか?)

20日の下村元文部科学相の反論について
「東京大学に直接要求したとかいうことではなくて」
 「東大に指導していただきたい」とはっきり言っている。確かに、文科省幹部に対していっているが、東大関係者の前で、しかも会合の中で、発言しているのだから、限りなく“直接要求”に近い
「それを受けて文科省が特に動いたということでもない」
 会合で下村元文部科学相は「指導していただきたい(動け!)」と2回も言っているが…

「議員の立場で意見を言うということさえ、学問の自由あるいは大学の自治に抵触する云々ということを言われたら、議論もできなくなるのではないか」
 意見や方針を述べるのは構わないが、東大と固有の大学名を上げて“指導しろ”と指示するのは、議論の範疇を大きく超えている
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