英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『今ここにある危機とぼくの好感度について』 第5話(最終話) 【追記あり】

2021-06-01 16:17:39 | ドラマ・映画
【大まかな流れ】
1.理事会での神崎(松坂桃李)と三芳総長(松重豊)が決死の覚悟と行動
 《サハライエ蚊によるアレルギー被害が大学に原因があると公表・謝罪し、これ以上の被害拡大を防止すべく対処に当たる》という決定を得たが、須田理事(國村隼)が視聴に手回しして、次世代博は中止にはならなかった。さらに、堀田教授から「サハライエ蚊は処分してしまった」と聞き、証拠(サハライエ蚊)を提示することもできなくなり、行き詰ってしまった。

 大学の不始末も隠蔽され、サハライエ蚊のアレルギーに対する本格的な対処もなされず、被害の拡大の危険性も考えられる……

2.澤田教授(池田成志)と足立准教授(嶋田久作)の活躍
・サハライエ蚊で重症化した人への治療法を確立できそう
・堀田研究室が密かに保管していたサハライエ蚊を奪取

3.三芳総長が理事会の反対をねじ伏せ、大学の不始末を報告し謝罪
・非難されるであろう総長を案じ、「蚊アレルギー被害の原因が大学にあるという証拠を手にしたいですか?」と問う神崎に対し、論語(孔子)の「必ずや名を正す」の一つの解釈を述べる
「必ずや名を正さんか」……「言葉が正しくなければ言論は順当ではなく、言論が順当でなければ政事もうまくゆかず、政事がうまくゆかなければ文化も繁栄せず、文化が繁栄しなければ法令も適切にならず、法令が適切でなければ民衆も安心して毎日を送れない。だからこそ名(言葉)をまず正さなければならないのだ」-小林よしのり『天皇論』小学館

 起きている出来事から目を背けず、現状を把握、分析するべきだ。でなければ、適切な対応はできない。

・不始末の事実を公表・謝罪する三芳総長に対し、須田理事が
「次世代博の中止どころか、大学の信用が失墜し、交付金の減額、調査費用、賠償金など、存続の危機に陥る」と説得(糾弾?)
その言葉に重ねて
「現実を見てください」と切に訴える

 これに対し、
《帝都大学は過ちを犯した》……故に、しかるべき責任を取らなければならない。
……これが本当の現実です。


 確かに競争は熾烈です。しかし、だからこそ、我々がこのまま生き残っていけるとは私にはどうしても思えない。

 なぜなら我々は………………………腐っているからです。


 みなさん、もうお気づきでしょう。我々は組織として腐敗しきっています。不都合な事実を隠蔽し、虚偽でその場をしのぎ、それを黙認し合う。
 何より深刻なのは、そんなことを繰り返すうちに、我々はお互いを信じ合うことも敬い合うこともできなくなってることです。
 お互いに信頼も敬意も枯れ果てたような組織に、熾烈な競争を生き残っていく力などありません。もし、本当にそれを望むなら、我々は生まれ変わるしかない。
 どんなに深い傷を負うとしても、まことの現実に立ち向かう力、そしてそれを乗り越える力………そういう本当の力を一から培っていかなければならない!たった今から。恐らく 長く厳しい闘いになる。
……これは その第一歩です」




「現実を見てください」(須田理事)
「これが本当の現実です」(総長)


 このやり取りが、すべてである。
 都合の悪い事実(大学の不始末によるアレルギー被害)から目を背け、そんな悪いことは起こらないで欲しい。起こらないだろう…と。
 そんな(悪い)ことが起これば、困る(信用が失墜し、交付金の減額、調査費用、賠償金など)。
 須田理事の言う現実とは、《大学の不始末を認めた場合に生じる都合の悪い事象(大学の存続の危機)》……事実ではなく想定で、この想定を理由にして現実を認めようとしない。


 “本当の現実”
 《大学が流出したサハライエ蚊によるアレルギー被害が起こっている》
 これを認めたうえで、しっかり状況を分析し、対処しなければならない。(事実を認めて、起きている事象をしっかり分析しないと、正しく対処できない)
 対処……症状の把握、治療法の確立。世間への公表し、各機関との連携。謝罪、補償。



 総長の言葉に、理事たちもうなだれるだけ。(多少の分別は残っていたらしい)
 石田課長(渡辺いっけい)が懇親会を中止しようと悪あがき、理事たちも同調したが、これは神崎に活躍させるための脚本(演出)なのかもしれない。






総長、格好いい!………面白かった。

【その他の感想】
1.理事会で、サハライエ蚊が部屋に逃げ出した云々の騒動での、総長と神崎の猿芝居
 重症化した患者の特徴として「エビやカニなどの甲殻類が……好きで、よく食べる」「50代男性で高学歴」「アルコールをよく摂取」「週に一度、職場の同僚と昼食を共にする」……理事会連中が該当するよう嘘八百を読み上げていく総長。(いくらなんで変と、疑問に持つ理事もいたが…まあ、狼狽させるのが目的なのでOK。面白かったし)
 蚊の入ったシャーレを見て、蚊の数が足りないと大げさに驚く神崎。

2.愛の力
 自分の情けないところばかり見せてしまった木嶋みのり(鈴木杏)が、自分のことを心配して、いろいろ動いてくれた。そんな彼女に感謝して、報いようと、頑張る神崎。
 総長に感化されたのではなく(感化されていたとは思うが)、愛の力かよ!……少し納得できないが、神崎らしいかも。

3.ある程度のご都合主義には目を瞑ろう
サハライエ蚊によるアレルギー症状はけっこう曖昧に済ませていた
・みのりが過去の症例の報告を見つけて、「重症化するのは、甲殻類アレルギーがある人」と断じていたが、一応、未知のハイブリット種の蚊なので、楽観できないと思う。孔子や総長の言う「必ずや名を正さんか」には程遠い。
・大学の新聞部の女子部員(けろっと完治したらしい)や、病院で見かけた虫刺されの少女など、追跡調査をすべきだった
・神崎の高熱状態は重症化とは言えないのか?
・足立教授(嶋田久作)がアリからワクチンが作れそうというのも……この吉報がなくても、公表に踏み切れたのだろうか?

4.ネットに流れた神崎の泣き顔
 もう少し、世間の揶揄する書き込みが見たかったなあ

5.須田理事
 方向は間違えていたが、大学のことを真剣に考えていた。
 須田理事と総長はいいコンビかもしれない






【追記】
 ドラマでの理事会の態度が、某日本国の政府の説明とダブってしまう。
 そこで、「Go To トラベル事業と感染拡大との因果関係のエビデンスはない」というキーワードで検索したところ、次のページがヒットした。



令和二年十二月一日提出
質問第七三号

Go To トラベル事業と新型コロナウイルス感染拡大の因果関係等に関する質問主意書
提出者  山井和則

 二〇二〇年末にむけて新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念される中で、Go To トラベル事業の継続について様々な議論が行われています。
 そこで以下の通り、質問します。

一 Go To トラベル事業は、観光業や飲食店からも喜ばれているので、重要かつ必要な経済政策であると理解しています。しかし、感染拡大地域や感染拡大期間において、Go To トラベル事業を行うことは、感染を拡大させ、長引かせ、かえって結果的に、経済にマイナスになるリスクがあるのではないですか。見解を示して下さい。

二 菅総理によれば、「Go To トラベル事業が、新型コロナウイルス感染拡大の主な要因になっているとのエビデンスはない」とのことですが、Go To トラベル事業は、新型コロナウイルス感染拡大の一因になっていますか、それとも一因になっていませんか。また、そう判断する理由も示して下さい。

三 ステイホームで自宅に留まることと、旅行に行くことでは、どちらが感染するリスク及び感染を拡大するリスクが高いですか。また、そう判断する理由も示して下さい。

四 自治体によっては、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、「不要不急の外出の自粛を求める」自治体もありますが、Go To トラベル事業による旅行は、不要不急の外出に当たりますか。それとも当たりませんか。

五 Go To トラベル事業を利用した人が、旅行終了から数日経過した後に陽性が判明したケースについて、その件数を全て把握していますか。把握しているのであれば、どのような手順で把握し、その件数は何件で、そのうちGo To トラベルとの因果関係がないことを確認した件数は何件ですか。

六 Go To トラベル事業を一時停止すれば、観光業や飲食店は、大きな打撃を受けます。ついては、Go To トラベル事業を一時停止する地域においては、そのことによるキャンセルや減収補償を百パーセント行い、観光業や飲食店を守るべきと考えますが、政府の見解を示して下さい。


これに対しての回答

令和二年十二月十一日受領
答弁第七三号

  内閣衆質二〇三第七三号
  令和二年十二月十一日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員山井和則君提出Go To トラベル事業と新型コロナウイルス感染拡大の因果関係等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



衆議院議員山井和則君提出Go To トラベル事業と新型コロナウイルス感染拡大の因果関係等に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「Go To トラベル事業」については、令和二年九月十一日の新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会(以下「分科会」という。)の「GO TOトラベル事業及び県を越えての人の移動についての分科会から政府への提言」において「全国的にGO TOトラベル事業を実施したとしても、ある都道府県がステージⅢ相当と判断された場合には、当該事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討して頂きたい」及び「いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整する必要がある」とされている。また、同年十一月二十日の分科会の提言において「感染拡大地域においては、都道府県知事の意見も踏まえ、一部区域の除外を含め、国としてGo To Travel事業の運用のあり方について、早急に検討して頂きたい」とされている。政府としては、これらを踏まえ、当該事業については、感染拡大防止に向けた取組を徹底し、都道府県知事とも連携の上、状況に応じた適切な運用を行っているところであり、「Go To トラベル事業を行うことは、感染を拡大させ、長引かせ、かえって結果的に、経済にマイナスになるリスクがあるのではないですか」との御指摘は当たらない。

二について

 お尋ねの「Go To トラベル事業」については、令和二年十一月二十日の分科会の提言において「Go To Travel事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しない」とされている。また、これまで、保健所から、当該事業の利用者に起因して新型コロナウイルス感染症の感染が拡大したとの報告は受けていない。

三について

 お尋ねについては、感染予防対策を適切に講じているか否か、家庭内における感染者の有無、旅行先の地域における感染状況等の個々の状況に応じて異なるため、一概にお答えすることは困難である。

四について

 お尋ねについては、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和二年三月二十八日新型コロナウイルス感染症対策本部決定、令和二年五月二十五日変更)において、「緊急事態宣言解除後の都道府県における取組等」として、「感染拡大の兆候や施設等におけるクラスターの発生があった場合、国と連携して、外出の自粛に関して速やかに住民に対して必要な協力の要請等を行うこと」とされており、お尋ねの「Go To トラベル事業による旅行」を含めた外出の自粛の要請の在り方については、各都道府県において地域の感染状況等に応じて判断されることになると考えており、「Go To トラベル事業による旅行」が外出の自粛の要請の対象となるかどうかについて、一概にお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「旅行終了から数日経過した後に陽性が判明したケース」及び「Go To トラベルとの因果関係がないこと」の具体的に意味するところが明らかではないが、お尋ねの「Go To トラベル事業」の実施に当たっては、当該事業の利用者について、新型コロナウイルス感染症の感染が確認された場合等には、当該事業への参加事業者はその旨を観光庁に報告することとしている。令和二年十二月四日までに受けた当該報告によれば、当該事業の利用者であって当該感染症の感染が確認された者は二百四十六人である。このうち、当該事業を利用した宿泊中に当該感染症の感染が確認された者以外の者は百八十七人である。

六について

 お尋ねの「Go To トラベル事業」の一時停止の措置に伴い発生する旅行・宿泊予約のキャンセルについては、当該キャンセルが発生した当該事業への参加事業者に対し、一定の条件の下で、旅行・宿泊料金の三十五パーセントに相当する額を支払うこととしているところである。



《私見》
一 について
 「判断は各都道府県に任せているけれど、一応、国も調整する」
 「当該事業については、感染拡大防止に向けた取組を徹底し、都道府県知事とも連携の上、状況に応じた適切な運用を行っているところである」

 責任を都道府県に押し付けている。また、「状況に応じた適切な運用を行っているところ」と「途中である」という言い回しで、ごまかしている

二 について
 分科会の提言において「Go To Travel事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しない」……分科会を矢面にして、直接の責任を回避。それに、積極的に状況を調査し、真正面から検証しようとしない。まるで、エビデンスが上がらないよう意図している感じさえする。
 保健所から、当該事業の利用者に起因して新型コロナウイルス感染症の感染が拡大したとの報告は受けていない……手一杯だった保健所がエビデンスを検証する余裕はないし、「エビデンスを挙げろ」という指示もなかったのだろう。

三 について
 答える意思はなく、理由をこじつけて回答を回避している

四 について
 「Go To トラベル事業による旅行は、不要不急の外出に当たりますか。それとも当たりませんか?」という問いの答えには、全くなっていない
 三と同様、答える意思はなく、理由をこじつけて回答を回避している

五 については
 信じられないデータと言うしかない。

六 については
 感想省略
コメント (2)
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