英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士考 その6「女流棋士の濫造?② 女流棋士の降級点の検証(勝率、勝数)」

2022-02-03 18:10:18 | 将棋
 その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」で、女流棋士の降級点や引退制度について書いたが、実は、このシリーズ記事を書くにあたって初めて知った。(女流3級の廃止は知っていた)
 改正は2018年4月公表とのことで、既に3年経過していて、今年が4年目になる。しかし、降級点を取った女流棋士は公表されたという記憶はない。連盟のサイトも確認したが、見当たらなかった。
 仕方がないので、その5で推測した降級点の人数5人について考察してみる。(連盟が算定する降級点5名ではなく、女流棋士の成績の最下位から5番目がどういう成績なのか、考えてみる)

 《降級点は、女子将棋YAMADAチャレンジ杯を除く女流6棋戦における活躍度によって年度成績の順位を決定し、その順位下位者から順につく》というのだが、具体的に活躍度の算出の基準が分からない。各棋戦の勝ち上がり具合をポイント化するのかもしれないし、本戦入りやリーグ入りの回数のみ考察するのか、棋戦によってポイントの比重が違うのか……わからない。
 そこで、本記事では単純に年度の成績で考えてみる。
 降級点についてなので、上位の成績は関係ないのだが、せっかくなので上位10名と下位成績を調べてみた。

勝率ランキング 2月2日現在(佐々木女流2級の1.000(2勝0敗)は除く)
1 里見女流五冠  0.786(33勝 9敗)
2 西山女流二冠  0.767(23勝 7敗)
3 伊藤女流三段  0.717(33勝13敗)
4 上田女流四段  0.686(24勝11敗)
5 甲斐女流五段  0.667(14勝 7敗)
5 香川女流四段  0.667(24勝12敗)
5 山口恵女流二段 0.667(18勝 9敗)
5 塚田女流初段  0.667(18勝 9敗)
9 鈴木女流三段  0.656(21勝11敗)
10山根女流二段  0.647(22勝12敗)
10大島女流1級  0.647(11勝 6敗)


 加藤桃子清麗は0.638(30勝 17敗)は12位とベストテンから漏れてしまったし、私が注目している加藤圭女流二段は17勝16敗(0.515)と勝率はパッとしないが、リーグ戦やタイトルの番勝負を戦えば、負け数が増えるのは仕方がない。それにも拘らず、里見五冠と西山二冠の7割5分越えはすごい。
 それはともかく、勝率はおおよその活躍度は反映されていると思う。

勝率・下位成績者
 山口稀女流1級 0.353( 6勝11敗) 
 中村桃女流二段 0.350( 7勝13敗)
(中倉女流二段  0.350( 7勝13敗))
 斎田女流五段  0.333( 7勝14敗)
 藤田女流二段  0.316( 6勝13敗)
 貞升女流二段  0.316( 6勝13敗)
 藤井女流初段  0.313( 5勝11敗)
 伊奈川女流二段 0.300( 6勝14敗)
 石高女流二段  0.300( 6勝14敗)
 竹部女流四段  0.263( 5勝14敗)
 相川女流初段  0.263( 5勝14敗)
 和田は女流1級 0.263( 5勝14敗)
(島井女流二段  0.263( 5勝14敗))
 安食女流初段  0.250( 4勝12敗)
(船戸女流三段  0.222( 4勝14敗))
 北尾女流二段  0.176( 3勝14敗)
 山口絵女流1級 0.133( 2勝13敗)

 降級点が5人につくとしたら、竹部女流四段までが該当する(括弧の島井女流、船戸女流は連盟に所属していないので、除外……もしかしたら、連盟所属棋士以外も対象かも?)
 皆、3割に届かない(北尾、山口絵に至っては1割台)ので、降級点も致し方ない。
 個人的意見だが、3回に1回も勝てない(勝率0.333未満)棋士は降級点がついてもいいと考える。

 タイトル戦の番勝負、リーグ戦を戦えば負け数が増えて勝率も下がるので、勝ち数の視点も必要だろう。
勝数ランキング 2月2日現在
1 里見女流五冠  33
1 伊藤女流三段  33
3 加藤桃清麗   30
4 上田女流四段  24
4 香川女流四段  24
6 西山女流二冠  23
7 山根女流二段  22
8 鈴木女流三段  21
9 石本女流二段  19
10山口恵女流二段 18
10塚田女流初段  18

 1位タイの伊藤女流三段が光る。女流名人リーグで8勝を上げており、里見女流名人を2勝0敗と追い込んでいる。
 タイトル戦登場が多い加藤清麗も3位。西山二冠が6位なのは意外だが、リーグ戦を戦う機会が少なかったからであろう。
 勝数もおおよその活躍度を反映している。


勝数・下位成績者
 石高女流二段   6
 貞升女流二段   6
 藤田女流二段   6
 伊奈川女流二段  6
 山口稀女流1級  6
 竹部女流四段   5
 井道女流二段   5
 宮宗女流二段   5
 相川女流初段   5
 藤井女流初段   5
 和田は女流1級  5
(島井女流二段   5)
(田中女流2級   5)
 安食女流初段   4
(船戸女流三段   4)
 北尾女流二段   3
 山口絵女流1級  2


 現在5勝の6名がボーダーライン。
 規定では、活躍度が同じ場合、前年に遡って上下を決めるらしいが、算出基準が分からないし、あと2か月弱残っているので、本記事で細かく考えるのは意味がない。
 勝率下位の5名は皆5勝以下で、2ランキングとも降級危険域にいるが、他の5勝者も危険域にいると言って良い。


 降級点基準や降級点棋士が公表されていないので、本記事の考察は的外れの可能性もあるが、《降級点の人数が5人》という仮定は、それほど外れていないと思う。
 とにかく、5名しか降級点がつかないということは、相当低い成績を上げないと降級点がつかないということ。勝率基準なら3割で免れる。勝数基準なら6勝で免れる(まだ2か月あるので、ボーダーラインが上がる可能性があるが)
 降級点の規定(基準)が甘いと考えられるが、他人事だから言えるのかもしれない。降級点3回で引退しなければならない……当事者にとっては、重くのしかかるだろう。
 ……しかし、《降級点を消せることができる》という救済措置があり、引退を回避(先延ばし)できる。この基準が……(続く)

 

その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」
その4「トーナメントにおける抽選の偏り③ その他の棋戦」
その3「トーナメントにおける抽選の偏り② 女流名人戦予選トーナメント」
その2「トーナメントにおける抽選の偏り① 清麗戦予選トーナメント」
その1「女流棋士独断ランキング」
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女流棋士考 その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」

2022-02-02 20:14:56 | 将棋
その4「トーナメントにおける抽選の偏り③ その他の棋戦」
その3「トーナメントにおける抽選の偏り② 女流名人戦予選トーナメント」
その2「トーナメントにおける抽選の偏り① 清麗戦予選トーナメント」
その1「女流棋士独断ランキング」

(「濫造」と言う表現のもう少し穏やかな表現をご存じの方、ご教授ください)

女流棋士になるには?
将棋連盟ホームページによると(以下引用)
 女流棋士になるには、研修会に入ります。
 研修会には25歳以下の女性が入会できます。「そこで規定の成績を挙げることにより女流棋士2級となります。」女流3級は2年以内に規定の成績を収めると女流2級になります。女流2級までが正式な女流棋士です


 ……確か、女流3級の制度は廃止されたはず……
(以下は、ウイキペディア・女流棋士の項を参考に記述しています)

 2018年4月の制度改正後は、経過措置を除いて女流3級は廃止された。経過措置には田中沙希現女流2級(日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属)が該当し、2級への昇級条件をクリアできず、女流3級資格取り消しとなったが、研修会に再入会し、資格取得条件の成績を上げ、女流2級になっている。
 女流3級から2級への昇級条件は、現在では適用されることはないが、参考までに記しておくと
①1年間で参加公式棋戦数と同数の勝星を得る(2017年度では年度7勝以上)。
②2年間で参加公式棋戦数の4分の3以上の勝星を得る(2017年度では2016年度からの2年間で11勝以上)。
③女流棋士の昇段級規定の「女流1級」に該当した場合。
④YAMADA女流チャレンジ杯でベスト4に進出した場合(2016年より)。

 ①について…2017年度を例に挙げると、当時の7棋戦に参加して全部で7勝すればクリア(すべての棋戦で勝ち星を挙げる必要はなく、極端な話、1棋戦で7勝稼いでも良い)。単純に考えれば、勝率5割で達成できそう。
 ②について…2年間で14棋戦に参加した場合、14×3/4=10.5なので、11勝が必要
①と②は独立せず、並立?している条件で、②の方が条件が緩やかになっている不思議な規定だ。②の条件はかなり甘いように思える(①でも若干甘い)


 さて、女流棋士になる条件として、先に紹介した「研修会→女流棋士」コースを含めて3コースある
1.研修会コース
・女流3級の廃止に伴い、《研修会C1クラス以上(対局数48局以上が必要)→女流3級》が《研修会B2クラス以上(対局数48局以上が必要)→女流2級》に改正された.。女流棋士になる条件だけに注目すると、研修会C1→研修会B2へと厳しくなっているが、その反面、資格取消の可能性もなくなっている

2.奨励会コース
・奨励会を1級以上で退会すると、退会時の段級位で女流棋士となる資格を得る。
・奨励会を6級以上2級以下で退会すると、女流2級となる資格を得る。

 以前は奨励会2級以上が必須で、条件が緩くなっている。(ただし、降級点制度で強制引退もある。後述します)

3.女流棋戦コース
・アマチュア枠がある女流棋戦でベスト8などの成績を上げると、女流2級になる資格を得る。
 以前は同条件で女流3級の資格(仮資格)となっており、甘い規定になっている。同条件なのに3級が2級となるうえ、(上記でも述べたが)資格取消の可能性もなくなっている

降級点による引退の制度(将棋連盟HPの質問コーナーの「女流棋士の降級点と引退制度について」の項2018年4月公表の制度なので、現在は変更があるかもしれない
女流棋士は、年度成績の順位下位者に該当すると降級点がつき、
・女流棋士は3つ目の降級点がつくと引退となります。
・女流棋士は65歳の誕生日を迎えた年度まで現役を続けることができます。
ただし、65歳になった年度終了時に降級点を1つも持っていない場合、翌年度も現役を続けることができます。
・女流棋士は65歳を過ぎると、降級点が1つでもつくと、その年度をもって引退となります。

 ……65歳になると、急に厳しくなる。

《降級点の人数》
・降級点の人数は、当該年度の起点となる4月1日現在の女流2級以上の女流棋士数を基準とします。ただし、4月1日現在の休場者数は基準人数に含みません。
・降級点の人数は、基準人数36名のときに降級点の人数を1名とし、その後は、基準人数が5名増えるごとに、降級点の人数が1名ずつ増えます。
・年度途中に自主引退者が出た場合は、降級点の人数から自主引退者の人数を引き算した数が、その年度の降級点の人数となります。
・年度途中に休場者が出た場合も、原則として、降級点の人数は変動しません。

 連盟のHPの棋士データベースには63名が載っている(他にLPSA所属が8棋士、フリー棋士が1名)。連盟の降級点規定なので、63名が対象と考えられる。早水女流三段と山田朱女流二段が年度当初から休場しているので、対象者は61名ということになる。年度途中から参加した女流棋士が対象になるのかも不明だが、常識的に考えると、対象外とすべきだろう。途中参加は佐々木海法女流2級(2月2日現在2勝0敗)と岩佐美帆子女流2級(対局なし)。
 59名だとすると、降級点者の数は1+4=5名となる。……適度な人数?少ないような気も…。後で考察します

《降級点の決め方》
・降級点は、女子将棋YAMADAチャレンジ杯を除く女流6棋戦における活躍度によって年度成績の順位を決定し、その順位下位者から順につきます。
・年度成績の順位を決める棋戦サイクルは、便宜上、大山名人杯倉敷藤花戦、リコー杯女流王座戦、マイナビ女子オープン、女流王位戦(予選)、岡田美術館杯女流名人戦(予選)、霧島酒造杯女流王将戦(予選)までとします。
・女流王位戦の予選免除者(前期挑戦者決定リーグ残留者)、岡田美術館杯女流名人戦の予選免除者(女流名人リーグ残留者)、霧島酒造杯女流王将戦の予選免除者(本戦シード者)は、前期の実績を活躍度とします。
・出産・病気による休場者は、休場の時期に関わらず、休場期間を含む当該年度において降級点の対象外となります。
・出産・病気以外の理由による年度単位の休場者には、年度終了時に降級点0.5がつき、0.5の降級点は2回で降級点1となります。
・出産・病気以外の理由による年度途中の休場者は、年度成績の順位下位者に該当した場合、降級点の対象となります。
・当該年度における年度成績の順位に差がない場合は、前年度の年度成績に遡って順位を決定します。前年度の年度成績でも差がない場合は、そのさらに前年度と1年ずつ遡って順位を確定します。


 おそらく各棋戦の成績を活躍度として数値化し、その総合ポイントでランキングするのだろう。
 でも、実際のランキングや降級点者が公表されていない(私が知らないだけ?)ので、詳細は分からない。


《降級点を消せる条件》
・女流1級の昇級規定に該当した場合、降級点を取り消すことができます。ただし、女子将棋YAMADAチャレンジ杯による昇級規定は対象となりません。
・年度内指し分け以上には、女子将棋YAMADAチャレンジ杯の成績を含まない女流6棋戦の良い所取りで6勝指し分け以上も対象となります。
・降級点の消し方について、複数の規定に該当した場合も、年度内に消せる降級点は1つとなります。

 2番目の項目は、解読不明だが、何となく甘いような気がする。
 1番目の「女流1級の昇級規定」だが、(ウィキペディアの「女流棋士の昇級」の項)
・白玲戦…女流順位戦でのC級昇級
・清麗戦…不明
・マイナビ女子オープン…本戦入り
・女流王座戦…本選入り
・女流王将戦…本選入り
・倉敷藤花戦…ベスト8
・女流名人戦…予選決勝進出
・女流王位戦…予選決勝進出
・一般女流公式棋戦…準優勝 (現在は女子将棋YAMADAチャレンジ杯のみ?)
・単年度成績…女流2級昇級以後、指し分け以上(8勝以上)
・(2021年10月1日以降の)勝数規定…昇級後40勝

 最後の項目の「勝数による昇級規定」は、降級点の消去条件には含まれないだろう。「白玲戦でのC級昇級」もどうなのか?
 他の条件も、降級点消去の条件としては、甘い。私が、抽選の偏りの拘った理由の一つである。
 
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