先に、山本さんの長編「なぎさ」を拝見した際、「これが直木賞受賞者の作品か」との思いがあったので、急遽、オークションで受賞作「プラナリア」を購入し読んでみた。

この本は、同氏の初期の短編5編を収めたものだが、この短編集に共通しているテーマは、種々の理由から職を失い働かなくなった若い女性たちの焦燥とやるせなさであり、それに(作者が)寄り添い、ともに出口を探して葛藤する様を克明に綴った秀作である。
しかも、切れ味鋭い文章で綴られるストーリーが小気味よいテンポ語られ、しかも人を見る確かなまなざしとともに、読者をとらえて離さない。
それらが、同賞の選者が一致して彼女を推した理由であろう。
選者の短評:
井上ひさし氏(故人)~「なによりもまず文章のよさで傑出している。加えて主題がいい。〈なぜ人は働かなければならないのか〉は、漱石の『それから』の代助以来の大主題。この根源的な主題を扱いながら、歯切れのよい文章で、小さいけれど魅力的な短篇群を紡ぎ出してみせた山本さんの作家的膂(りょ)力に、感嘆符のたくさん咲いた花冠を差し出さずにはいられない。」
こうして見てくると、山本さんは、もともと力を持った作家なのだから、早く元の調子を取り戻して、もっと良いものをたくさん書いてほしいと思った。選評は、「直木賞のすべて」HPから転載しました。

この本は、同氏の初期の短編5編を収めたものだが、この短編集に共通しているテーマは、種々の理由から職を失い働かなくなった若い女性たちの焦燥とやるせなさであり、それに(作者が)寄り添い、ともに出口を探して葛藤する様を克明に綴った秀作である。
しかも、切れ味鋭い文章で綴られるストーリーが小気味よいテンポ語られ、しかも人を見る確かなまなざしとともに、読者をとらえて離さない。
それらが、同賞の選者が一致して彼女を推した理由であろう。
選者の短評:
井上ひさし氏(故人)~「なによりもまず文章のよさで傑出している。加えて主題がいい。〈なぜ人は働かなければならないのか〉は、漱石の『それから』の代助以来の大主題。この根源的な主題を扱いながら、歯切れのよい文章で、小さいけれど魅力的な短篇群を紡ぎ出してみせた山本さんの作家的膂(りょ)力に、感嘆符のたくさん咲いた花冠を差し出さずにはいられない。」
こうして見てくると、山本さんは、もともと力を持った作家なのだから、早く元の調子を取り戻して、もっと良いものをたくさん書いてほしいと思った。選評は、「直木賞のすべて」HPから転載しました。