アーバンライフの愉しみ

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息をもつかせぬ面白さ~乃南アサ著「凍える牙」

2014年03月31日 | 読書三昧
この旅行に、乃南アサさんの「凍える牙」を持って出た。

飛行機の待ち時間にでも読もうと軽い気持ちで持って行ったのだが、どうしてどうして、物語にすっかり引き込まれて帰りの飛行機を待たず読み終えた。



ただ、あまり面白い本を(旅行には)持っていくべきではないと思った。つまり、本に夢中になって疲れが倍加するからだ。

物語~深夜のファミリーレストランで突如、男の身体が炎上した。
遺体は、上半身黒焦げになっていたのだが、どうしたことか下半身に獣の咬傷が残されていた。警視庁機動捜査隊の女性刑事貴子は、相棒の中年デカ・滝沢と捜査に乗り出す・・・。

これは、乃南さんの初期の作品で、第115回(1996年上半期)直木賞を受賞している。

捜査の主体が女性刑事であるという点でも、また、オオカミドックという大型犬に襲われ、死亡する被害者が続出するというストーリーにしても、こんなことが果たして現実に起こり得るのか、いくつか疑問を持ちながら読み進めた。

幸い、きちんと取材した上で納得のいく展開となっており、良質のエンタメに仕上がっていると思った。

蛇足~直木賞選考委員の選評を「直木賞のすべて」からお借りしてご紹介します。

黒岩重吾氏(故人)「食事や風呂、また睡眠時間を惜しんで読んだ」「エンターテインメント小説の醍醐味を満喫出来た。」「その面白さの核は、見事に光る女性刑事の存在感にある。」「これまで、警察と刑事を描いた小説の中で、このように女性臭くて、しかも任務に対して筋を通す女性刑事を主人公にした作品はなかったような気がする。そういう意味では、画期的な小説ともいえよう。」
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