龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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歌舞伎『風の谷のナウシカ』前編を観てきた。

2020年02月18日 07時30分21秒 | メディア日記
2019年の末に新橋演舞場で上演された歌舞伎『風の谷のナウシカ』(前編)をディレイビューイングで観てきた。
全部で7時間ほどになるのだろう、その前半部分にあたる(後半は二週間後に上演)。

映画版ナウシカではなくマンガ版(確か雑誌『アニメージュ』に連載されていたもの)全7巻を通し狂言にしたてるというのだから、むちゃというか振るっているというか。
とにかく不思議な面白さだった。

歌舞伎をあまり知らない者が「ケレン味たっぷり」といったところで、ある意味では当たり前の話にしかならないのかもしれないが、とにかくあれだけの物語を、(例えば忠臣蔵とか義経の話とかのように)「名場面集」として観客に強く印象づけることに成功しているのだから、歌舞伎らしいすぐれた編集感覚と誇張表現を駆使した「ケレン味」とやはり言っておくべきなのだろうと思う。
歌舞伎のことはよく分からないけれど、ナウシカ愛に溢れた観客の一人としては、名場面集として永く伝えられたらいいな、と思える作品になっていた。

なかでも格好良かったのは七之助のクシャナだ。無論ナウシカは主筋を担う人物なのだが、前編の華はクシャナにある。もう一方の悪の華はミラルパだ。

これはいかにも歌舞伎の荒事に相応しい配置だ。
それに比して、前半戦の世界=自然=王蟲と交感するナウシカは、宮崎アニメの真骨頂であって、明らかに映画版ナウシカの方が馴染み深い。この歌舞伎版ナウシカは、明らかに「少年」だ。ワンピースなら十分オッケーなんだけどなあ、という印象。ま、それはそれでいいのかな。
ことによると、物語前半の「少女」ナウシカは、歌舞伎の様式美に馴染まないところがあるのかもしれない。

後半、巨神兵が登場してからのナウシカに期待しつつ。

ともあれ、この暴挙というか快挙というか、歌舞伎版『風の谷のナウシカ』は、歌舞伎の力を存分に感じることのできる「場面」に満ちていて、何でも飲み込んで「歌舞伎」に消化=昇華してしまう楽しさが満載でした。

後半が楽しみです。