9/26(水)
186
あれこれと薬の量だけ増えていく老いるとは生を他者に委ねることか(た)
187
雨粒の描く円に思い出が浮かんでは消える秋淋の午後(た)
188
校内の長い廊下に靴音を響かせ歩く自分の夢みる(た)
9/27(木)
189
教育学部で出会って42年今日は二人の最後の授業(た)
190
ひたすらに緑の平原駆け抜けて暗黒の空へジャンプしたき夕(ゆうべ)(た)
191
いつもなら脇におしやる体調をいちいち気にする老残の冬(た)
192
唐突に終わるからこそ目に映える退職の日の秋の青空(ま)
9/28(金)
193
幾冊も本を広げてプリント創る知のタペストリー織るかのごとく(た)
194
少しだけ残った荷物を取りに来た生徒のいない学校広し(ま)
9/29(土)
195
生死(しようじ)の海渡る漕ぎ手は自分のみオールよ歌え私の叙事詩(た)
196
施設へと入る老母の引っ越しは30年分の荷を捨てる業(わざ)(ま)
9/30(日)
197
明日よりは自分のための暮らしなり本当に欲しかったものを握るための日々(た)
198
明日から一緒にここで飯を食うこともなくなる母の横顔(ま)
昨日仕事の先輩から
「奥さんは二つの『死』と向き合っていたんだね」
と言われた。
教師としての終わりと、生命の終わり、その二つが表出されている、という感想をいただいた。
確かに
186,187,189~193,それから195か(私の退職も含めて二人の)仕事の最期と、そして自分の生命の終わりに向き合おうとしていた様子が伺える。
190は特に感慨深い。
彼女はいつも自分の人生を、白くて小さな獣が草原をひたすら走ることに喩えていた。その、旅の終わりが 「暗黒の空へジャンプしたき」だったんだ、と改めて思う。
それは単なる絶望の暗喩ではなく、一つの 「終わり」であり 「解放」でもあったのかもしれない、彼女のいつもの口調を思い出し、そんな風に思ってみる。
186
あれこれと薬の量だけ増えていく老いるとは生を他者に委ねることか(た)
187
雨粒の描く円に思い出が浮かんでは消える秋淋の午後(た)
188
校内の長い廊下に靴音を響かせ歩く自分の夢みる(た)
9/27(木)
189
教育学部で出会って42年今日は二人の最後の授業(た)
190
ひたすらに緑の平原駆け抜けて暗黒の空へジャンプしたき夕(ゆうべ)(た)
191
いつもなら脇におしやる体調をいちいち気にする老残の冬(た)
192
唐突に終わるからこそ目に映える退職の日の秋の青空(ま)
9/28(金)
193
幾冊も本を広げてプリント創る知のタペストリー織るかのごとく(た)
194
少しだけ残った荷物を取りに来た生徒のいない学校広し(ま)
9/29(土)
195
生死(しようじ)の海渡る漕ぎ手は自分のみオールよ歌え私の叙事詩(た)
196
施設へと入る老母の引っ越しは30年分の荷を捨てる業(わざ)(ま)
9/30(日)
197
明日よりは自分のための暮らしなり本当に欲しかったものを握るための日々(た)
198
明日から一緒にここで飯を食うこともなくなる母の横顔(ま)
昨日仕事の先輩から
「奥さんは二つの『死』と向き合っていたんだね」
と言われた。
教師としての終わりと、生命の終わり、その二つが表出されている、という感想をいただいた。
確かに
186,187,189~193,それから195か(私の退職も含めて二人の)仕事の最期と、そして自分の生命の終わりに向き合おうとしていた様子が伺える。
190は特に感慨深い。
彼女はいつも自分の人生を、白くて小さな獣が草原をひたすら走ることに喩えていた。その、旅の終わりが 「暗黒の空へジャンプしたき」だったんだ、と改めて思う。
それは単なる絶望の暗喩ではなく、一つの 「終わり」であり 「解放」でもあったのかもしれない、彼女のいつもの口調を思い出し、そんな風に思ってみる。