大震災の中で。
もちろん短歌など作ったことはありません。
歌というより、自然と5・7の定形に流れ込んだ「息」のようなものです。
でも、歌と言えば古来相聞か挽歌。
日常を離れた現実の中で想いを綴るためには、千年間続いてきた伝統のリズムがふさわしいのかもしれません。
ご笑覧を。
______________________
☆原発事故によせて
原発が爆発した夜
逃げるのか
残っているか
諍(いさか)いになる
震災の瓦礫を運ぶ
河川敷
埃打ちつけ
つむじ風舞う
鬼瓦
庭でこちらを睨んでる
斜めの視線に笑ってしまう
大地震で
屋根から落ちた鬼瓦
意外に重くて驚いている
余震起き
ざわめく心映すごと
庭駆け回る
老犬を呼ぶ
見る人のいない桜の並木道
誰のためでもなく咲いている
「直ちには影響ない」と会見する
君の話は誰(た)がためのもの?
嫌ならば解雇と嘯(うそぶ)く上司にも
家族がいると思う夕暮れ
オレたちが
やるしかないと
原発に向かう車で妻子を思う
「原発へここから2キロ夏の花」
そういう俳句を今思い出す
水くみを楽しみながらやっている
大震災もお祭りのごと
一週間ぶりに入った浴槽の水溢れ出す金曜の夜
ガソリンを探して街中走り行き
燃料計の針に怯える
☆病室にて
この前の方がうまいと評しつつ
病気見舞いの苺食う父
「帰りたい」
ベットの上で繰り返す
父をなだめて震災の夜
甘夏を
食べたいという
父のため
震災あとのスーパーに行く
夕方には戻ると帰った
母を待つ
病室の父は幼子のごと
大地震
すごい被害と語っても
届かぬ父の
瞳を覗く
悲しみは
過去を失うことと知る
10秒前のことを聞く父
点滴の支柱を支え
ダイジョブと
眠れる父に声かける我
病院を閉じれば家に戻すしか
ないという医師の
横顔かなし
☆家に戻って
通夜の夜
僧侶も呼ばず水もなく
家族で灯す
火の暖かさ
曇り空
献体のクルマ
待つ庭で
ついの別れを
する母の顔
不審げに茶の間を覗く
老いた犬
亡父の姿探しているか
亡き父が丹誠込めた春野菜
引き抜いて花いっぱいにする
もちろん短歌など作ったことはありません。
歌というより、自然と5・7の定形に流れ込んだ「息」のようなものです。
でも、歌と言えば古来相聞か挽歌。
日常を離れた現実の中で想いを綴るためには、千年間続いてきた伝統のリズムがふさわしいのかもしれません。
ご笑覧を。
______________________
☆原発事故によせて
原発が爆発した夜
逃げるのか
残っているか
諍(いさか)いになる
震災の瓦礫を運ぶ
河川敷
埃打ちつけ
つむじ風舞う
鬼瓦
庭でこちらを睨んでる
斜めの視線に笑ってしまう
大地震で
屋根から落ちた鬼瓦
意外に重くて驚いている
余震起き
ざわめく心映すごと
庭駆け回る
老犬を呼ぶ
見る人のいない桜の並木道
誰のためでもなく咲いている
「直ちには影響ない」と会見する
君の話は誰(た)がためのもの?
嫌ならば解雇と嘯(うそぶ)く上司にも
家族がいると思う夕暮れ
オレたちが
やるしかないと
原発に向かう車で妻子を思う
「原発へここから2キロ夏の花」
そういう俳句を今思い出す
水くみを楽しみながらやっている
大震災もお祭りのごと
一週間ぶりに入った浴槽の水溢れ出す金曜の夜
ガソリンを探して街中走り行き
燃料計の針に怯える
☆病室にて
この前の方がうまいと評しつつ
病気見舞いの苺食う父
「帰りたい」
ベットの上で繰り返す
父をなだめて震災の夜
甘夏を
食べたいという
父のため
震災あとのスーパーに行く
夕方には戻ると帰った
母を待つ
病室の父は幼子のごと
大地震
すごい被害と語っても
届かぬ父の
瞳を覗く
悲しみは
過去を失うことと知る
10秒前のことを聞く父
点滴の支柱を支え
ダイジョブと
眠れる父に声かける我
病院を閉じれば家に戻すしか
ないという医師の
横顔かなし
☆家に戻って
通夜の夜
僧侶も呼ばず水もなく
家族で灯す
火の暖かさ
曇り空
献体のクルマ
待つ庭で
ついの別れを
する母の顔
不審げに茶の間を覗く
老いた犬
亡父の姿探しているか
亡き父が丹誠込めた春野菜
引き抜いて花いっぱいにする