龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCのファンです。
いわきFCの応援とキャンプ、それに読書の日々をメモしています。

旅先で電車の中に財布とスマホを忘れる

2017年07月30日 07時43分35秒 | 観光
という夢を見た。

自分は友人たちと別に一本後の電車に乗ったのだが、降りた直後、座席のテーブル(その電車にはテーブルがある)に財布の入ったバッグとスマホを忘れてしまったのに気づく。

慌てて駅員に言おうとするが無人駅で駅員が見つからない。お金もないので身動きがとれない。

仲間はもう先に街中へ繰り出していてつかまらない。

途方に暮れたそのとき、同じ駅で降りた女性が声をかけてくれる。
「どうしました?」
「あ、あの、さっきの電車に財布とスマホを忘れてしまったみたいで……」
「それは大変、駅に連絡しなくちゃ」
そういってカノジョは携帯でそのことをどこかに連絡してくれた。
私は礼を言ったあと、いささか放心状態となり、駅のベンチについて座り込む。
見つかるだろうか、なくなったままになりゃしないか、と気をもむが、ふと気づくと、自分はその連絡を受ける手段がない。山からの下り列車はさっきのが最後だったのかもしれない。山から降りる途中の無人駅で、日が暮れた後茫然として、ベンチに座り込みながら、財布とスマホのことを思い焦がれる旅先の夜……。

目が覚めた後、思わず財布とスマホを探してしまった。



読むべし!『ハイファに戻って』ガッサーン・カナファーニー

2017年07月16日 13時26分09秒 | メディア日記
ウェルベックの『服従』に続いて、同じく河出文庫の
『ハイファに戻って』
を読む。

やるな、河出。

『ハイファ~』は、パレスチナ解放運動に身を置きつつ、36才で爆殺されたガッサーン・カナファーニーが残した、パレスチナ文学の傑作……

ということらしい。

パレスチナ問題が背景にあることだけを漠然と知っていて、なんとなく最後にある表題作を読み始めた。

参りました。

最初のページを開いた途端、この 「物語」が書かれねばならなかった 「必然」を想わずにはいられない、そういう種類の小説だと感じた。

自分の側、生活の側、その中で生じてくる希望や絶望の側に生きている 「普通の私たち」が、否応なく暴力の側、政治の側、戦争の側に繰り返し引き込まれていく理不尽さと、にもかかわらずその暴力と政治と戦争の理不尽さの中で生きていかねばならない 私たちが抱えざるをえない 「問題」とは、いったいどのような形をとるのか?

西加奈子も解説で書いているが、これは小説にしかできない種類の仕事だろう。

物語のストーリーは、二十年前、イギリス軍がパレスチナから撤退する瞬間を狙いすましてイスラエルのパレスチナ侵攻の不意打ちを始めた日、サイードとその若い妻はハイファの街を一瞬にして追われ、幼子を取り戻すこともできないまま、パレスチナ人は皆港から追放され、その後パレスチナ人たちの家はユダヤ人の入植者たちに 「居抜き」で貸し与えられることになる。
その電撃的侵攻から二十年の後、サイード夫妻はかつて住んでいたハイファを訪問する。かつての自分たちの家には、ポーランドのワルシャワから入植した女性が住んでいるのだが、そこには……。

これは今日本で、そして、もちろん福島で読まれるべき小説だと思う。 描かれている 「物語」の重要さ(パレスチナ難民の人々が抱える悲劇)ももちろんだが、小説としての力(形を持ったエネルギー)を身に受けるという意味でも、読まれねばなるまい。

つまり、我々はこのテキスト以前とこのテキスト以後では、問いの立て方が変わってしまうような、そんなテキストなのだと思う。


作者の闘争の実際や、爆殺されたリアルのことなど何も分からないが、そういう私のような 「惰夫」をも立たしめる、それが 「小説」の力なのだ。

読むべし!『ハイファに戻って』。




Huawei Mate9でY!mobileのMMSを受信する方法。

2017年07月14日 16時19分18秒 | ガジェット
Huawei(ファーウェイ)のMate9というスマホを購入したところ、3週間経ったところで立ち上がらなくなった。

画面が点滅し続けている様子からすると、「立ち上がろうとして頑張ってはいる」のだが、すぐ闇に引きずり戻されてしまうという印象だ。

まあとにかく立ち上がらない。

幸いアマゾンが正規代理店になっていたため1ヶ月は無料交換が可能とのこと。返送手続きを取った直後には別の新品の配送手配が済んでいた。

アマゾン、素敵。

ところがその後、意外な難関が待ち受けていた。

Y!mobileのMMS問題、である。 

MMSとはいわゆるキャリアメールで、格安SIMには無関係かと思っていたら、

DOCOMO→@docomo.ne.jp
au →@ezweb.ne.jp
SoftBank →@softbank.ne.jp

のようなものがY!mobileにもあり

Y!mobile→@Y!mobilene.jp

宛てにメールが届く。

ところが、(格安)SIMフリー用の汎用Android端末であるHuawei Mate9には、キャリアのMMSを受信するソフトが入っていない。

予めインストールされている
メッセージ
というソフトではSMSメール、いわゆる電話番号によるショートメールしか想定していないのだ。受信はするが、開けないという中途半端なことになるのだ。

まあ、それならそれでY!mobileのキャリアメールなど使わなければいい……ようなものだが、なんだかときどきY!mobileから連絡メールが届くのである。

悩ましい。

実は、最初の筐体の時にY!mobileの設定をした際は、Y!mobileメールというソフトをダウンロードすると、自動的にMMSメール相当の何か無意味な文字列のアドレスが(なにも設定していないにも関わらず)既に作成中されており、なんとそのアドレスに自分がY!mobileのサイトで設定したMMSメールアドレス宛てのメールが届いていたのである(読み書きともに可能だった)。

ところが、Mate9の本体交換後にソフトをインストールし直したところ、そのアドレスは二度と現れず、Y!mobileのMMSメールは読めなくなってしまった。

SIM提供会社から届くメールは内容が気になるのが道理。
なんとか受信できないものか、と調べた結果を下に書いておく(必要とする人は少ないかもしれないけれど)。

1,Y!mobileメールを削除する。

2,SoftBankメールをダウンロード

3,本体の設定で、APNを以下のようにする。
(設定→その他→モバイルネットワーク→アクセスポイント名→Y!mobileAPN→アクセスポイントの編集)





4,Y!mobileのSIMをスロット1に入れる。

以上でMMSメールを送受信することがてきました。

設定は、たまたま通っただけかもしれませんので、あくまで参考まで。

SIMフリーのスマホでMMSメールを送受信するのには工夫が要る、という当たり前といえば当たり前の話でした(^_^;)





ウェルベック『服従』読了(2)

2017年07月14日 06時50分05秒 | メディア日記
『服従』の感想メモ。
興味を惹かれたのは大きく三点。

この作品が話題になったのはもちろん、まず何よりも近未来政治小説の側面だ。
「2022年の大統領選挙で、ムスリム系の候補が当選したら」
という小説があればきょうび手にとってみたくもなろうというものだ。

私はフランスの政治には全く疎いが、既存政党の枠組みを全く寄せ付けないようなルペンとマクロンの対決という 「新たな」対決を見せつけられたら、否が応でもフランス、そして世界の政治について関心を持たずにはいられなくなるだろう。そういう私のような読者に、知的興味を満たしてくれる小説だ。
その上で、
「もしムスリム系政党の党首が大統領選挙に勝利したら」
というシミュレーションをしてくれる。

それだけでも、日本の今を生きる人は読む価値がある。さらに、このフランスのお話は決してよそ事ではない。政治は日本というコップの中だけで動いているわけではない、という感触も味わえるのではないか。

大きな枠組みでの魅力、それが一点目である。

もう一つ興味深いのは、それがこの小説家らしい皮肉の効いた細部のリアリティに支えられている、という点だ。
フランスの通りや田舎町の様子、登場する野心家や俗物、そして女性たちの描写はそれだけで 優れた 「類型」描写になっている。
こういう描写をずっと何冊も続けて読みたいかといわれるとそれもどうかと思うけれど、この小説の主題と見合ったリアルはこの水準だと見定めたテクニックを感じるし、それは有効でもある。

例えば、ムスリム系の大統領が行う施策の内容のリアリティはあくまでもその想定された 「類型」の範囲内でのリアルだ。だからこそ安心して読み進めることができる。

それが二点目。



三点目は、その類型の中の一つの典型として主人公が描かれているところだ。つまり、その類型という 「小さな パッケージ」のなか嵐としてインテリ大学教授の悩みや葛藤が展開していく。
全く無力なまま自己保身と自己弁明を繰り返しつつ、無思考の思考を繰り返したまま流れに飲まれていくその描写は、身につまされるというかありふれすぎているというか。
「類型」が、しだいに形をなさなくなっていく様子をなぞっていく皮肉に満ちた語りは、この小説の楽しみ、といっていいだろう。

以上三点に惹かれた。


ウェルベック『服従』読了。

2017年07月13日 17時28分17秒 | メディア日記
 
近未来政治小説的な面白さもあるけれど、私にとっては主人公のインテリ(第3大学教授)の右往左往ぶりが他人ごとでなく惹かれた。

佐藤優が指摘しているようなこと、つまりインテリなんざソ連崩壊の時も 「コロッ」と立場を変えて生き延びたよね、っていう話としても 「ありそう」が楽しかった。

年金生活者目前の自分を重ねてしまう面もあったし(笑)

イスラームの一夫多妻の描写はいかにも悪趣味だし、なんだそりゃって感じだけどね。それも含めて 「フランス」テイストかな……。

自分なら選ばないこの本を勧めてくれた友人に感謝。

Google マップ(ストリートビュー)と照らし合わせながら小説を読む新しい習慣を手に入れた点でも「特筆すべき」体験だった。

ただし私が他の人に勧められるかっていうと、微妙だ。この本を勧める友人が身の回りにどれだけいるか?
こんなのはくだらないし、読まんでもいいさっていうならそれは慶賀すべきことだ。

でも、イヤミか脅しにならなきゃいいけどって話になっちゃう。

周りは国内流行作家の読み手ばっかりだからなぁ……。
昔は外国の小説を読む人もそれなりにいたんだけど、今はちょっと。

まあもちろんそれはそれでいいんだけどね。
いくら流行ってるとしても外つ国の小説なんぞ読まなくても生きていける。このウェルベックだって皮肉は利いてるけど、別に読まなくてもいいっちゃいい。
でもさ、だったらこれぐらいの作品を日本語で書くか読むかしてるかっていうと、どうだろうと思う。
『ヒルビリーエレジー』の時もそう思ったけれど、こういう他の国の人が読んでも読める(今時はたとえ読んだからといって霧が晴れるように物事をクリアに考えられるようになるわけじゃないけどそれでも読んでおく意味はあるんじゃないか、というような)ものが日本にはあるのかな、とも思う。

んなこというならお前が書けって話だよね。
御意。



イベント「子どもを蝕む体内被曝 チェルノブイリから31年」

2017年07月12日 20時35分03秒 | 観光

7月26日(水)会津若松市稽古堂にて18時30分~
「子どもを蝕む体内被曝 チェルノブイリから31年」
というイベントがあります。ウクライナの医師、学校長、TVディレクターの3人が来日。
日本プロジェクトの成果を含めて食物汚染の実態などを報告してもらうそうです。
よろしかったらぜひ。


第9回エチカ福島「国民投票について考えよう」を8月26日(土)に開催。

2017年07月11日 22時32分23秒 | 大震災の中で
第9回エチカ福島
「国民投票について考えよう」


2017年8月26日(土)13:30-16:30
西沢書店 福島市大町店にて

開催します。

7月7日に『国民投票の総て』を制作・出版した大芝健太郎氏を講師にお迎えして、

・国民投票って何?
・世界の国民投票について
・国民投票の実態と効用、ルールについて
・国民投票とどう向き合うか

などをじっくり考えてみたいと思います。

申し込み不要です。当日おいでください。
お茶・資料代500円(学生無料)。




志の輔らくごin PARCO の「柳田格之進」を観た。

2017年07月09日 00時31分21秒 | メディア日記
志の輔、すごいなあ。

「志の輔らくごinPARCO」之DVDを購入。オマケ(特典)でついてきた 「柳田格之進」を最初に観たのですが、これが良かったです。

お話は、大店の旦那が碁会所で知り合った貧乏浪人柳田格之進を家に招き、毎日離れでご馳走しながら碁の相手をしてもらうようになった。
 10 日ほど経ったある日、例によって二人で碁に夢中になっているところに、番頭が売上の50両を持って来て旦那に渡す。ところが碁に夢中な旦那は膝の上に50両を乗せたまま碁を打ち続ける。
 柳田が帰った後、番頭が旦那に50両のお金のことを確認すると、旦那は慌ててお金を探すのだが、上の空だったせいか、思い出すことができない。
 貧乏浪人が盗ったのではないか、と勘ぐる番頭を旦那はたしなめるが、番頭はそのままにしておけない、と翌朝長屋を訪ね、遠まわしに柳田がとったのではないか、と謎をかける。柳田は知らぬ、というが、番頭は取り合わず、それならお上に訴え出るしかない、と 「独り言」を柳田に聞かせる。
 奉行に疑いをかけられるなどとは武士の名誉にかかわること、あってはならぬと柳田は、盗ってはいないが名誉のためにお金は用意するがその代わりもしのちにその金が出てきたときにはお主(番頭)の首をもらうぞ、と言う。番頭はその言葉を腹いせと聞き流し……

と展開していきます。
こういう話をさせたら志の輔は最高ですね。50分の長丁場があっという間。ぐぐっと自分の世界に引き込む 「名人芸」系の凄みを感じました。

六代目円生の 「淀五郎」も、たっぷりと人情の機微を語ってくれるものでしたが、志の輔のこのお話もステキでした。これから本編の10席が楽しみです。

友達に貸したままの桂枝雀のDVDを返してもらって、志の輔と枝雀を交互に観る至福をこの夏は楽しみにしようかな。


ケン・リュウ『紙の動物園』の感想

2017年07月09日 00時18分06秒 | メディア日記
作者ケン・リュウは、中国大陸甘粛省出身。11才でアメリカに移住し、弁護士・プログラマーの経験もあるという。


「紙の動物園」を、読みました。

なかなかいいですね。
表題作『紙の動物園』は泣けました。まずはここから、が正解でしょう。私は浅田次郎の『鉄道員(ぽっぽや)』所収の 「角筈にて」のような親子ものに弱いのですが、この作品もツボでした。

「なんちゃって大日本帝国」が出てくる
「太平洋横断海底トンネル小史」
も結構好きかも。

二項対立的な 図式を相対化して
「欧米かっ!?」
と突っ込む視点もありつつ、東洋的な神秘的 「ホニャラケ」を小道具に使う色気もありつつ、「弱い者」の表現への共感の道筋をつける 「泣ける」演出もありつつ、しかし単にその小道具の 「効果」ゆえに 「読ませる」のではなく、むしろ書き手の 「視点」が地上1.5mほどの空中にあるその定位ぶりというか、自由さというか、どこかニュートラルな手触りがあるというか、その徴としての 「SF」という枠組みが利用されているというこ、その 「ありさま」こそが読ませる要因なのか、とも思います。

友人に紹介してもらったのですが、いいものを紹介してもらったお得感がありました。

未読の方は幸せなんじゃないかな。この夏何を読もうか迷っている人にオススメの一冊。