龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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読むべし。佐藤正午『鳩の撃退法』(上・下)

2015年02月10日 13時51分13秒 | メディア日記
上下2巻の単行本である。
普通なら文庫を待ってどうぞ、というところだ。

だが、この作品に限って言えば、「直ちに読むべし」。

ジイドの『贋金づくり』までさかのぼるのは大げさだとしても、蓮實重彦が「問題だけだして逃げちゃった」と評した石川淳の初期短編から補助線は引いてみることができる。

高橋源一郎と比較してもいいし、伊坂幸太郎と並べることもできるのかもしれない。『小説の読み書き』岩波新書という¥小説論もあることだし、『身の上話』だっておもしろかったし……。

でも、そういうことじゃない。

早くこういう描写に目がない人に読んでもらって、この小説についてしゃべりたい。
そんな気にさせる「濃度」をもっている。この感じはいつ以来だろう。小説を好きで良かった。そう思う。
是非、「即刻」アマゾンクリックを。

小説好きを自覚していてもなお、読んで全く面白くなかったというひとは、一声かけてほしい。
そういう人とゆっくりこの小説の話がしたいな(笑)
「かなり」お薦めです。

もちろん、これは読者を選びます。だから、「何が面白いの?」っていうひともいると思う。
決してそういう人が小説の魅力を知らないわけじゃない、とも思う。
念のため。

たださ、やっぱりすごいよ、これ。


佐藤正午『鳩の撃退法(上・下)』、ただいま下巻の半分まで。

2015年02月09日 21時49分08秒 | 観光
佐藤正午という作家の小説は、どうにも説明しがたい。

物語の筋を説明することはできなくもないような気もするのだが、そんなことをしてみてどうなるのだ、と登場人物で(も)ある「小説家」から早手回しに手を禁じられているようなもので、「作中で小説を書いている小説家」を書いている小説というのは歴史的にそんなに珍しいわけでもなく、確かにメタフィクションは好きだけれども、小説の書き手が小説内に投入されていればそれでおもしろがれる、という底のものでもない。

まあ、読んでみた方がいいか読まない方がいいか、といえば、小説好きなら読んだ方がいい、と思う。
物語というかストーリーの展開が好きな人にとっては、どうだろう?
いらいらしちゃうかなあ。でも、佐藤正午を1作でも読んだことがあれば、そしてそれを面白いと思ったことがあるとすれば、これは必読の一冊、でしょう。

出来事がすらすらと連続して「息をもつかせぬ」という種類の小説ではないから、そこは難しいといえば難しい。
しかし、息をつく暇もないほどだ、といえば息をつく暇もないほど、なんでもなさそうなことを「読ませる」のである。

さて、早く最後1/4を読まないと夜寝られなくなってしまう……。

とりあえず、ここまででいえば「かなり」面白いです。