1月16日(土)
数日前から続いていた風邪もどきの体調不良も、処方してもらった薬が効いたのか徐々に元気が蘇えってきた。具合が悪いと言っても寝込む程で無く、家に閉じこもってばかりだと気が滅入るので、昼間妻と外食に出掛けた。
食事を終え、そのまま帰宅もつまらぬからドライブがてら近隣のローカルショッピングモールへ立寄った。その中には島忠のビッグなホームセンターがあり、妻が俄然興味を沸かして店内へと勇んだ。
一緒に行くのも煩わしいので車の中で待っていると、「ネェネェ、オフイス椅子のいいのが沢山あるわよ。」と言いつつ妻が戻ってきた。現在我家のパソコン机で使ってる椅子は、以前リサイクルショップで500円という安さに惹かれて買った古品である。でもやっぱり安物は安物で、見た目薄汚れているし坐り心地も今一つ、だからイイのがあればと買換えを考えていた。
妻と一緒に店内に展示されている椅子をアレコレ試し座りしてみたが、中に一つ座り心地がしっくりとくる椅子があった。価格もそれ程高くなかったし、アレコレ迷うのも面倒になりそれを買う事にした。
ところで椅子というツールは、それを使う人の地位や職責を象徴するそんな側面があるのではなかろうか。具体的に言えば、偉い人の椅子ほど、デカくて肘掛が幅広くて背もたれが高いという感じ、以前テレビで観た有名な宮殿にある玉座の背もたれ何て、人の背丈の数倍あり尋常の長さでは無かった。
現役時代一貫して出世街道と無縁で過ごした私は、そんな踏ん反り返るような椅子に座れるはずも無く、与えられたのは、概ね丸い小さな背もたれで灰色の事務用椅子ばかりだった。定年前その椅子にやっと細い肘掛がついたくらいだ。
そんな私が苦節六十数年、やっと踏ん反り返れる椅子に座れるご身分になれた。別に偉くなった訳でも名誉を得た訳でも無く、単なる無職のプータローオヤジに変わりは無いが、それだけで目頭が熱くなってくる。