Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

南ア、仙丈ヶ岳登山(北沢峠→ 仙丈ヶ岳→戸台登山口)

2016年01月06日 | 山歩き

 1月4日(月)   天気=晴れ

 

05:15北沢峠こもれび山荘→ 05:57二合目→ 06:51大滝ノ頭→ 07:49~08:03小仙丈ヶ岳→ 08:49~09:19仙丈ヶ岳→ 09:54~10:01小仙丈ヶ岳→ 10:21~29大滝ノ頭→ 10:55二合目→ 11:23~55北沢峠こもれび山荘→ 12:10大平山荘→ 13:25~40丹渓山荘→ 13:54熊穴沢分岐→ 14:54白岩堰堤→ 15:30戸台登山口駐車場

 

 朝4時に起床する。ラーメンと昨日残した漬物だけで朝食を済まし、5時15分に山荘を出発する。外はまだ暗闇の中、ヘッドライトの灯を頼りに歩き始める。登山道に明瞭なトレイルが刻まれているから迷う事は無い。・・・と思ってしばらく登っていたら降り道が続くようになった。

 仙丈ケ岳登山口(下山時)

 アレッ道を間違えたか?と一瞬思い地図を確認すると、二合目付近はゆるい降りになっており間違いではなかった。二合目標識の所でテント場からの道が合さった。この先から大滝ノ頭まではズーッと樹林帯の急登が続く。

 暗くて景色も見えぬので、無我の境地で黙々と歩くのみ、二合目から約1時間で大滝ノ頭に着いた。ここから馬の背ヒュッテへ行く道が右に分岐しているが、積雪期の今は凍結の為通行止めになっている。

 大滝ノ頭(下山時)

 大滝ノ頭の先で、鳳凰山の稜線から朝日が昇った。その力強い日差しが今日の好天を約束してくれているようだ。やがて樹林帯を脱すると頭上に小仙丈ヶ岳のピークが見えた。森林限界を越えると吹く風が強まり時折身体を揺すぶるが、歩行を妨げる程の風では無い。

 鳳凰山の稜線から日の出

 大滝ノ頭から小仙丈ヶ岳までの道が今日一番の急登で、ピッケルを身体の前方に突き刺しそれを両手で掴み身体を引き上げる。その繰り返しで登って行く。

 先に出発した同宿の人が上から降りて来た。「早いですね~。」と声を掛けると「小仙丈まで行って引返したんです。」と答えて降って行った。こんな良い天気なのに山頂へ行かない何て勿体ないなあと他人事ながら思った。

 小仙丈ケ岳ピーク(奥は仙丈ケ岳)

大滝ノ頭から約1時間で小仙丈ヶ岳(2855m)に着いた。ピークからの眺望は言葉にならぬほどの絶景、しばし呆然と見惚れる。360度の展望だが何と言っても圧巻は仙丈ヶ岳の雄大な山容で、正に南アルプスの女王の貫録だ。

 仙丈ケ岳への登り

小仙丈ヶ岳から小さなアップダウンを幾度か繰り返していよいよ仙丈ヶ岳への最後の登りにかかる。この辺りも急登で苦しい登りだ。焦らず、急がず、休まずの思いで登って行く。稜線を巻き気味に乗越すと前方に初めて山頂が見えた。

 山頂が見えた。

 同日登った人のブログに私が前衛ピークを登る姿が写っていたので許諾を得て掲載

 前衛ピークから山頂

尾根沿いにゆるく半円を描くように登り08:49待望の仙丈ヶ岳(3033m)に到着した。冬の仙丈ヶ岳はズーッと以前にも登っており今回が2度目だ。前回も良い天気だったが、今日も無風快晴の素晴らしい天気だ。仙丈ヶ岳は私を気に入ってくれているのだろうか。

 仙丈ケ岳山頂

 山頂から塩見岳、赤石岳方面

 山頂から甲斐駒ケ岳

 山頂直下の仙丈小屋と遠く八ヶ岳方面

 山頂から富士山(右奥)と北岳(右端)方面

 山頂から中央アルプスと御嶽(右奥)

 山頂にはグリーンの服を着た青年が先着しており、彼も「こんなに良い天気は初めてですよ。」と感激していた。山慣れた好感のもてる若者で彼と交互に写真を撮りあった。あまりの陽気に山頂を去るのが惜しい。しかし今日中の下山予定だからあまり長居もできず、30分程滞在し後ろ髪引かれる思いで山頂を後にした。

 山頂の三角点標石

 辛い登りと違い下山は快適だ。思い切りアイゼンの刃を効かせてガシッガシッと勢いに乗って降りて行く。その内右足小指がチクチクと痛み始めた。久しぶりに履いた冬山用登山靴が合わなかったのか小指の皮がむけたようだ。

 下山道から小仙丈岳(中央手前)と甲斐駒(中央奥)アサヨ峰(右奥)

 小仙丈ヶ岳まで戻り、もう一度周囲の景観を心眼に留め北沢峠へと降って行く。登りの疲れも溜り小指の痛みも気になって、中々脚が進まない。それでも大滝ノ頭で一息入れただけで休まず降り、仙丈ヶ岳山頂から約2時間余で北沢峠のこもれび山荘に戻ってきた。

 小仙丈岳から富士山と北岳

 小仙丈岳から北沢峠方面

 山荘に残置した荷物をザックに収め、軽く昼食を取った後、戸台へと下山を開始する。夏山ならバスであっという間に山麓へ戻れるのに、林道が通行止めの冬は遥か遠い戸台集落までエンヤコラと歩かねばならぬ。冬山の辛いところだ。

 八丁坂の降りでいよいよ右小指の痛みが我慢ならなくなった。柔らか生地の予備靴下と履き替える。これで少しは楽になった。やがて瀬音が聞こえ、北沢峠から1時間15分程で丹渓山荘へ降り着いた。

 ここから先は平坦な道なので小指の痛みもそう気にせず歩けるだろう。昨日恐々渡った渡渉地点の凍った丸木橋を今日も恐々渡り、人気の無い静寂な河原を粛々と降って行く。小指の痛み差へ無ければ快適な下山道だ。熊穴沢分岐を通過して約1時間後白岩堰堤が見えた時は、もうすぐゴールだと安堵した。

 白岩堰堤から作業用林道を約40分程歩き戸台の駐車場へ戻って来た。振り返るとV字型の谷間の奥に西陽に輝く甲斐駒の稜線がクッキリと浮かんで見えた。車に乗ると高遠町のさくらの湯に直行する。靴下を脱いでみたら右足小指には大きな血豆ができていた。お風呂から上がり針で血豆を潰してバンドエイドを張って、やっと痛みから解放された。

 戸台から甲斐駒ケ岳

 若い頃は冬山のテント生活も厭わなかったが、年老いた今は幕営具を担ぐ体力も酷寒に耐える気力も失せた。だから最近の正月山行は営業小屋のある所しか行けなくなった。アラセブンの年齢からしても冬の3000m峰はもう今回辺りが限界だろう。

今日山頂で眺めた絶景は良い冥土の土産になったのでは、たとえボケても忘れ得ぬ生涯の想い出になったような気がする。この齢で登れた事にただ感謝あるのみ。

コメント
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