Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

三百名山ラスト尾瀬、景鶴山登山1日目(詳細)

2017年05月07日 | 山歩き

 鳩待峠~景鶴山~龍宮小屋

5月2日(火)   天気=晴れ

07:32鳩待峠→ 08: 14~28山ノ鼻→ 09:00牛首分岐→ 09:43~58ヨッピ橋→ 11:26~30与作岳→ 12:06~43景鶴山→ 13:14~35与作岳→ 14:22~34ヨッピ橋→ 15:00竜宮小屋

 

 記念すべき日本3百名山最後の登山なのにこんな恥さらしな事書きたくないが、前夜沼田インター近くの道の駅白沢で車中泊していた時大事な忘れ物があるのに気付いた。「雪山登山の最重要装備であるアイゼンを家に置いてきた。妻に電話すると「棚にあるわよ。」と言う。

 一瞬目の前が真っ暗になったが、何としても今年登りたいから取りに行くしかない。「玄関前に出しておいてくれ。」と妻に頼み、未明に我が家まで往復した。余分にかかったガソリン代と高速料金も惜しかったが、それより心が萎えた。

 戸倉の駐車場に車を停め、ここから連絡バスに乗って、登山口である鳩待峠に着いたのがAM7時半、峠は2m近い積雪がある。「この時間なら充分景鶴山を登れる。」と気分を鼓舞し、アイゼンを靴に装着して出発する。

 鳩待峠の残雪

 数軒の山小屋やテント場がある山ノ鼻までは緩やかな雪道が続く。40分程で着いた山ノ鼻は山スキーや登山を楽しむ人達で賑わっていた。ここからは平坦な尾瀬ヶ原を歩くのでアイゼンを外す。

 山ノ鼻へのコースから至仏山

 山ノ鼻到着

 尾瀬ヶ原は遠目に見ると鏡のように平坦だが、足元は波のようにデコボコしており踏み跡を伝う方が歩き易い。広々とした雪原を歩いて行くと行く手の燧岳と背後の至仏山が雄大だ。

 尾瀬ヶ原から燧岳

 同じく至仏山

 原ノ川上川橋

 30分程歩いてGPSを確認すると牛首分岐を既に通過している。踏み跡の無い雪原を左に曲りヨッピ橋目指して直進する。途中下の大堀川に架かる橋が工事中で、幅30㎝程の鋼製橋桁が両端に2本架かっているのみ、綱渡りの要領で恐る恐る渡ったが、ある意味此処が今日一番の難所だった。バランス感覚に自信の無い人は遠回りでも龍宮十字路を経由してヨッピ橋へ向かう方が無難だ。

 牛首分岐から景鶴山(左奥)が見えて来た。右は与作岳

 工事中の橋(バランス感覚に自信の無い人は渡らぬ方が無難)

 やがて前方にヨッピ吊橋が見えてきた。この橋も橋げ桁が外されているが、3本の鋼製桁と手摺があるので容易に渡れる。橋を渡って北に聳える景鶴山を見上げる。

 ヨッピ吊橋(橋桁が外されている。)

 この山は道が無く残雪期の今が登山可能だ。景鶴沢を詰めるのが最短コースだが山腹の雪面にはクラックがアチコチにあり、雪崩れそうなのでチョット行く勇気は無い。与作岳経由の尾根コースの方が無難なのでそちらへ向かう。

 ヨッピ橋から景鶴山(左斜面が景鶴沢)「下山時」

 このコースは東電小屋から笹山を経て与作岳へ向かうのがノーマルだが、それでは遠回りなので私は笹山と与作岳の鞍部を目指してトレイルの無い雪原を直進する。

 ヨッピ橋から燧岳(左の尾根が笹山)「下山時」

 やがて小尾根に達し、その尾根を登って行くと鞍部に到達した。そこからは与作岳に向かって薄らと踏み跡が続き、それを外さぬよう登って行く。緩急を繰返す単調な樹林帯のコースだが、与作岳が近づくと時折展望が開くようになった。

 小尾根を登る

 笹山からのコースと合流地点

 尾瀬ヶ原が垣間見える。

 与作岳の斜面には雪崩れた痕跡が残っている。この辺りから早朝に景鶴山を登った人達とすれ違う。皆異口同音に「素晴らしい天気ですね。」語りかけてくる。

 与作岳の山頂が見えてきた。(左の尖峰が景鶴山)

 与作岳(1933M)は広々とした山頂で素晴らしい眺めだ。尾瀬ヶ原から見る景鶴山は冴えない山容だが、ここから見ると小マッターホルンみたいなシャープな姿をしている。

 与作岳から景鶴山(右)と至仏山(左)

 景鶴山へは幅広い尾根道をユッタリ降り、ユッタリ登り返す。山頂直下から山頂まではナイフエッジの急峻な雪尾根、転倒すると止まりそうにないので些か緊張して登る。やがて特徴的な丸い岩を通過すると、その先が小さなプレートがある景鶴山(2004m)の山頂だった。

 景鶴山へ向かう広い尾根

 景鶴山山頂直下

 山頂へ向かうナイフエッジの尾根

 念願の日本三百名山踏破達成で感涙にむせる。何て程でも無く、案外容易に登れたのでやっと終わったなあとホッと安堵する気持の方が強かった。5~6人いれば満杯になるような狭い山頂で展望も素晴らしい。

 景鶴山山頂(背後は平ケ岳)

 展望を楽しんでいると与作岳手前で追越した単独の青年が山頂に着いた。彼も感激の様子で、共に喜びを分かちあう。私がつい自慢げに「今日で三百名山達成なんだ。」と洩らすと彼は笑顔で祝福してくれた。つまらぬ虚栄心から出た言葉だったが、私も誰かにこの喜びを知って欲しかったのでご容赦ねがいたい。

 山頂から尾瀬ヶ原

 山頂から至仏山方面(景鶴沢上部の雪面クラックが凄い)

 山頂から燧岳方面

 更に遅れてもう一人男性が登って来た。彼は景鶴沢を登って来たそうだが、途中で行き詰まりトラバース中に5m程滑落したそうだ。「恐いので、もうあのコースは二度と通らない。」と後悔していた。

 景鶴山の降りから与作岳(遠くの雪山は会津駒ケ岳)

 アッ言う間に時が過ぎ、40分程滞在の後、山頂を後にする。緩やかな尾根を伝って与作岳に戻ると広い山頂の一角でコーヒーブレイクにする。今宵は眼下に見える龍宮小屋に泊るだけなので急ぐ事はない。ノンビリ寛いでいるとジワジワと喜びが蘇えってきた。

 緩やかだがきつい、与作岳への登り返し

 与作岳から燧岳

 休憩を終えると尾瀬ヶ原に向かって降りて行く。雪道の降りは早く与作岳から僅か1時間でヨッピ橋の畔に戻って来た。アイゼンを外して橋を渡り、平らな雪原を直進して龍宮小屋へ向かう。デコボコした雪原は歩き難く30分程掛かって尾瀬ヶ原中央部に建つ龍宮小屋に到着した。

 龍宮小屋

 龍宮小屋から景鶴山

 まずはビールで一人祝杯を挙げる。小屋の宿泊客は30名近くいるだろうかソコソコ賑わっている。ハンバーグが主菜の夕食だったが北アルプスの山小屋に比べると一寸劣る感じ、しかしトイレがウォシュレットだったのには驚いた。その上お風呂もあるというが、どうせ明日温泉に入れるので入浴しなかった。

 同宿者の話を聞くと、去年雪不足で登れなかった為今年景鶴山へ登る人が異常に多いらしい。今日見かけた登山者も十数名は下らない。今宵宿泊者の半分は景鶴山目的らしく、私は4人入室の部屋だったが一人は写真撮影目的だが、残る2人は明日登ると言う。彼らは弁当を頼んで明日4時頃には出発するそうだ。本日念願の目的を成就した私は余裕のヨッチャンで、明日はノンビリ下山すればいい。昨夜は寝不足だったから寝床に入った途端熟睡モードに突入し意識を失った。

コメント
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