5月6日(土)
引きこもり青年が立直っていく姿を描いた小説「生きるぼくら」を読んでスッカリ原田マハ作品に惹きこまれ、「カフーを待ちわびて」、「まんだら屋のマリア」等を続けて読んだけれど、今回読んだ「奇跡の人」が一番の感動ものだった。
この本は、三重苦の障害者ヘレン・ケラー女史とサリバン先生の物語を土台に日本を舞台にした小説です。だからでしょうサリバン先生役に該当する女性は「去場 安」、ヘレン・ケラーに該当する女性は「介良 レン」とよく似た名前になっています。
時代は明治初期、去場 安は日本人女性として初めてアメリカで長期の高等教育を受けた才媛だが、視覚に障害があり日本女性の教育に生きようとする。そんな彼女を見込んで、青森津軽の名家である介良家の息女、レンの教育を依頼される。
れんは「見えぬ。聞こえぬ。話せぬ。」の三重苦障害者で、座敷牢に閉じ込められ野獣のような生活を強いられている。そんな彼女の隠された資質を見抜いた安は、様々な障害をものともせずレンを教導し生まれ変わせていく。
ストーリーはヘレン・ケラー物語と重複する面もあるが、盲目の三味線弾き少女キワとの絡みも織り交ぜ、感動の物語に仕上げたのは原田マハさんの力量だろう。最初と最後のシーンも意外で、これは泣かせる小説ですよ。