5月5日(金) 天気=晴れ後曇り
05:25テント泊地→ 06:14上ノ間山→ 07:22~41忠次郎山→ 08:50~09:00上ノ間山→ 09:43~10:20テント泊地→ 10:46~54白砂山→ 11:41~44猟師ノ頭→ 12:04~33堂岩山→ 13:32~37地蔵山→ 14:08~20ハンノキ沢→ 14:38野反湖登山口
風も無く静かな朝を迎えた。ラーメンとコーヒーだけの簡単な朝食を終え5時半頃テントを出発する。ゆるゆると降り気味に進んで行くと、残雪が途切れ藪尾根歩きが多くなる。笹薮だけならそれ程歩きに支障はないが、ハイ松やシャクナゲ等が混じると歩き難くなる。
夜明けのテント幕営地
テント場から50分程で上ノ間山(2033m)に着いた、意外にいいペースだ。山頂からは忠次郎山がドーンと見えて、オイデオイデと誘っているようだ。昨日は「上ノ間山で引き返そうか。」何て弱気な気分だったが、その姿を見て俄然ファイトが湧き、先へ進む事にする。
上ノ間山から忠次郎山
上ノ間山から白砂山方面
上ノ間山から急な雪面を降り左へトラバース気味に痩せ尾根に達すると、藪尾根を進んで行く。前方の1982mピークは、手前の雪面を横切り再び藪漕ぎの道になり、この辺りが今日一番の難所だった。
1982mピーク付近の藪尾根
やがて忠次郎山への尾根に達すると、その後は快適な残雪歩きに変った。目指す忠次郎山が近づいてくると気分も高揚する。北隣の上ノ倉山方面を眺めると、手前の鞍部は残雪が途切れ藪漕ぎを強いられそうだ。それを見て上ノ倉山へ行く事は諦めた。
忠次郎山へ続く雪尾根
忠次郎山手前から谷川岳方面
同じく上ノ倉山方面
急な雪原を100m程急登すると疎林に囲まれた緩やかなピークに着く。ここが忠次郎山(2084m)であった。山頂に標識の類は見当たらず樹木に遮られて展望もあまりよくないが、念願の山に登る事ができて感無量ジワリと嬉しさが込み上げてくる。
忠次郎山山頂(背後の山は白砂山)
山頂から白砂山(右)と上ノ間山(左)
20分程滞在し、山頂を後に来た道を戻る。1982mピークから上ノ間山までの藪尾根は厳しく息も絶え絶えだったが、下山後の温泉とビールを夢想しながら休まず登って行く。
上ノ間山への急登
忠次郎山から1時間余で上ノ間山に戻って来た。結局忠次郎山と上ノ倉山間のコースを繋ぐ事はできなかったが、それぞれの山頂は登頂できたので悔いは無い。忠次郎山の姿を目に焼き付けて、テントのある2078mピークへと戻って行く。
温かな陽射しにテントはすっかり乾いていた。装備を撤収しザックに収めると、白砂山(2190m)へと登って行く。二人組の登山者が白砂山頂に見えていたが私が到着した時にはその姿は無く、山頂から見下ろすと堂岩山に向けて歩く二人が豆粒のように見えた。
テント幕営地に戻って来た。
再び白砂山山頂
山頂でしばらく休んだ後、私も堂岩山へと下山を始める。猟師の頭手前で単独の男性とすれ違う 。彼は日帰りで白砂山を登りに来たようだ。白砂山から先は夏道があり雪面の踏み跡も多いので気分が楽になる。堂岩山に戻り着くと白砂山で見た二人組と遭遇し、しばらく山談義を交わす。
白砂山から堂岩山へ続く尾根
堂岩山から白砂山
若い男女の二人は山中2泊で苗場山から遥々歩いて来たそうだ。そのバイタリティーが羨ましい。私も調子に乗って「一昨日景鶴山を登って、日本3百名山を登り終えた。」と話したら、「凄いですね。」と二人は握手を求めてきた。別に困難な登攀をやった訳でも無く、長年山歩きを積み重ねただけなのにと少し気恥ずかしさを覚えた。
「3時過ぎに野反湖ダムから出るバスに乗るので」と彼らは足早に下山して行った。私はお茶を飲んで一休みした後に下山を開始する。地蔵山までは登り返しもあるのでけっこう長い道程に感じる。
地蔵山への登り返し
地蔵山からの降りは踏み跡が二手に別れている。左はハンノキ沢へダイレクトに降るコースで、こちらの方が踏み跡も多い。先程の二人組もこちらのコースを降ったようだ。私は右手の地蔵峠を経由する夏道コースを降る。峠を過ぎると踏み跡も無く判り辛い地形だが、GPSを頼りにハンノキ沢に架かる小橋まで降った。
私が小橋に着くと先程の二人組の男女もそこで休憩しており、コースの状況を訊ねるとスンナリ降れたようだ。野反湖へと急ぐ彼らを見送り、一休みした後、私も沢から僅かに登り返し14時半過ぎに野反湖の登山口へ戻ってきた。
野反峠から野反湖
このまま帰宅して我が家で一杯やろうと思ったが、大型連休の真っただ中でラジオは観光地や高速道路の大渋滞を伝えている。
疲れ果てているので、一般道を長躯走り我が家へ戻る気力も湧かない。長野原から裏道の国道406号を走り抜け、高崎市の公営日帰り温泉「相間川温泉せせらぎの湯」で山の汗と疲れを流す。風呂上りに生ビールをグイと飲むと喉越しが実に美味い。生きてて良かったなあと実感する一瞬だ。
その夜は近くの道の駅で仮眠を取り、翌朝早く我が家へ戻った。長年登りたいと切望していた景鶴山と忠次郎山の山頂を踏む事ができたので、今回は胸のつかえが取れたような大満足の山行であった。