「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「硫黄島からの手紙」 (2)

2006年12月05日 12時52分02秒 | 映画
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/42913509.html からの続き)

 一流の軍人でありながら、日本にいる妻子のことを常に思う 家庭人としての栗林。

 身ごもっている妻のために、絶対に生きて帰ると誓った 若年兵・西郷。

 冷徹になれなかったため 憲兵をクビになって、硫黄島へやって来た清水。

 旧来の軍人魂に染まって 革新的な栗林に反目し、玉砕を試みる 古参将校・伊藤。

 そして、ロサンゼルス・オリンピックの乗馬競技で 金メダルを獲得した、

 国際人である バロン西こと 西竹一。

(バロン西が 硫黄島に参戦していたとは 知りませんでした。)

 
 栗林は、死ぬことが誇りとされていた 戦局の中にあって、兵達に玉砕を禁じました。

 生きて 最後の最後まで闘い、一日でも長く島を守り、

 日本にいる家族を 一日でも長く守ることが 使命であると。

 下級兵への待遇を改善したりする 人間的で斬新な価値観の栗林に、

 西郷は感化され 希望を見いだします。

 しかし 新しく任命された栗林の考えは 隊の隅々までは浸透せず、

 無益な玉砕をする者もいたり、命令に背く兵も 出てきてしまいます。

 映画では、理想的な人物や 家族の愛情ばかりでなく、

 愚かな人間や 無残な現実も描きます。

 日米の どちらを悪役とするのでもなく、

 日本にもアメリカにも、いい人間もいるし 悪い人間もいるということを

 不偏に描いていきます。

 それが クリント=イーストウッドの 伝えたかったことでしょう。

 痛ましい悲劇ばかりを 強調しなくても、誠実な作品作りをすれば

 どんな描き方をしても、必ず戦争の無意味さや 悲惨さは伝わってきます。

(続く)
 
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