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(’84. 1/10)
「 孤独-- 本当の孤独を 味わったことのある 人間は少ない。
自分を 理解してくれる人がいない。
必要としてくれる人がいない。
愛してくれる人がいない。
一人もいない。
世界の全ての人間は、 自分を嫌っている人間か、 無関心の人間か、
二種類しかしない。
最も恐ろしいのは 憎まれることではない。
無視されることだ。
それは どんなに人間を 卑しくすることだろう。
就中、 最も理解してほしい人に 理解されないこと、
それは人をして 地獄の苦しみに落とし入れる。 」
( 「ジャン・クリストフ」 )
「 一般に 人は不幸を 本能的に嫌悪する。
あたかも 不幸が伝染しはすまいかと 恐れているかのようである。
かりに 一歩譲っても、 不幸は人に 嫌気を起こさせる。
人は 不幸から逃げだしてしまう。
苦しむのを許してやる者は きわめて少ない。
真に悲しめる者は 至って少ない。
悲しんでると言われるものは 多いけれど、
本当に 悲しみに沈んでる者は あまりない。
彼は そのまれな一人だった。
ある人間嫌いの男が 言ったように、
『 彼は虐待されるのを 喜んでいるかのようである。
こういう不幸な人間の 役を演じたとて 何の利益もない。
人から 忌み嫌われるばかりである。』 」
(次の記事に続く)