朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

放射線はどのくらいから危険か

2011-05-04 | 東日本大震災
放射線の健康被害について、巷には、テレビ報道、色々な新聞雑誌記事や、ネットくちこみ等が氾濫しています。内閣で任命された東大教授が辞任の涙記者会見なども報道されています。

人体実験で条件を色々変化させて検証することができない医学の分野では、過去の戦争での核爆撃、大気圏核実験、事故での疫学的(つまり統計的)知見から学説が定着あるいは対立しているようです。


引用:月刊誌文藝春秋2011年5月号(p.209)

ここに掲載された石川正純教授(北大大学院医学研究科)の発言は明確でわかりやすいと思います。

ポイントは、
1.積算で100ミリシーベルトまでは、健康被害は医学的に証明できない。(細胞自身の自己治癒力と、他の原因でのガンがあり識別が困難)
2.1,000ミリシーベルト浴びると(積算で)発ガン確率が5%上昇する。
3.これら二つのポイントを線で結ぶと、100ミリシーベルト毎に、発ガン確率が0.5%づつ増加。
4.人は必ずいつかは死ぬ。2人に1人はガンになり、3人に1人はガンで死ぬ。

番外:40歳以上は「安定ヨウ素剤」を甲状腺ガン予防として処方しない(=投薬リスクに見合う効果がない、年を取ると発ガンリスクは他の要因で増大している)。

水産生物に関する放射線リスクについて、水産庁研究指導課が公開しているスライドはここです:
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/pdf/110331_2suisan.pdf

そこからの引用スライドを抜粋で以下に記載します。

要点:かつて大きな健康被害をもたらした「水銀」や「PCB」とは異なり、放射性ヨウ素、同セシウムは、水産物の生体で蓄積しない。

詳しくは、上記URLから元の文献をご覧下さい。







※筆者注:この数値を見ると、セシウムも5~100倍には「濃縮」されている。だから、濃縮しないというのは正しくない。水銀やPCB、DDTよりは格段に低いが。



これらを見ると、水銀やPCBと違って、数十日以上たてば、ヨウ素やセシウムは魚貝で蓄積されないようです。この種の生物実験は比較的実施が容易なのでもし意図的にうそを報告してたら、すぐにばれて研究者の信用を落とすでしょうから多分信頼できる報告でしょう。


一方で、
asahi.com「水産庁、検査強化「魚の体内で濃縮せぬ」の見解再検討」2011年4月5日の報道があります。

”福島第一原発から約70キロ南にある茨城県北茨城市沖で採ったイカナゴ(コウナゴ)から高濃度の放射性ヨウ素が検出されたことを受け、水産庁は5日、水産物の放射性物質検査を強化することを決めた。茨城県のほか、千葉、神奈川両県と東京都で、品目を広げて5日から1日おきに調べる。”

この件について、水産庁の説明は「この魚は海中の浅いところを泳いでいるので、空中からの放射線物質落下の影響が強いのかもしれない」としています。

ある種の魚類やその器官に、まだ知られていない、放射能を蓄積する仕組みがあるかもしれません。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 黄砂、中国から。 | トップ | 端午の節句 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿