中国の習近平国家主席は年始に、1979年に中国が台湾に平和的な統一を呼びかけた「台湾同胞に告げる書」の発表から40年に合わせて、台湾政策に関する重要演説を行った。
習氏は、台湾統一に向けて「武力使用は放棄しない」と明言。中国共産党は立党100周年にあたる2021年までの台湾統一を目指していると指摘する識者もいる。
危機が迫る台湾のために、日本は何をすべきか。台湾民主基金会の現執行長と元副執行長に、台湾の実情と日本への期待について聞いた(本誌2018年3月号、12月号の記事再掲。肩書きなどは当時のもの)。
(続きは以下のURLより)
https://the-liberty.com/article.php?item_id=15301
台湾の民主化を成し遂げた李登輝・元総統の思想の本質に迫るドキュメンタリー映画「哲人王 〜李登輝対話篇〜」(監督:園田映人)が、海外で人気を博している。
3月にも本欄で紹介した同映画は、人生に絶望して自殺を図ろうとした日本の女子大生・山口まりあが、突然、李元総統の意識と同通し、対話しながら物語が展開していく「革新的トランス・ドキュメンタリー」。
現在、中国の侵略の危機にさらされている台湾。改めて、「台湾民主化の父」である李元総統の思想に思いを馳せることは、国際社会における「正義」を考える上でも意義深いと言える。
(続きは以下のURLより)
https://the-liberty.com/article.php?item_id=15140
台湾統一地方選挙結果を受けて
台湾独立建国聯盟日本本部委員長
王明理
台湾の統一地方選挙の結果に愕然、唖然とし、怒りを通り越して、深く失望している。
中国が台湾のこの選挙に深く介入していることはアメリカも指摘していたし、中国資本の多いマスコミの弊害も以前から言われてはいたが、台湾人が、中国との統一を目論む国民党を選ぶはずがないと心の中で油断していた。
恐らく、蔡英文総統をはじめとする民進党、そして、その支持者の中にも同様の油断があったと思われる。
なぜなら、台湾人が戒厳令下で自由を奪われ、弾圧されて生きていたのはついこの前のことで、解放されてからまだ30数年しか経っていないからだ。
戦後やってきた中国国民党によって数万人を超える台湾人が虐殺された。逮捕され、長期刑に処せられた人も数知れない。被害に遭わなかった人でも、家族や知人など身近にそうした例は多く、いつ自分の身にそのような不幸が降りかかるかと不安を覚えながら生きていた。その記憶はまだ薄れていない。
だから、やっと手に入れた自由と人権を、台湾人が易々と国民党の手に渡すはずがないと思っていた。
しかも、今や、国民党は以前かぶっていた化けの皮をかなぐり捨て、「中国との統一」を望んでいることを隠そうともしない。高雄の選挙戦でもそれは明らかであった。
今の中国と一緒になることは、何を意味するのか。それは、自由で民主的な社会を捨て、共産党の一党独裁の支配下に入ることである。
今、中国に支配されている諸民族がどれだけ苦しみ、その圧政、弾圧、人権侵害から逃れたいと願っているかを台湾人は知らないのか?
チベット人やウイグル人やモンゴル人や他の民の苦しみの声を聴いたことがないのか? 甘い言葉に騙されて、中国に「復帰」した後で、後悔している香港のことを知らないのか?
中国が囁く「経済連携」や「優遇」という言葉は、台湾侵略のための甘い罠であることはちょっと考えれば分かりそうなものだ。
「巧言令色少なし仁」とはまさに、そういうことが横行する中国で生まれた諺である。言葉巧みに台湾を手に入れようと目論む中国に、自ら跳びこむことを選ぶ人たちがいるとは全く信じがたい。利益追求は安定した確固たる国があってこそ求めるべきであり、国の尊厳と天秤にかけられるものではないはずだ。
今、台湾人が享受している平和で自由な空気は、天から降ってきたものではなく、多大な犠牲の上に手に入れたものだ。
かつての国民党の一党独裁体制から民主化に生まれ変わるために、台湾人がどれだけ努力し、忍耐し、尽力したか。李登輝さんという稀有な人材が副総統から総統になるという奇跡が無ければ、有り得ない革命だった。
台湾人は世界史にも燦然と輝く無血革命を成し遂げた民族であったはずだった。
未だ正式な独立国家とはなっていないが、苦悶の歴史からやっと脱却しつつある過程で、まさか自ら後退を選び苦しい過去へ逆走し始めるとは思わなかった。
蔡英文政権の執政のまずさがあろうとも、それは致命的ではなかった。経済は馬英九政権時代よりも上向き、失業率も低下し、国民党時代の不正義を正す難題にも手をつけていた。
とにかく、たとえ、どんな失政が仮にあろうとも、異民族の一党独裁体制に組み込まれたいなどと、まともな人なら思うはずがない、と私は考えていた。
私こそが平和ボケしていたのかもしれない。台湾人のなかに、かつての国民党支配下で培われた「強いもの、長いものに巻かれろ」という生き方や、「遠い将来のことより、目の前の安全と利益を大事にする」傾向がまだまだ根付いていたのかもしれない。
台湾独立運動の先輩達は、台湾人の性質や立場を理解しながらも、いや、そうであるからこそ、台湾人の自立のために、身を賭して理想の実現に取り組んできた。
その努力がなかったら、今の自由な社会は無かった。彼らの想いを無駄にしたくはない。しかし、今は、ただ溜息しか出てこない。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)11月26日(月曜日)弐
通巻第5903号 より
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
【本記事のポイント】
・台湾で人権活動家による国際会議「オスロ自由フォーラム」が開催へ
・台湾への圧力を強める中国に、世界の人権活動家が異議を唱えた形
・日本も「台湾関係法」の制定で独自の日台関係を築き、台湾を支援すべき
台湾・台北市で11月、米ニューヨークを拠点とする人権財団(Human Rights Foundation)が主催する「オスロ自由フォーラム」(OFF)が開催されることになった。
OFFとは、世界各国の人権活動家や民主活動家がスピーカーとして登壇する国際会議だ。天安門事件で両足を失った民主活動家、方政(ほう・せい)氏も同フォーラムで講演を行っている。2009年の発足以来、ノルウェーの首都オスロでフォーラムが開催されているが、アジアで開催されるのは初めてのこと。
(続きは以下のURLより)
https://the-liberty.com/article.php?item_id=14742
マレーシアの総選挙で勝利した野党連合トップのマハティール元首相が10日、首相に再び就任しました。現在、92歳のマハティール氏は、選挙で選ばれた指導者としては世界最高齢となります。
世の中には、90代になっても現役で働く人生の先輩たちがたくさんいます。90代で現役の成功者たちの人生から、その秘訣を学んでみましょう。
(本記事は2016年11月の本欄記事を再掲したものです)
(1) 96歳で現役の高級化粧品セールスレディ
高級化粧品「ポーラ」の横浜の店舗で美容部員を務める浜田ミヨさんは、96歳で月平均40万円を売り上げる稼ぎ頭です。
(続きは以下のURLより)
https://the-liberty.com/article.php?item_id=14442
《本記事のポイント》
・マレーシア総選挙が5月9日実施予定 60年ぶりの政権交代なるか
・ナジブ首相率いる与党連合と、マハティール元首相率いる野党連合の熾烈な争い
・中国にすり寄るナジブ氏と、中国を警戒するマハティール氏
マレーシアの選挙委員会は10日、総選挙を5月9日に実施すると発表した。同国では、ナジブ首相が率いる与党連合「国民戦線」が約60年にわたって政権を独占。選挙戦では、マハティール氏率いる野党連合「希望連盟」が、ナジブ氏らの「国民戦線」を追い上げる構図となっている。
(続きは以下のURLより)
https://the-liberty.com/article.php?item_id=14335
《本記事のポイント》
・安倍首相とドゥテルテ大統領が会談し、北朝鮮問題で連携を強化
・日本とフィリピンは、「黄金時代」を築くべき
・日本はアジアでリーダーシップを発揮すべき
安倍晋三首相は10月30日、首相官邸でフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。北朝鮮への圧力を強化することで合意し、今後5年間の経済協力に関する共同声明も発表した。
ドゥテルテ氏は会談冒頭で「フィリピンは日本とともに戦略的パートナーシップの黄金時代を築いていく用意がある」と、関係強化に強い意欲を示した(31日付産経新聞)。
(続きは以下のURLより)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13743
《本記事のポイント》
・台湾は独立国と発言した頼行政院長は、演説直前に李登輝元総統と面会。
・李登輝氏が語る指導者の第一条件は「信仰」。
・李氏は「天下為公」という信念を貫き、私心を捨てた。
台湾と中国の間では、台湾が「独立国家」であるか「中国の領土」であるかをめぐって、激しい舌戦が繰り広げられている。
このほど、新たに台湾の行政院長(首相に相当)に就任した頼清徳氏は、9月26日に立法院(国会に相当)で行った演説で、自身について「台湾の独立を支持する政治労働者だ」とした上で、台湾はすでに「中華民国」という名の独立国家であるため、独立を宣言する必要はないと表明した。
(続きは以下のURLより)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13591
台湾の蔡英文政権はこのほど、行政院長(首相)に頼清徳・台南市長を起用する人事を発表した。頼氏は、蔡氏よりも「台湾独立」への志向が高いと言われている。
蔡政権は対中関係に配慮して、「独立」論をひとまず封印していたが、ここへ来て独立派を起用したことが注目を集めている。
本誌2016年7月号では、この頼氏にインタビューを行い、台湾独立への意志と、日本への期待について聞いていた。本欄ではそのインタビュー内容を再掲する。
台南市長 頼 清徳(らい・せいとく)
1959年生まれ。国立台湾大学リハビリ医学部を卒業後、ハーバード大学で公共衛生修士号を取得。医師から政界に転身。96年から立法委員(国会議員)に4回当選。その後、台南市長に当選し、現在2期目。いずれは民進党の党首に就任する可能性が高いと言われている。
(続きは以下のURLより)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13478
《本記事のポイント》
・香港の元雨傘革命リーダー3人が実刑判決を受けた
・3人は今後5年間、選挙に出馬できなくなる
・香港こそ、中国の民主化の指南役を果たすべき
「彼ら(中国政府)は抗議の声を黙らせ、議会から私たちを追い出し、拘留することはできる。だが、香港人の心を勝ち取ることはできない」
香港民主化運動「雨傘革命」の元リーダー、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏がこのほど、違法な集会に参加した罪などで、禁固6カ月の実刑判決を受けた。黄氏は弱冠20歳でありながら、雨傘革命を率いた象徴的な人物。冒頭の一文は、判決直後にツイートしたものだ。
(続きは以下のURLより)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13397
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12858
《本記事のポイント》
- ミャンマーと中国が、石油パイプラインの輸送開始で合意。
- 背景には、ミャンマーの経済不振がある。
- 日本はASEAN諸国との経済・防衛面での連携強化を。
ミャンマーが中国に歩み寄っている。
ミャンマーのティン・チョー大統領はこのほど、中国・北京で習近平国家主席と会談し、パイプラインを用いた原油輸送開始などについて合意した。このパイプラインは、2015年に完成していたが、輸送開始の時期については、当時のテイン・セイン政権が政治的に棚上げしていた。
また、会談と同日、ミャンマー国家顧問府は、中国政府が5月に北京で開く「一帯一路」サミットに、アウン・サン・スー・チー国家顧問が出席することを明かした。
期待されていたスー・チー氏だったが……。
1950年代以降、ミャンマーは軍事政権の統治が続いてきたが、その間の最大の後ろ盾は中国共産党政権だった。しかし、2011年に大統領に指名されたテイン・セイン氏は中国の支援による水力発電所建設や今回稼働したパイプラインなど、エネルギー協力を棚上げ。逆に、欧米や日本などに市場を開放して投資を呼び込んだり、インドとの協力を模索したりした。
ただ、2015年の総選挙前に、スー・チー氏は訪中。スー・チー氏率いる国民民主同盟(NLD)が圧勝すると、16年の政権発足後、最初の外相会談の相手は中国の王毅外相だった。
スー・チー氏は「私たちは近隣国だけでなく、全ての国々と友好関係を築いていく方針です」(Radio Free Asiaより)と発表していた。だが、その後、中国からの経済支援のウエイトは増す一方だ。
中国は、「一帯一路」構想の実現に一歩近づいた
背景には、ミャンマー経済の低迷がある。
ミャンマー政府は内戦終結に向けた和平協議や、いまだに強い影響を及ぼしている軍部の対応に追われ、低迷する経済への対応が遅れている。国内では物価高騰、通貨下落などが相次ぎ、国民からの不満の声が噴出している。
世界銀行によれば、ミャンマーの経済成長率も2015年度の7.03%から、16年度は6.5%に落ちた。この背景として、夏の洪水の影響が指摘されているが、インフラ整備の遅れや輸出の低迷も否定できない。
また、スー・チー氏は中国との国境付近の少数民族武装勢力との和平を第一課題に掲げているが、国軍との戦闘が続く。沈静化のために、中国の支援を得たいという思惑もある。
こうした状況のミャンマーを、中国はうまく取り込もうとしているようだ。
今回、稼働が合意されたパイプラインは、ミャンマー西部の港と中国南部までを結んでいる。これにより、中国は陸路におけるエネルギー供給ルートを確保したことになる。領土問題で紛糾している南シナ海を通る従来の「海路」ではなく、「陸路」でも原油を運ぶことができるからだ。
中国が世界経済の中心的役割を担う、アジア、ヨーロッパ、アフリカ大陸にまたがる一大経済圏の構築を目指す「一帯一路」構想の実現に、一歩近づいたと言える。
「中国の考え方を全世界に広げたら、どうなるか」
「21世紀における中国最大の目標は、世界一の強国になることだ」
これは、中国軍事戦略研究の第一人者であるマイケル・ピルズベリー氏の著書『China 2049』の一節だ。中国がアメリカを凌ぐ世界大国になったらどうなるか。
大川隆法・幸福の科学総裁は著書『正義の法』で、中国について次のように述べている。
「『中国の考え方を全世界に広げたら、どうなるか』ということを考えたとき、『不幸になる国民や民族が非常に増える』ということが明らかに分かります。(中略)『あることを、ほかの人がまねしていき、それが広がっていったとき、より大きな善を生むか、生まないか』ということを想像することはできます。それによって『善か悪か』を判断することが大事なのです」
ミャンマーのように、経済的な事情で中国に歩み寄らざるを得ない国が増えることで、中国の覇権拡大が進んでしまう。アジアの平和を守るためにも、日本としてもASEAN諸国に対する経済面、防衛面における連携を強化するとともに、発展途上の各国の経済的自立を促す必要があるだろう。(智)
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2017年3月28日付本欄 香港当局、「雨傘革命」主導者らを起訴へ 支配を強める中国共産党http://the-liberty.com/article.php?item_id=12790
2017年3月20日付本欄 米中の対北政策のすれ違い鮮明に 米国務長官が日本の核武装「除外しない」http://the-liberty.com/article.php?item_id=12733
2017年2月7日付本欄 中国当局が獄中の人権活動家を拷問 人権の根拠は「人は神の子」という宗教観http://the-liberty.com/article.php?item_id=12562
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12806
《本記事のポイント》
- 台湾の与党・民進党の元職員が中国で拘束され、取り調べを受けていることが分かった。
- 拘束された台湾人は、中国の人権侵害問題や民主化について情報を発信していた。
- 中国当局が台湾人の人権を侵害する事態にならないよう国際社会による監視が必要。
中国に入国後、行方が分からなくなっていた台湾の男性が、中国政府に拘束され、取り調べを受けていることが、中国当局による会見で明らかになった。
拘束されたのは、台湾の与党・民進党の元職員の李明哲さん。19日にマカオから中国の広東省珠海市に入った後、連絡が途絶えていた。
李さんは中国の人権状況に関心を抱き、中国版LINE「微信」などを通じて中国大陸の人権問題や台湾の民主化に関する情報を長期にわたって発信していたほか、中国の知人に書籍を送るなどの活動を行っていた。
中国国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は29日の会見で、李さんは「国家の安全に危害を加える活動に従事した疑い」で取り調べを受けていると明かした。台湾の立法院(国会)内政委員会は中国側に対して、李さんの容疑の説明や家族への面会の許可などを求める臨時提案を決議した。
李さんの妻の浄瑜さんは29日、「夫の行為は文明国家の基準においては無罪だ」という声明を発表。31日に台北市内で行った記者会見では、「夫の苦痛を考えれば行動せざるをえない。政府は市民を見捨てないと信じている」と述べ、台湾の蔡英文政権に事態を打開するための対応を求めた。浄瑜さんは状況を把握するため、数日中に北京に向かうことも表明している。
台湾で議会を占拠した元学生らに無罪判決
台湾と中国は歴史的に、台湾の帰属問題で揉めている。中国は、台湾も領土の一つと考えており、台湾併合は建国以来の悲願でもある。しかし、2016年5月に台湾人の圧倒的な支持を得て発足した民進党の蔡政権は、親中派の国民党・馬英九前政権とは打って変わって、中国との統一を望まず、中国との関係を「現状維持」すると主張してきた。
台湾では、中国の政治的な圧力に反発する動きもみられる。3年前、中国との経済協力を深める貿易協定に対して学生たちが反発し、立法院を占拠した「ひまわり学生運動」が起きた。
この抗議活動で中心的な役割を果たした元学生など22人は、議会の占拠を呼びかけた罪などに問われていた。しかし台北地方裁判所は31日の判決で、「参加者は自発的に集まったもので、その訴えがもたらす利益と比べれば、損害は明らかに小さく、意見表明には正当な理由があった」などとして、全員に無罪を言い渡した。
共産主義の中国、民主主義の台湾
中国での拘束事件と、今回の台湾での判決を見比べてみると、中国と台湾の人権意識や政治体制は明らかに違うことが分かる。民主化に成功した台湾に住む人々にとって、中国への併合は「ありえない」と考えるのは当然のことだろう。
中国当局による台湾への政治的な圧力や人権侵害に対し、台湾人が泣き寝入りするような事態にならないためには、国際社会が中国の人権問題を監視し、必要な時には抗議する必要があるだろう。また、中国が軍事的な手段などを使って台湾の併合を強行しないよう、日米などが中心となって、中国をけん制することも必要だ。
(小林真由美)
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2016年11月8日付本欄 香港「独立派」議員が失職 中国による香港自治への介入http://the-liberty.com/article.php?item_id=12176
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12802
《本記事のポイント》
- 香港の活動家9人が起訴をされる見通し。
- 本誌でインタビューをした活動家もそこに含まれる。
- 国際世論が味方につくことで、現地の活動家にとって大きな力となる。
「雨傘革命」の活動家9人が、「公衆妨害罪」等の罪で起訴される見通しだ。本欄でも、本件は次期行政長官に親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏が当選したことと無関係ではないとし、中国が香港への支配を強めていることに対して警鐘を鳴らした( http://the-liberty.com/article.php?item_id=12790 )。
本誌インタビューに民主化への情熱を語る活動家たち
本誌2016年8月号記事「雨傘革命は終わっていない―香港・現地インタビュー」では、今回名前が挙がった活動家・戴耀廷(ベニー・タイ)氏を含め、香港の活動家数名にインタビューを行っている。記者は現地へ赴き、実際にその声を聞いた。
戴氏は雨傘革命の発端である金融街の占拠、「オキュパイ・セントラル(中環の占領)」を主導し、その後香港大学の法学部で教鞭をとっている。
戴氏は本誌インタビューに対し、香港から中国を変えていくという情熱を語った。
「中国から法学部の学生を受け入れて、彼らを教育することを通して影響を与えています。彼らは、民主主義は自分の人生の目的を実現させるものであることを学びます。これに対して、権力者の目的に資するものを押し付けるのが中国政府や親北京派です。学生たちにとってどちらがいいかは明らかです」
中国では雨傘革命以降、民主派の議員が誕生するなど、自由を求める人々の意識が実現してきた反面、銅鑼湾(どらわん)書店員の失踪、反中議員の議員資格はく奪、といった思想統制も強くなってきている。同書店は、中国の習近平国家主席を批判する書籍などを出版していた。
香港の自由が奪われる現状を、これ以上静観してはいられない。
戴氏同様、本誌のインタビューに応じた香港の民主系メディアの社長、楊懷康(ワイ・ホン・ユン)氏は、上記企画で次のように述べた。
「国際世論な香港の未来をきめる面もありますので、香港の現状を海外で報道して頂けることがありがたいです。ただ、最終的な結果は香港での我々の戦いが決めることになるでしょう。しかも、その戦いは未来を担う若者が中心になって成し遂げられるものだと信じています」
今、「自由の革命」が起きている
香港での戦いは、暴力的な意味での革命ではなく、人間がこの世に生まれて幸福を実現するうえでかかせない「自由の創設」のための戦いである。
戴氏は取材を通して、2014年の雨傘革命が、単に民衆の不満ではなく、理想を求める情熱と、高い認識力によって起きたものであると語った。また、困難な状況に陥った時、それを打開するような奇跡が起きて、何かに守られているという感覚を受けたとも話してくれた。
記者自身、民主化を求める彼らの「国際社会の賛同が力になる」という言葉を耳にした者として、私たち一人ひとりの応援が香港の希望となるということを実感している。理想のために戦う彼らの無事と、革命の成就を心から祈りたい。(祐)
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2017年3月26日付本欄 「進撃の巨人」は"実話"だった!? 選挙を奪われる香港人がそう感じる理由http://the-liberty.com/article.php?item_id=12782
2016年8月号 雨傘革命は終わっていない - 香港・現地インタビューhttp://the-liberty.com/article.php?item_id=11512
2016年6月号 香港の10年後は自由か? 映画「十年」で描かれる中国支配の足音http://the-liberty.com/article.php?item_id=11226
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12790
《本記事のポイント》
- 香港当局は、雨傘革命を主導したリーダーらを起訴する方針
- 起訴は"親中派"行政長官の誕生と関係?
- 香港への支配を強める共産党政府に対して、日本も異議を唱えるべき
香港当局が、2014年の大規模デモ「雨傘革命」を主導したリーダーたちの、少なくとも9人を起訴する考えであることが27日、警察当局より連絡を受けたリーダーらの発信によって明らかになった。
罪状は、雨傘革命の際に幹線道路を占拠するなどして、市民生活を妨げたとする「公衆妨害」容疑で、最高刑は禁固7年。9人は、デモを提唱した戴耀廷・香港大准教授ら3人と元学生リーダー、民主派の議員などだ。
当局の圧力に対し、民主化運動のリーダーたちは、「我々は雨傘運動に参加できたことを誇りに思う」「抑圧されればされるほど、それだけ大きくリバウンドする」などと語り、今後も民主化運動を継続する意思を示した。
香港への支配を強める中国共産党政府
2年以上も前の出来事をもとにした突然の起訴は、不可解そのもの。この動きをいぶかしがるのも当然であるが、これは親中派の林鄭月娥 (キャリー・ラム) 氏が、26日に行政長官に当選したことと無関係ではないだろう。
というのも、林鄭氏は雨傘革命のデモ隊に対して強硬姿勢を示す、「北京の代弁者」と評される人物。民主運動家の反発は必至であった。
また、選挙1週間前に行われた市民6万人以上による模擬投票では、穏健派の曽俊華・前財政長官への支持が90%を上回り、林鄭氏への支持はわずか1.5%だった。香港大学の世論調査でも、曽氏の支持率が56%なのに対し、林鄭氏は30%ほどであったという。
つまり、民意とかけ離れていた人物が行政のトップに誕生していたことで、雨傘革命のようなデモが再び起きる可能性が浮上していた。そこで当局は、民主化運動を封じるために、起訴に踏み切る考えを示したと見られる。
民意に反する選挙は、行政長官が市民の「直接投票」ではなく、親中派が多数を占める「選挙委員会」の投票で決定されるという「間接選挙」に起因する。香港メディアによれば、選挙委員会のメンバーは、中国共産党の政治家から事前に林鄭氏への投票を求められていたという。
あらゆる手段を用いて"反乱分子"を排除しようとする中国共産党に対して、香港の民主運動家たちは戦い続ける意思を示した。信条の自由や表現の自由などを認めず、政府の支配下に置かれている市民が隣国にいるという事実を、まず日本国民一人ひとりは認識する必要があるだろう。さらに、そうした活動家を支援し、中国共産党政府の横暴をとどめることも、民主主義国家・日本の使命といえよう。
(片岡眞有子)
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2016年11月8日付本欄 香港「独立派」議員が失職 中国による香港自治への介入http://the-liberty.com/article.php?item_id=12176
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12782
《本記事のポイント》
- 「進撃の巨人」アニメのシーズン2が始まる。
- 26日に行政長官選挙が行われた香港では、自由が奪われていく。
- 香港の人々は「進撃の巨人」の設定に自分たちを重ね合わせている。
「100年前、人類は巨人の出現により滅亡しかけた。
しかし、三重の巨大な壁を築くことで、辛うじて生きのびることができた。それから人類は巨人の脅威を忘れ、つかの間の平和を楽しんでいた。
しかしある日、巨人が突如として壁を破って現れた。そして人類は思い出した。自分たちが鳥篭の中で支配されていただけだったということを……」
この不思議な設定の中で、人間と巨人の攻防を描いた漫画「進撃の巨人」。2009年に少年マガジンで漫画の連載が始まって以来、驚異的なヒットを記録した。アニメ化や実写映画化もされ、4月1日からは、テレビアニメのシーズン2が全局で放送開始される。
この設定が、香港人にとってどうしても他人ごとには見えないという――。
香港の「壁」に守られた歴史
もともと香港はイギリスの植民地だった。占領下とはいえ、共産党支配からは逃れ、自由な経済活動ができたため、一定の繁栄を享受していた。しかし1997年、香港は中国に返還された。それまで中国共産党から守ってくれたイギリスという最初の「壁」を失った出来事となった。
それでも香港は、中国から「50年間は香港で社会主義政策を実施しない」という約束(一国二制度)」を取り付け、2047年までは「つかの間の自由」を享受できることとなった。
しかし、まだ約30年の猶予があるにも関わらず、香港の「自由の壁」は急速に破られつつある。
例えば2012年、香港政府は中国からの圧力で、共産党寄りの歴史を記載する「愛国教育」の教科書を使うという決定をした。これに対して多くの香港人が反発し、抗議のための学生運動が行われた。
2016年には、習近平国家主席に対して批判的な本を扱った香港の銅鑼湾書店の店員が失踪するなど、言論や出版の自由まで奪われつつある。
今月26日には、香港トップの行政長官を選ぶ選挙が行われ、前の香港政府のナンバー2の林鄭月娥氏が当選した。彼女は、中国政府の支持を得た政治家だ。
行政長官選挙は、議員や各業界の代表者からなる「選挙委員会(定数1200)」の中で行われる。しかし、その委員会の多くが親中派で固められていたため、香港の人々からは「民主的な選挙ではない」と批判されていた。
こうした選挙制度を中国政府が決定した際も、民主的な選挙を求める香港の人々による大規模な民主化デモが行われた。それが、2014年の「雨傘革命」だった。
中国を「巨人」に見立てる香港人
中国に自由の「壁」を破られ、「鳥篭の中で、つかの間の自由を享受していたに過ぎない」ことに、向き合わざるを得なくなっている――。香港の人々は、そんな境遇を、「進撃の巨人」の登場人物たちに重ね合わせている。
同作品が共感を呼び、香港でも熱狂的な人気を誇ったのは言うまでもない。さらに香港の政治家や活動家も、進撃の巨人の「巨人」を中国共産党に見立てたパロディ動画を作成し党指導部を猛批判。また、2013年のデモでは、進撃の巨人パロディ看板「進撃の共産党」が登場し、話題となった。
「進撃の巨人」ヒットを警戒した中国政府
香港をはじめとする中華圏での「進撃の巨人」の大ヒットを受け、中国も警戒心を強めている。
2015年の上海国際映画祭では、「劇場版・進撃の巨人」が上映予定だったが、急きょ、上映中止になった。理由は「同作が暴力やテロ行為を助長する」とのことだったが、それだけではないだろう。
中国では、体制維持に悪影響がありそうな内容の映画に対しては、情報統制を敷く傾向がある。過去にも、大ヒット映画「アバター」が中国で上映禁止になった。映画の中に出てくる侵略者たちの姿を国民が見て、「これは中国の政府のことか」と思われることを避けたかったという見方もある。
中国が嫌うほど、「進撃の巨人」の設定には、リアリティがある。アニメのシーズン2を見る人たちには、そのことを頭のどこかに置いて欲しい。
(小林真由美)
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