5月9日韓国では大統領選挙が行われ、文在寅(ムン・ジェイン)氏が新大統領に選ばれました。トランプ大統領はこの文在寅氏についてまだツィートで何も発言していません。しかし、トランプさんの過去のツィートを見てみると、トランプさんが韓国についてどういう見方を持っているかそのヒントになるようなものがあります。
実は4年前のツィートなんですがトランプさんが大統領選挙にまだ出る前です。アメリカが韓国の安全保障を担っていることについてこんなツィートをしています。「韓国は何らかの形で、アメリカが韓国の支援をしていることについて、お金を支払うべきだ。そしてアメリカはいつまでもこのバカげた状況を続けるのを止めるべきだ。」こういう事を言っています。
このアメリカが韓国の安全保障ために多額のお金を使っているということに対して、反対すると言うトランプさんの姿勢は今も変わりありません。いつ最近韓国はアメリカからTHAADミサイル防衛システムの配備を行いました。問題はこのコストをだれが払うかです。これについてトランプ大統領は当然それは韓国が払うべきだという風に言いました。しかし丁度韓国の大統領選挙をやっている時期で、THAADのコストを韓国が押し付けられることになると、米韓関係が悪化して大統領選挙で左翼政権に行ってしまう確率が高くなるので、ホワイトハウスは急いでトランプ大統領の発言を修正しました。それでもトランプさんはその後、いやいややっぱりTHAADは韓国に“もたせろ”という風に言っていたんです。
では、この文在寅氏というのはどういう人でしょう。
元々人権派の弁護士、そこから韓国の野党である「ともに民主党」のリーダーになっていました。
文在寅氏の師匠に当たる人先輩にあたる人が、かつての韓国大統領で左翼政権を作っていた盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏です。盧武鉉さんも弁護士出身。この盧武鉉と文在寅は同じ弁護士事務所だったんです。だから非常に親しい濃い関係でした。盧武鉉が大統領になった時に文在寅は盧武鉉の右腕として大統領補佐官をやってました。その時に米韓関係は一番悪化したんですね。その後韓国は保守政権になって、過去9年間は保守政権が続いていましたが、その後出てきたのが盧武鉉の後継者であった文在寅だったんです。
では文在寅氏はアメリカに対してどう出てくるでしょうか、日本の報道見ていると文在寅氏というのは反米である反米一色という風に見られるんですが、韓国の報道やアメリカの文在寅氏についての報道を見ていると必ずしもそうではありません。文在寅氏は自分自身の事を私はアメリカの友人であると称しています。文在寅氏自身が大統領選挙の時に出していた政策の第一は国防政策、それもアメリカと韓国との防衛関係、米韓関係こそ韓国の国防の最重要項目であるというふうに保守のようなことを言っていたんです。ただ、ここで注意しなければいけないのは文在寅氏がアメリカに対して求めている事として、米韓合同軍の指揮権、統帥権を韓国に戻してほしいということを言っています。これは何故かというと、アメリカと韓国の間は事実上米韓合同軍によって北朝鮮に対抗しています。米韓合同軍の指揮権はどちらにあるかというと未だにアメリカにあります。過去の韓国の大統領はこれをアメリカに預けたままにしていました。ただ一度だけこの統帥権を韓国に戻してくださいと言ったのが盧武鉉政権だったんです。そして今回文在寅氏は盧武鉉と同じように統帥権を韓国に戻せということを主張しようとしています。いったいこれは何を意味しているか文在寅が狙っている事、それは、南北の朝鮮半島の統一です。南北統一するために一番邪魔なのは韓国にいる米軍です。この米軍をうまく外さなければいけません。そのための第一歩がこの統帥権を韓国に戻すということ、そして徐々に米軍を韓国から外していって同時に北朝鮮と対話によって何らかの形で南北を統一する。それが文在寅が狙っている本当の事だと思います。ただそのためにはアメリカとの間で様々な問題を抱えています。
先ほどのTHAADのコストの問題どちらがとるかこれも大きな問題です。もともと文在寅はTHAADに反対だと言っていました。しかしその後大統領選挙の中で「いや、THAADに賛成する」という振りをしています。文在寅さんはアメリカ特にトランプ政権とうまくやりながら実際はこのコストをトランプに払わせるという方向を狙っているんだと思われます。
それよりも大きな問題は、開城(ケソン)工業団地の再開です。北朝鮮と韓国の間には開城工業団地という、ジョイントベンチャーがあります。これは事実上韓国の資金を開城工業団地を通して北朝鮮に流していくそれによって北朝鮮を開放経済に導いていくと言うのが韓国のもともとの狙いだったんですが、これは失敗しました。実際にはお金だけ取られて北朝鮮は何も変わらなかったわけですが、その後、開城工業団地は閉鎖されています。この再開を文在寅氏は言っています。ただこの開城工業団地の再開は国連の安保理決議の違反ということに当たります。国連は安保理の決議として北朝鮮の経済制裁、特にその中で北朝鮮に資金が流れたり、合弁会社をしたり、こういう事を一切禁止しています。この違反になってしまうんですね。
果たしてその中で文在寅氏は思い通り北朝鮮への経済支援というものを行うことが出来るでしょうか。客観的に見ると文在寅氏が北朝鮮を助けるためにできることは、ほぼ何もないように見えます。しかしこの人は何らかの形で南北統一へ向けていろいろな手を尽くしていくでしょう。
もしそんなことが実現してしまったら、この文在寅政権において南北統一が起きてしまったら、統一された朝鮮半島は日本にとって最大の脅威になってしまいます。
私は今年の一月に韓国へ行って、韓国の保守派の方々とお会いしました。韓国には心ある保守派の方が実は沢山いるんです。その方々が今回の大統領選挙でなんとか文在寅が大統領になるのを阻止しようとして運動していました。しかしそれは失敗して文在寅さん勝ってしまいました。これから5年間韓国では文在寅政権とこの保守派との戦いが始まります。私はこの韓国の保守派に期待します。なぜならば、彼らは言っています。「従軍慰安婦問題、あれは韓国の左翼と北朝鮮がでっち上げた嘘なんだ」と、彼らは決して反日なんかではなかったんです。韓国の保守派に期待します。