鈴木宗男氏が、過去に政府の一員として関わった「身代金の支払いによる人質解放に成功した事実」を述べていた。
彼は、真実を公表することによって何を得ようと考えたのだろうか。一般的に交渉・折衝の裏事情、経緯が明らかになると、交渉相手の信頼を損ない、爾後の対応に支障をきたすものである。まして、今回の事象はテロ犯人とは交渉しない、身代金の支払いには応じないという国策に水を差す結果となるものであり、テロ犯に誤ったシグナルを送るとともに同盟国の信頼を失う結果となることも予想される。政治の中枢にあって国策の遂行に関与した人間には、墓場まで持っていかなければならない秘密を当然持つことであろう。代議士の失職も、むべなるかなと思える失態、否、品性と知性の欠如、苦労して代議士となった氏にいささかの共感と敬意を抱いていた自分としては、まったく情けない出来事である。9.11時に、米政府の所在を漏らした田中真紀子外務大臣(当時)の例を待つまでもなく、重要な位置にいる人物は「経験と情報の披瀝が国威を貶める」ことを自覚して欲しいものである。
こうしてみると、罰則を伴う秘密保護法は絶対に必要であると考える。