国(沖縄防衛施設局)は12月14日以降、辺野古埋め立ての土砂投入を開始すると発表した。
当初、国は土砂運搬船への土砂積み込み作業を県北の本部港を使用する計画であったが、港湾管理者である本部町長が使用申請を受理しない状態が続いていたために、港湾管理者の権限が及ばない地区にある民間桟橋(琉球セメント所有)を使用して作業をするとしている。しかしながら、沖縄県知事は、同桟橋での土砂積み込みは県の規則に定める目的外使用に当たるとして琉球セメントに対して作業の即時停止を命令する等反発している。あまり知られていないことであるが、港は、港湾法で国際海上貨物輸送網の拠点となる「国際拠点港湾」、国の利害に重大な関係を有する「重要港湾」、前2項以外の「地方港湾」に分類されており、それぞれに港湾管理者(通常、地方港湾は市町村長)が置かれている。また、漁港や民間企業が開発・所有する港は港湾法や港湾管理者の監督を受けないとされている。港湾管理者は、港湾の整備・維持管理を行うとともに、公営の埠頭・桟橋・港域使用の許可権限を持っているため、かっては港湾管理者の意向(政党色)によって自衛艦の寄港を拒否する港湾が多数存在した。そのような港を利用せざるを得ない場合には、港域(港の範囲:港湾管理者の権限内)外に投錨して、交通艇の離発着には漁協の荷揚げ場を利用することが多かった。今回の土砂積み込みも同じような展開で”十年ひと昔””昭和の遺物”との感想を持つものである。20年前の現役時代には最も入港許可が貰えない港の代表格は函館港であったが、近年米海軍艦船の寄港が相次いでいるらしい。これは日米地位協定で米軍艦艇の親善目的の入港を港湾管理者は拒否できないこととされていることに基づいており、共同訓練に従事した日米艦艇が同じ港で休息できない喜劇を複数回経験したものである。
辺野古工事に話を戻せば、来年2月に辺野古移設の賛否を問う県民投票が行われ結果は賛否が拮抗したものになると予想されるが、それ以前にも桟橋の使用を許可した琉球セメントに対して有形無形の抗議や妨害活動が予想される。狭いコミュニティでの確執が興らないことを願うとともに、先月に自分が経験した「9条の会」の署名活動による思想の色分け(踏み絵)のような行動が行われないことを祈るのみである。