もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ソフトバンクの大規模障害に思う

2018年12月07日 | 社会・政治問題

 ソフトバンクの携帯電話サービスがだ御規模な通信障害を起こした。

 障害は4000万台以上の加入者の音声通話やデータ通信が4時間以上も繋がらないという大規模なもので、障害の原因については発表されていないが日本を含む11か国で同様の障害が起こっていることから、制御ソフトに起因するとの見方が取り沙汰されている。通信障害による混乱は相当なもので、あるコメンテーターは経済損失を5000億円に及ぶと述べていた。被害に遭った人は公衆電話に殺到したが、既にテレホンカードなど持っている人は皆無で、初めて公衆電話を掛けた人もいたそうである。電話ボックスの前に行列ができる光景は、まだ固定電話を引いていない家庭が大半であった時代には見慣れたものであったが、携帯電話の波に押されて公衆電話は見つけることさえ困難な現状を考えれば、当然の顛末であろう。4時間とは言え、携帯の便利さを失うとともに呪縛からも解き放された若者の感想を聞きたいものである。この様な通信障害が社会を不安に陥れるとともに、各種の実害を生むことは従来から指摘されており、サイバーテロの初歩的な手法でもある。櫻田サイバーセキュリティ担当大臣に負けず劣らずのサイバー負け組として言えば、原因が悪意によるものでなかったことは幸いで、携帯端末全盛風潮への警鐘として時宜を得た事故であったと嘯きたい。12月1日にカナダで華為技術(ファーウェイ)副社長が逮捕され、罪状は対イラン制裁違反としてアメリカが逮捕を要求していたものとされている。かねてから、アメリカは華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品は、中国が知的財産を窃取するツールであると主張して、自国での使用禁止はもとより同盟国の政府機関も両社の製品を使用しないよう求めており、オーストラリア・ニュージランド・EUは既に両社の締め出しを決定、遅ればせながら日本も政府機関の調達見直しに着手している。真偽は不明なままであるが、WinndowsのOSを使用するPCのデータや通信はアメリカに筒抜けであり、テロ等に関する指定キーワードを複数回使用すればアメリカ情報機関の監視対象になると噂されていたものである。かっては「像の檻」と称される巨大なアンテナ施設で行われていた通信傍受も、通信手段の多様化と進歩に伴って通信衛星等に主役の座を譲り、更には中国2社に代表されるように、通信機器自体から直接窃取する方法に進化している。

 今回のソフトバンクの通信障害の教訓は、電気通信インフラは思いのほか脆弱であることと、通信やデータは完全に秘匿できるものではないことを理解するとともに、代替手段を考えておくということではないだろうか。人間万事塞翁が馬、次回の障害やサイバーテロへの教訓としよう。