もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

札幌爆発事故と「爆音」に思う

2018年12月17日 | 軍事

 昨夕(12.16)札幌で大規模な爆発事故が発生した。

 現時点では爆発原因等の詳報は無いが、40名以上の負傷者が出ているものの幸いにして死者は報じられていない。事故に遭遇した人に心からお悔やみを申し上げるが、今回の所感は事故に直接関係することではなく、事故の速報に当たったリポーターが爆発音を伝えるために「爆音」という言葉を使用したことに対する違和感である。これまでの経験で「爆音」は、軍歌や軍記物で飛行機のエンジン音を指すことが多く、近年でも暴走族の立てるけたたましいバイク音を表現するために使用される程度であった。爆音の表現に対して最初に「ん?」と思ったのは、湾岸戦争でバグダット攻撃のミサイル発射時の轟音を「爆音」と表現した現地リポーターの映像を見た時である。それに昨日のリポートである。「爆音」とは?とgoogle辞書で調べてみたら、「爆音」1/ 火薬などの爆発する際の音響。爆発音。2/ 内燃機関で、混合気の爆発・排気の際に発する音。特に、飛行機・オートバイのエンジンの音。3/ 俗に、非常に大きな音。とされていた。googleだから日本語の知識に乏しい外国人の用法だろうと思ったが、google辞書は大辞林をベースにしているようである。となれば、爆発音やミサイル発射の轟音を「爆音」と表現することは間違いではなく、自分の感じた違和感が誤っていたことになり、知識の浅薄さを気付かされるとともに、これまで間違った理解・用法で生きていたことになる。かって自衛艦での自分の配置は機関室であったため「爆音」の中で勤務していたことになるが、周囲の環境を「爆音下」とは考えたことはなく、エンジン音は騒音であり排気音であった。これからも爆発音等の大音響に対して「爆音」という表現が使用される報道を我慢しなければならないのだろうが、響きや過去の使用例から自分が持っている固定観念から抜け出すことは中々に難しいのではなかろうかと思っている。

 ついでに、戦争ドラマや外国映画の吹き替えに使用される「艦長」のイントネーションにも一言。そこでは「かんちょう」は「か」にイントネーションを置いて発音されることが殆どであるが、「かんちょう」はイントネーショが無いフラットに発音されるもので、現在の自衛隊でもそのように発音されている。言葉は生きていると云われ日々変化するために、既に若者や女子高生言葉を理解できないようになっているが、アト10年でよいので、「爆音」の用法変化程度の我慢で生活できればと思うものである。