先日、韓国で約1100人の徴用工が韓国政府に対して補償を要求する訴訟が出されたことがあった。
報道を読んだとき、自分は「韓国内にも日韓合意の正当性を認識する法曹界と原告が存在する」と安心していたが、本日付産経新聞の正論欄で、西岡力氏(モラロジー研究所教授)の主張を読んで、自分の認識が間違いであることを知った。韓国政府の委員会(対日抗争期動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会)が、戦時に内地(日本国内)で韓国人労働者を徴用(雇用)したとする企業として1257社を認定したが、現存企業は約300社であるために、補償を求める企業が消滅した者が止む無く韓国政府に補償を求めたとするのが真相らしい。自分の頭を整理するために、現在も存続している企業に対する訴訟を「A」群とし、韓国政府に対して補償を求める訴訟を「B」群としたものである。さらに訴訟を主導する「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」の真意・目標は、日本企業と韓国政府の両方から補償を勝ち取り、補償金を以て基金を設立して訴訟の対象を失っている遺族等にも分配しようとすることを目指しているそうである。韓国を含めて日本全体が貧しく、家族のために苦界に身を沈めることなど珍しくなかった時代、より良い生活を求めて内地企業の求人募集に応じて運良く採用されたが現在は徴用されたと主張する労働者の全てが、当時は周囲からは羨望の対象であったことは想像に難くない。朝鮮人と中国人の傲慢な個人主張に嫌悪感を感じる自分を顧みれば、戦時の朝鮮人に対しても何等かの迫害・蔑視・差別はあったであろうが、異文化の下で生活する以上は覚悟して来日(正しくは国内移動または渡航であるが)したものと思う。ホンジュラス発のキャラバンのように無法に越境してでも、より良い生活を実現しようと経済難民化する者が引きも切らない現状に、更に暗かった時代背景を加味すれば、徴用工と称する人々が現在の倫理観を盾に、かつ虚偽の根拠から主張することに限りない違和感を感じるものである。
西岡教授は、かねてから「徴用工」という言葉を使用することに反対され「朝鮮人戦時労働者」と呼称すべきことを提唱されている。政府の統一見解では「旧朝鮮半島労働者」との表現を使用している。日本側の企業や研究者の間では、壮丁の出征に基づく労働力確保のために国家総動員法に基づいて朝鮮半島でも労務動員を行ったが、内地企業への動員は無く、殆んどは自由意志による渡航であったことが立証・確認されている。自分も”キーボード操作が増えるなァ”と感じているが、安易に徴用工という言葉を使用しないことにしようと思う。