北海道や兵庫県以北の日本海で発見された漂着船が今年になって180隻に達したことが報じられた。
折に触れて報じられる漂着船情報では、船体にハングル文字が書かれている場合が多いことから殆んどは北朝鮮籍と思われる。漂着に至った原因は、出漁後に悪天候に遭遇した結果の遭難であろうか、機関の故障による漂流の結果であろうか判然としないが、漂着船内に遺体が発見されることが少ないことから不要漁船の意図的な不法投棄や潜入工作員が乗り捨てた可能性も捨てきれない。漂着船の曳航・引上げ費用を含んで漂着船1隻当たり数十万円がかかるとされ負担を強いられる自治体は対策費用の捻出にも苦慮しているらしい。日本も軍事偵察衛星を含む多くの監視衛星を保有することを考えれば、偵察写真の解析から漂着のプロセスは把握できるのでなかろうかと推測するが、その辺の情報は公表されない。偵察・監視衛星の運用や性能が明らかになることを考慮しての情報管理であろうが、北朝鮮に対する漂着船処分費用の請求等に活用すべきではないだろうか。北の首領様や将軍様が”何をしようとしているか見てますよ”というメッセージを小出しにすることも軍事行動抑止に繋がると考える。海保や自衛隊は漂流船を把握・無人であることを確認して、しかる後に航路警報として配信しているものと思いたいが、そうであれば、もっと漂流船の情報を広報して世論の喚起を図るべきであると思うのだが、もし、排他的経済水域から領海線に近づき最終的に領海線を越えて海岸に漂着するまで気付かなかったというのであれば、領海と接続海域の監視が行われていないことであり、このことの方を注視すべきと思う。更には、180隻の漂着が北朝鮮の不法投棄でない場合、乗組員はどうなったのだろうかというのも疑問である。1隻当たり3名が乗っていたとしても500名近い人間が行方不明である計算となる、漂着船の数に比し公表された漂着遺体は1/3程度であることから、少なからぬ人間が日本国内に潜入したことも予想される。また近年、北朝鮮の短波放送で流される乱数が増えたとも伝えられている。
自分を含めて世論は、米北首脳会談や韓国の対北政策の変貌に耳目をそばだてがちであるが、日本海での水際防御にも注目する必要があると思う。日本海と尖閣水域は、将に”今そこにある危機”かもしれない。