麻生財務大臣に対する蓮舫議員の反論ツイートが報じられた。
経緯は、中国ウィルス禍で強制措置を採らない日本の死者が欧米に比して少なかったことに対する外国要人の質問に、麻生大臣が「国民の民度が違う」と答えたことに対して、蓮舫議員が「貴方はどれほど偉いのですか、麻生大臣」とツイートしたものである。中国ウィルスを封じ込め得たことを、共産党政体の勝利とする中国、対処法を韓国モデルとして喧伝する韓国、いずれも政権の功績とするものであるのに対して、麻生大臣の発言は政府の功績ではなく国民の自制努力であるとするもので、余程控えめなものに感じられる。蓮舫議員を含めた国民の自制心に対する賛辞に対して発言者を攻撃・誹謗するのは的外れで、理論としても喧嘩としても成立しないように思える。閑話休題。占領地等の民心安定を目的とした「宣撫」という言葉がある。宣撫は、治安回復の行動や、進駐の正当性宣伝、占領地の旧弊(悪政)除去などが主なもので、日本も戦中の満州や東南アジアで広く行い、毛沢東共産党が長征の過程で大きく勢力を伸ばしたことも宣撫の成功とされる。アメリカが日本の占領政策として、押し付け憲法、農地改革、財閥解体、教育改革を行ったのも宣撫と思っているし、現在の中国が行っている、ODAによる債務漬け・一帯一路構想・孔子学院なども中国共産党の正当性や力を誇示するための宣撫に位置付けるものであると考える。蓮舫議員のツイートの真意は、大臣への個人攻撃を目的としたものでは無く”自由主義社会には成熟した民度は存在しない”というものであろうと推測する。蓮舫議員が「民度を高めるには、社会主義に基づく大きな政府に依る統制が不可欠」と考えているとすれば、嫌米親中の姿勢も納得できるし、枝野代表が大きな政府容認に転舵したこととも符合する。いまさら、蓮舫議員の出自や国籍問題に触れるのはどうかと思うが、国民の民度まで否定するようなツイートを見る限り、「日本とは別の宗主国をお持ちなのでは?」と思えるものである。
長征の過程では、殆どの住民が文盲であった農村地帯では歌舞音曲による共産党宣伝が有効であったとされているが、当時の歌舞音曲は現在のSNSに例えることができるかもしれない。SNSでは、発信者の発言が手元の端末に直接届くため、受け手は恰も発信者と1対1の会話をしていると錯覚させる効果を持つものと思う。「貴方はどれほど偉いのですか、麻生大臣」とのツイートを見た受け手は、麻生大臣が偉ぶった・尊大な発言をしたために蓮舫議員が叱っているのだろうと勝手に解釈し、蓮舫議員に共感してしまう。人寄せパンダを利用して人心を導くことの有効性を知っているからこそ、立憲民主党は国民投票法改正審議でのCM規制に拘っているのではないだろうか。等と深読みして口説終了。