リニア中央新幹線の開業が遅れる見通しとなった。
開業遅れの原因は、静岡県知事が静岡工区における準備工事着工を拒否したことである。拒否の理由は、甲府~飯田間の南アルプストンネル掘削によって生じる(恐れがある?)大井川の水量減少対策に対する国交省の専門家会議の結論が出されていないとするものであるらしい。JR東海のリニア中央新幹線構想が認可されたのは、品川~名古屋(40分)・大阪(67分)という移動時間短縮の効果もさることながら、世界の高速鉄道整備事業に参画するための実績を示すことと、東海地震対処の意味合いも大きいとされている。震災対処については、国道1号線・東海道線・東名高速が静岡県の富士川付近で交差しているために東海地震や局部的な大規模災害でも静岡県を境として陸路が東西に分断される危険性が指摘されており、その際の代替交通手段確保がリニア中央新幹線には求められている。こうなってくると、下駄を預けられた国交省の専門家会議の委員諸氏の責任は益々増大することになるが、原発適地選定の過程では明らかでなかった活断層が原発稼働後に発見された例に見られるように、誰も実際には見たことが無い深部の地層や水脈を予測することはなかなかに困難であろうと同情を禁じ得ない。静岡県知事の危惧するように大井川の水量が減少した場合には、流域の水利や生態系の影響も大きく一部の住人にとっては死活問題となるであろうことから、国と地域がWin/Winとなれる結論であって欲しいと願うところである。開業が遅れることから、既に関連のインフラ整備に着手している自治体や企業も少なからぬ痛手を受けることもあって、今回の静岡県知事の主張には、静岡県内に停車駅が設けられないことに対する不満が込められているとの裏読み報道もあるが、サテ?。当初計画ではリニア中央新幹線は令和9年に品川~名古屋間が先行開業するとされていたので、運が良ければ乗れるかな?と淡い期待を持っていたが、本日をもってキッパリ諦めることとした。
世界一の処理能力を持つスパコン「富岳」が、既存薬2000種のなかから中国コロナに効能が期待される数十種類以上を見つけ出したと報じられた。前身の「京」では10年以上かかる作業を10日間で終えたらしいが、前述した南アルプストンネル掘削によって生じる環境変化も、短時間で「富岳」が解答してくれるかも知れない。