本日、Go Toトラベルキャンペーンが発動された。
グランドデザインの不備、周知の不徹底等が叫ばれるとともに中国コロナ感染第2波が確実に進行している現状から、「トラブルキャンペーン」の船出であるように思う。Go Toキャンペーンは4月に成立した2020年度補正予算に盛り込まれていたもので、キャンペーンは、国交省(観光庁)所管で国内旅行の費用を補助する「Go To トラベル」、農水省が所管して飲食業の再生を支援する「Go To イート」、経産省がイベントなどのチケット代を補助するの「Go Toイベント」、商店街振興の「Go To商店街」(地域振興を助成)で構成されているが、トラベルキャンペーンに続く各キャンペーンには今回のような齟齬を来たさないようにして欲しいものである。公共土木事業以外で国が行ったキャンペーンで思い出されるのが、1988(昭和63)年から1989(平成元)年にかけて、各市区町村に対し地域振興のために1億円を交付した政策である。正式名称は「自ら考え自ら行う地域づくり事業」であったらしいが、地方交付金1億円交付からから「ふるさと創生基金」と呼ばれた。1990(平成2)年に自治省が行った最終報告では、1自治体当たり平均3.3件の事業を手掛け、このうち人材育成などの「ソフト事業」が建物建設などの「ハード事業」の約2倍余りに上ったと分析されているが、箱物を作るには少なすぎたのが実態であろうと思っている。また、1億円の使い道について考えあぐねた自治体では、使途計画の立案を民間業者に委託した自治体も多く、1億円の少なからぬ部分が計画策定に費やされたともされている。明治維新の廃藩置県で家禄を失った武士の多くが解雇一時金を基に商売を始めたが、利潤や原価意識に乏しいためにその多くが失敗して「武士の商法」なる言葉を残すにとどまった。先のふるさと創生資金や今回のGo Toキャンペーンにも、なにやら武士の商法と同じ臭いを嗅ぐのは自分だけであろうか。
Go Toトラベルキャンペーンの出鼻をくじいたのは、キャンセル料の補償である。政府の公式発表前に、補助金を前提に「常よりも豪華な旅行を・人に先んじて」予約したさもしい都民を救済する必要があるのだろうか。報道で知る限りそれらの人々は、日々の糧に窮している階層ではないように思える。スポーツ競技ではフライングした選手は救済されないし、生命・火災保険契約でも効力発生までに発生した厄災は補償されない。国に責任が無いケースにまで国費で救済する今回の「キャンセル補償」は悪しき前例となる様に思うとともに、制度の抜け穴利用に敏な悪しき業者は「キャンセル料の不正受給」の道を見つけているのではとも危惧している。