もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

教科書検定の謎が解ける

2020年07月27日 | 野党

 中学校で来年度に使用される歴史教科書の検定委員の適格性と検定そのものが疑われている。

 疑惑は週刊アサヒ芸能が報じたもので、文部科学省の地理歴史科主任教科書調査官である中前吾郎氏の名前が、韓国で押収された「北朝鮮工作員名簿」に記載されているとするものである。名簿は、金正恩体制批判ビラを飛ばした韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合」を強制捜査する過程で押収され、中身は学識者・文化人・実業家などとして一般人に紛れて活動している中北の「アンダーカバー若しくはスリーパー」と呼ばれる「身分を仮装した工作員」のリストとされている。自由北韓運動連合は北朝鮮工作員の動向を探っていたとみられるが、名簿には韓国諜報機関が把握していなかった人物が記載されていたとされている。韓国はCIAに情報を提供して関連情報を求め、日本にはCIA経由で通報・照会されたとされている。中前吾郎氏は、筑波大学を卒業後、同大学助手を経て、韓国・霊山大学の講師に就任した際に韓国内で北朝鮮工作員に「スカウト」されたとされ、その後、日本に戻って都内の大学の講師に就任する傍ら、毛沢東思想を称揚する著作を出版するとともに、かつてはオウム事件などを利用した日本転覆を画策し、現在は沖縄の基地問題などに関わる一方で各省庁に親中北ネットワークを築くなど、活発に活動しているとされている。2019年11月に起きた呪縛史観からの脱却を目指した「新しい歴史教科書をつくる会」が編纂した「新しい歴史教科書(自由社)」が、再申請も認められない一発不合格となったことでも、主任教科書調査官である中前氏が主導的な役割を果たしたとされている。この様に思想的に偏ったとしか言いようのない人物が、どのような選考過程を経て教科書調査官に選任されたのだろうか。毛沢東礼賛の著作や沖縄の反基地闘争に肩入れすることだけでも調査官に相応しい人物とは思えない。改めて文科省の「審議会委員と教科書調査官の役割や選任について」を見ると、「教科書調査官のうち文部科学大臣が指名する者14人を、担当する教科を定めて主任教科書調査官とする」となっていたので、調査・審査の中心に中野氏を指名した文科相の責任は極めて重大と考えざるを得ない。調査官に選任され、更には主任調査官に指名された背後には、中野氏が構築したとされる親中北ネットワークの存在が、霞が関・永田町で無視できない勢力になっていることも考えられる。誰がどんな審査をして選抜したというのかについては、公安関係者は「米韓も関心が高いが、現在進行中の捜査であり回答を控える」とし、中野氏もアサヒ芸能の取材に対して、完全否定ではなく「(取材は)お受けすることができません」と大学を通じて回答したのみとされている。

 もし中野氏の行為が報道されたとおりであっても防諜(利敵諜報)罪や反逆罪が無い日本では、法律で裁かれることもないし公職を含めた職を失うこともなく、社会から道義的責任を指弾されることもない。その他の教科書調査官の地理歴史科委員は、鈴木楠緒子、橋本資久、黒澤良、小宮一夫、鈴木正信、藤本頼人の各氏が任命されており、中野氏以外の現職や信条は確定できなかったが、検定が中野氏の強引な主張の結果であろうとも検定意見には応分の責任があり、中野氏に同調した委員の存在も疑える。折に触れて露わになる高大連携歴史教育研究会や教科書調査官の偏向を見ると、日本の史学会の汚染と中北の浸透は極めて深刻であるように思える。まさか文科相までも汚染されているとは思いたくないが。