アメリカのシンクタンクが、今井尚哉総理補佐官が対中融和派のキーマンの一人であるとする報告を国務省に提出したことが報じられた。
報告は、有力なシンクタンク「戦略国際問題研究所」が国務省の支援を得て2年間に及ぶ調査の末に作成したもので、日本における中国統一戦線工作部の影響力と成果について纏めたものとされている。この中で、日本の対中融和勢力の中心人物として、二階俊博自民党幹事長とともに内閣総理大臣秘書官兼補佐官の存在を挙げている。二階幹事長については習主席の国賓招待の旗振り役として中国擁護の姿勢が鮮明であるとは知っていたが、アメリカが注視する今井補佐官について良く知らなかったので調べてみた。今井氏は1982(昭和57)年通産省入庁、2012年の第2次安倍内閣に安倍総理に乞われて政務担当の総理秘書官に就任、以後一貫して官邸勤務を続け2019年の第4次安倍内閣で政策企画の総括担当補佐官を兼務している。シンクタンクの報告では、今井氏が安倍首相に対して中国の一帯一路構想やアジアインフラ投資銀行(AIIB)に融和的な姿勢を取るよう説得しており、二階幹事長と同等の影響力があると分析している。更に二階派と呼ばれる派閥も実態は「二階・今井派」であるとして、両氏の思想と行動が一体であることをも示唆している。田中角栄氏の政務秘書を23年間務めた早坂茂三氏、橋本・小泉両政権で総理補佐官を務め先日中国ウイルスで死去した岡本行夫氏など、退任後にメディアで活躍した秘書官や補佐官は知っているが、自分のような素人は現役総理補佐官の動向については良く知らない。しかしながら、政界では、ロシアとの共同経済活動や中国の一帯一路やAIIBへの参加に積極的な今井氏は、影響力の大きさから「影の総理」と見る向きもあるともされており、報告作成の趣旨に照らせば二階氏・今井氏に中国統一戦線工作部の影響力が及んでいる懸念が込められているのではないだろうか。
昨日のブログで、文部科学省の地理歴史科主任教科書調査官である中前吾郎氏の明らかな偏向と、氏が構築したとされる「省庁をクロスドメインする親中北ネットワーク」が霞が関・永田町で無視できない勢力になっていることを懸念したが、今回の調査・分析を見る限りあながち穿った見方ではないように思える。二階派にはIR汚職で起訴された秋元司議員も所属していたことから、中国統一戦線工作部と傀儡企業の注力の方向が、中前氏のネットワークを介した一体・同根であるように感じられる。自分はこれまで立憲民主党などが中国の意をくんでいると書いたが、考えてみれば政策決定に殆ど影響力を持たない野党を支援するよりも、政策を立案・決定する官僚・与党を直接薬籠に入れる方が効果的であり、獅子身中の虫は案外なところに巣くっているのかも知れない。